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水稲晩生新品種「新之助」の高品質・極良食味米栽培のポイント

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0295577 更新日:2020年7月1日更新

「新之助」の高品質・極良食味米を生産するには、移植時期は5月中旬とし、10a当たり目標収量は540kgとする。10a当たり施肥窒素量は基肥3kg、穂肥2kgをめやすとします。品質の目標は、整粒歩合70%以上、玄米タンパク質含有率5.8%です。

水稲晩生新品種「新之助」の高品質・極良食味米栽培のポイント [PDFファイル/297KB]

 

 

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水稲晩生新品種「新之助」について、コシヒカリとの作期分散を図り、品種の特性を最大限に発揮させるための「水稲晩生品種新之助栽培指針」を作成しました。
ここではその主なポイントについて説明します。

 

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水稲晩生新品種「新之助」について、コシヒカリとの作期分散を図り、品種の特性を最大限に発揮させるための「水稲晩生品種新之助栽培指針」を作成しました。
ここではその主なポイントについて説明します。

 

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まず新之助のコシヒカリとの栽培管理の主な相違点について説明します。
栽植密度はコシヒカリよりやや粗い坪当たり50株を基準とします。
穂肥施用は2回分施を基本として、その時期は1回目は出穂前21~18日、2回目は12~10日前でコシヒカリよりやや早い散布時期です。
いもち防除については少発生地では無防除のコシヒカリBLとは異なり、いもち病抵抗性は「やや弱から弱」であることから、葉いもち及び穂いもちの防除は必ず行います。
刈取適期は出穂後の積算温度でコシヒカリより50℃遅い、1050~1100℃です。
調製時の精玄米選別の篩い目はコシヒカリより0.05mm大きい1.9mm以上を使用します。

 

 

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次に収量、収量構成要素及び玄米タンパク質含有率についてです。
新之助の収量及びm²当たり籾数もコシヒカリと同じく10a当たり540kg、m²当たり28000粒を目標とします。
コシヒカリに比べて穂数はやや多いm²当たり400本で、篩い目1.9mmで篩った精玄米粒数歩合で算出する登熟歩合は82%とやや低いですが、その分千粒重は23.5gと重くなります。
玄米タンパク質含有率はコシヒカリより0.2%低い5.8%がめやすです。

 

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これらをふまえて、10の栽培管理項目ごとに説明します。

 

06

栽培適地・ほ場選定についてです。
作付ほ場の標高が300mより高くなると、玄米品質は青未熟粒が増加し整粒歩合が大きく低下します。
安全出穂期晩限以前に出穂期を迎えることができるめやすは概ね標高は300m以下です。

 

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このため標高は300m以下をめやすとします。
また大豆跡やほ場整備直後のほ場、また秋落ちしやすいほ場での作付けは避けます。
前年までと異なり、新之助を新たに作付けするほ場では、除草剤等による異品種混入防止対策を実施します。

 

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基肥施用については窒素成分で10a 当たり3kgをめやすとし、地力に応じて加減し、低地力ほ場では1kg程度多く施用します。
全量基肥肥料(基肥一発肥料)、有機質100%肥料は使用しません。また窒素成分の中間追肥についても施用は控えます。

 

09

m²当たり籾数を28千粒程度にすると、平成27年度のような低温登熟年においても整粒歩合が高まります。
このことから、総窒素施肥量のめやすの根拠となるm²当たり籾数(生育量)は、28千粒が適正と考えられます。

 

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図は10a当たり総窒素施肥量は5kgでm²当たり籾数が28千粒となることを示しています。
穂肥1kgを2回分施するとして、以上から基肥量のめやすは3kgとなります。
このことからm²当たり籾数が28千粒となる28千粒が適正と考えられます。
m²当たり籾数が28千粒を超えないよう、m²当たり穂数を400本程度に抑える必要があります。

 

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上の図は10a当たり総窒素施肥量は5kgでm²当たり籾数が28千粒となることを示しています。
穂肥1kgを2回分施するとして、以上から基肥量のめやすは3kgとなります。
このことからm²当たり籾数は28千粒が適正と考えられます。
m²当たり籾数が28千粒を超えないよう、m²当たり穂数を400本程度に抑える必要があります。

 

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田植え時期については、5月初旬植えでは食味が劣りやすいこと、5月下旬植えでは品質が安定しないことから、食味・品質が確保しやすく、刈取が9月下旬以降となる5月15日植えがめやすです。

 

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栽植密度については、40株では収量が不安定となる傾向があります。
収量性は50株、60株で同程度ですが、60株の場合、生育中期の生育量が変動しやすいことから、最高茎数が安定して目標の 600~650本/m²となり、目標収量を確保しやすい坪当たり50株をめやすとします。

 

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中干しについては目標穂数(m²当たり400本)の80%を確保したら直ちに開始します。
(50株/坪植えでおおよそ株当たり21本の時期です)
中干しはコシヒカリと同様に大ヒビが入らないよう留意して、遅くとも出穂の1か月前までには中干しを終了します。

 

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いもち病防除については、葉いもちほ場抵抗性「やや弱」、穂いもちほ場抵抗性「弱」であるため、 葉いもち及び穂いもち防除は必ず行います。
予防防除を行っても葉いもちを十分に抑えられない場合は葉いもちの追加防除を行います。穂いもち防除は、特に葉いもちの発生が多い場合には防除回数を2回とする必要があります。

 

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この棒グラフは、葉いもちの箱施用剤の施用後に葉いもちが多発生したほ場における、防除体系別の穂いもちの発病度を示しています。
箱施用剤の施用だけで穂いもちの発生を十分に抑えられない場合には、葉いもち追加防除を行う必要があります。
またグラフの下半分の場合のように出穂前の上位葉の病斑が多い場合は穂いもち防除を2回行います。

 

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その他の病害虫防除についてです。
現在の斑点米カメムシカメムシ類共同防除は「新之助」に対しても十分な効果が期待できます。
紋枯病については、耐病性は「こしいぶき」並みで、発生しやすいため、 前年に紋枯病が多発したほ場では必ず薬剤防除を行います。
墨黒穂病及び稲こうじ病については耐病性はコシヒカリと同程度で、コシヒカリで墨黒穂病や稲こうじ病の防除を必要とするほ場では防除が必要です。

 

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穂肥施用については、出穂期21~18日前と12~10日前の2回に分けて施用します。
1回目穂肥時期の出穂期21~18日前は幼穂長が5~10mmとなった時期です。
出穂期10日前以降の施用は原則施用しません。
穂肥量は1回当たり窒素成分で10a当たり1kgとし、合計2kgの施用をめやすとしますが、地力や生育に応じて1回当たり1.5kgまでをめやすに施用量を調整します。

 

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出穂後の水管理は飽水管理(土壌を湿潤状態に保つこと)を基本とします。
落水時期が出穂後日数で25日より早い場合、品質の低下が見られるため、通水最終日には十分にかん水し、出穂期25日後頃までは飽水状態の維持に努めます。

 

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収穫が早いと、青未熟粒が多くなり、遅いと白未熟粒や胴割れ粒が増加しやすくなります。
このため収穫適期は出穂期からの積算温度で1,050~1,100℃程度をめやすとします。
籾黄化割合は85~90%がめやすです。

 

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胴割粒の発生を防止するため、乾燥は籾水分を確認し、適正温度、適正速度で行います。
そして「食味・品質基準」の水分含有率(14%以上、15%以下)に仕上げます。

 

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1.9mm以上の篩い目を使用し、整粒歩合70%以上の1等品位の高品質米に仕上げます。

 

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新之助の集荷・販売の際の品質等の基準値として「新之助」区分集荷・販売実施ガイドラインが定められています。
玄米タンパク質含有率は6.3%以下(水分15%換算)、整粒歩合は70%以上(検査等級1等相当)、水分含有率は14.0%以上、15.0%以下が基準値です。
これまで説明した管理項目のめやすに従い、食味・品質基準に沿った新之助による高品質・極良食味米の安定生産をはかりましょう。

 

24

「新之助」の早期のブランド確立を図るため、品種特性を十分に踏まえた食味重視の米づくりを基本とし、安定した良食味米を生産しましょう。

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