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佐渡の巨樹・名木
環境庁(現環境省)が1988年と2000年に全国で実施した巨樹巨木林調査では、佐渡島内には286本の巨木があるとされています。
これらの樹木は、長い年月を風雪に耐え、佐渡の島民に見守られてきた貴重な島の財産であり、次の世代に引き継がれなくてはならないものです。
このため、皆様に佐渡島内の巨樹・名木の一部をご紹介すると共に、見学する際のマナーをお知らせさせていただくことにしました。
なお、今回ご紹介する樹木は「国・県・市指定の天然記念物」、『佐渡巨木と美林の島』(伊藤邦男著)に掲載されている樹木等を中心に159本の調査を行い、以下の条件に合致したものです。
- 衰弱の見られない健康な樹木。
- 車道脇、歩道が整備されている等でアクセスが容易な樹木。
- 所有者又は管理者から一般に紹介することを了承していただけた樹木。
見学にあたっての守るべきマナー
- 巨樹・名木は社寺に生えているものが多いのですが、個人の敷地内に生えているものもあります。
見学する際は、所有者の方からご了解をいただいてください。 - 樹木の衰弱を防ぐため、根は踏まないでください。
一般的に、樹木は枝張りの2~3倍の根を張り巡らせているといわれています。 - 樹木に触る、傷をつける、樹皮を剥ぐ、枝を折る等の行為はしないでください。
- ゴミ等は必ず持ち帰ってください。
巨樹・名木の一覧
1 清水寺の大イチョウ
所在地:石名(旧相川町)
樹齢:不明
樹高:15m
胸高周囲:5.4m
所有者:清水寺
指定:佐渡市指定天然記念物
佐渡島には二つの清水寺(せいすいじ)がありますが、こちらは石名清水寺。その入口には2本の大イチョウが枝を広げています(神社に向かって右は雌株、左は雄株)。
「子授けイチョウ」として、また「胃腸病の霊現木」として信仰されているとのことです。
なお、イチョウは中国原産の木ですが、現在では日本をはじめとする多くの国で植栽されています。
2 金峰神社の大杉
所在地:北五十里(旧両津市)
樹齢:不明
樹高:31m
胸高周囲:8.0m
所有者:金峰神社
管理者:北五十里集落
指定:佐渡市指定天然記念物
北五十里集落の裏山にある金峰神社にそびえているスギの巨木です。
3 羽黒杉
所在地:羽吉(旧両津市)
樹齢:不明
樹高:32m
胸高周囲:5.8m
所有者:羽黒神社
指定:無指定
羽黒山(五月雨山)は江戸幕府の直轄林として守られていましたが、昭和10年に全て伐採されました。
その生き残りともいえる木が、この羽黒杉になります。
4 真法院の苔梅
所在地:梅津(旧両津市)
樹齢:不明
樹高:10m
胸高周囲:3.9m
所有者:真法院
指定:佐渡市指定天然記念物
境内に枝を広げ、一部は地面に付きそうなほどに枝垂らせたウメの名木。
大正7年に発生した羽黒大火により初代は焼失し、現在生えているものは二代目の個体であるとのことです。
5 八幡宮のセコイア
所在地:金井新保(旧金井町)
樹齢:不明
樹高:20m
胸高周囲:3.8m
所有者:八幡宮
指定:無指定
八幡宮の広い境内には、このセコイア以外にもスギの御神木、ダイオウショウ、チョウセンゴヨウ、ヌマスギ、コウヨウザンといった巨木が生えています。
これらの外国産の樹種は、明治10年頃に海外から取り寄せられたもののようです。
6 善積寺の薬師杉
所在地:大和(旧金井町)
樹齢:不明
樹高:23m
胸高周囲:4.7m
所有者:善積寺
指定:無指定
国仲平野の中央部に位置する善積寺の境内に生えているスギ。
非常に立派な枝振りをしています。
7 城腰のトチノキ
所在地:城腰(旧両津市)
樹齢:不明
樹高:24m
胸高周囲:4.3m
所有者:個人
指定:佐渡市指定天然記念物
城腰集落の道脇にある標柱から、やや山を下ったところに生えているトチノキの巨木です。
8 牛尾神社の安産杉
所在地:新穂潟上(旧新穂村)
樹齢:1,000年
樹高:30m
胸高周囲:6.1m
所有者:牛尾神社
指定:佐渡市指定天然記念物
孕杉(はらみすぎ)の別名を持つ杉。現在でも子授けや安産祈願の信仰対象となっている巨木です。
9 菩薩寺のしだれ杉
所在地:新穂田野沢(旧新穂村)
樹齢:1,000年
樹高:24m
胸高周囲:5.0m
所有者:菩薩寺
指定:佐渡市指定天然記念物
菩薩寺境内の入口に生えている3本の杉の巨木(うち2本は根元で繋がった双幹)がしだれ杉。
その名のとおり枝が地面に向かって枝垂れており、スギとしては特異な形状をしています。
10 新穂大野の大イチョウ
所在地:新穂大野(旧新穂村)
樹齢:不明
樹高:26m
胸高周囲:8.0m
所有者:個人
指定:佐渡市指定天然記念物
後述する大野清水寺の向かいに生えている大イチョウ。
なお、この個体の枝からはつららのように突起が垂れ下がっていますが、これは「乳イチョウ」と呼ばれ、銀杏のならない雄株の巨木で時折見られる現象です。
11 清水寺のスギ
所在地:新穂大野(旧新穂村)
樹齢:不明
樹高:40m
胸高周囲:4.1m
所有者:清水寺
指定:無指定
京都の清水寺を小さくしたような舞台(救世殿)をしている大野清水寺は、画像の杉並木をはじめとする巨木が林立しており、非常に落ち着いた雰囲気の場所です。
また、スギの他にもコウヤマキやイチョウ(前述の大イチョウとは別個体)の巨木も生えています。
12 国見山のイチイ
所在地:赤玉(旧両津市)
樹齢:不明
樹高:9.8m
胸高周囲:2.9m
所有者:赤玉集落
指定:佐渡市指定天然記念物
後述する杉池から徒歩で国見山を登っていくと出会えるイチイの巨木。時間としては、片道30~40分程必要でしょうか。
太枝の一部は地を這う等かなり変形した樹形をしており、厳しい生育条件に耐えてきたことが伺えます。
13 杉池のコナラ
所在地:赤玉(旧両津市)
樹齢:不明
樹高:30m
胸高周囲:2.9m
所有者:赤玉集落
指定:新潟県指定天然記念物
新潟県森林浴の森100選のひとつに選ばれている「杉池まなびの森」は、多くの巨木を有する広葉樹林の見事さから県の天然記念物に指定されています。
このまなびの森は、ひょうたん池を中心に、杉池、花菖蒲園、水芭蕉園やこれらを連絡する散策路が整備され、ハイキングやトレッキングに最適です。
14 長谷の三本杉
所在地:長谷(旧畑野町)
樹齢:1,000年
樹高:36m
胸高周囲:7.0m
所有者:長谷寺
指定:新潟県指定天然記念物
長谷寺(ちょうこくじ)は咲き誇るボタンと巨木で有名なお寺。
ボタンの花は春先の一時期しか見ることはかないませんが、この三本杉と後述するコウヤマキはいつ訪れても荘厳な姿を見せてくれます。
15 長谷の高野マキ
所在地:長谷(旧畑野町)
樹齢:500年
樹高:30m
胸高周囲:4.6m
所有者:長谷寺
指定:新潟県指定天然記念物
前述の三本杉は石段を登り切った観音堂の境内に生えていますが、この個体は石段の途中に生えており、力強くうねった太い枝を間近に見ることができます。
16 豊岡のビワ
所在地:豊岡(旧両津市)
樹齢:不明
樹高:12m
胸高周囲:1.2m
所有者:個人
管理者:豊岡のビワ群落保存会
指定:佐渡市指定天然記念物
ビワは中国原産の木で、その実を利用するため多くの国で植栽されています。
この個体は、栽培されていたビワが野生に逸出したものであるとされています。
17 御梅堂の霊木・藤
所在地:小倉(旧畑野町)
樹齢:不明
樹高:15m
胸高周囲:2.3m
所有者:小倉御梅堂
指定:佐渡市指定天然記念物
この個体は、ケヤキに絡みつき、御梅堂を覆うように枝葉を広げています。
18 御梅堂の霊木・梅
所在地:小倉(旧畑野町)
樹齢:不明
樹高:7m
胸高周囲:0.8m
所有者:小倉御梅堂
指定:佐渡市指定天然記念物
淡いピンク色をした一重の花を咲かせるウメの古木(このページトップのウメの花の画像が本個体の花です)。
境内の一角が石の柵で仕切られ、大切に守られています。
19 日蓮のおけやき
所在地:松ヶ崎(旧畑野町)
樹齢:不明
樹高:25m
胸高周囲:7.0m
所有者:個人
管理者:おけやきを守る会
指定:無指定
日蓮上人が佐渡に配流された際、この木の樹洞で一夜を明かしたとの伝承を有する大ケヤキ。
ケヤキとしては佐渡で最も大きな木とされています。
20 五所神社の大杉
所在地:下川茂(旧赤泊村)
樹齢:800年
樹高:31m
胸高周囲:6.0m
所有者:五所神社
指定:佐渡市指定天然記念物
川茂地区は、かつては良質な天然杉の産地として有名でしたが、現在ではそのほとんどは伐採され人工林となっています。
この個体は、そんな「川茂の杉」の生き残り。五所神社の入口で枝葉を広げ、木陰を作っています。
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