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【下越】あまり人馴れしていない成猫の飼育を検討している方へ
あまり人馴れしていない猫の馴化方法について、動画を作成しました。この方法は、あくまで1例です。その猫にあったやり方を実践してください。動画は全部でパート1からパート3まであります。順番に視聴して下さい!
知っておいてほしいこと ~猫の社会化~
動物には「社会化期」という時期があります。感覚器が発達して周りの世界を認識しだす時期で、かつまだ警戒心が薄く好奇心に溢れている時期です。
猫の場合、生後2週齢から7週齢までが社会化期とされ、この時期に人間と接して「人間は怖くない」と覚えた猫は自然に人馴れしていきます。
あまり人馴れしていない成猫の飼育を検討している方へ [PDFファイル/1.38MB]
社会化期を過ぎた猫を引き取る場合には
8週齢以上の子猫や1歳を過ぎた成猫は人馴れしないかというと、決してそうではありません。1歳未満の猫は人馴れしやすいですし、月齢が低いほどたやすくなります。そうではない成猫についてはややハードルは上がるものの、根気よく接していけば不可能ではありません。警戒心が強く臆病な猫ほど、人馴れした後はデレデレの甘えん坊になることも多いのです。
そんな中、性格的にどうしてもなかなか人馴れしにくい猫もいます。その場合には「この子の個性」として尊重して接してもらえればと思います。
また、人好きの2頭目を迎えたことで心を開いたケースや、数年後にやっと甘えるようになったという話もあります。いつかは慣れることを信じて、まずは優しく見守っていきましょう。
ケージでお世話を
「ケージ飼いではかわいそう」と感じる方もいるかもしれません。ですが、猫は本来狭い場所の方が安心できる動物です。
譲渡当日は初めての環境、広い部屋、知らない人に囲まれて、不安でいっぱいです。どんなに人馴れしている猫でも、広い場所につれて来られたら本能的に隅っこへ行き、隠れて出てこないということもあります。
環境に慣らすためにも、リビングなど人がいることが多い部屋にケージを設置し、人がいることが当然の環境に慣れさせましょう。
ケージ飼いを始めたばかりの接し方
- 最初は猫の同居人として過ごし、人がそばにいる状況に慣らします。初めのうちはあまり干渉しないことが重要です!少し慣れたら手を伸ばして触ることも出来ます。続けているうちに「触られても怖いことが起きない」と覚えていくので、徐々に距離を縮めていきましょう。
- 猫が威嚇したりおびえていても無視しましょう。こちらが焦ると、その焦りが猫にも伝わります。
- 臆病な猫はケージを布で覆うと落ち着きます。ケージの一面のさらに一部だけを開け、徐々に見える範囲を広くしていくのも良い方法です。
猫が馴れたらいよいよケージから出して部屋へ
ケージ飼いで猫を馴らすことが出来たら、部屋に出しても良い時期です。積極的に甘えてこなくても、人を怖がらなくなったらケージから出してみましょう。
ただし家中を解放せず、まずはケージのある部屋だけを開放してください。準備が出来たらケージの扉を開け、猫が自ら出てくるのを待ちましょう。ケージという「安全ななわばり」を拠点に、少しずつ新しいなわばりを広げていきます。
なかなか人馴れしない猫には孫の手を
なかなか警戒心が解けず、手を伸ばすと恐怖のあまり引っ掻いたり噛みついたりしてくる猫は、そもそも触ることが難しいものです。そこでおすすめしたいのが孫の手です。
孫の手をそっと差し出してにおいを嗅がせ、頬や顎の下をかいてやると気持ちよさそうにする猫も多いです。孫の手の先にチュール等を乗せて舐めさせ、舐め取った後に孫の手で触ることを繰り返すと「触られる=良いことが起きる」というイメージを持つようになります。
猫と距離を縮める方法
まだ距離がある猫にはおやつと遊びで「いい思い」をさせて距離を縮めます。すぐに効果が出るわけではありません。気長に続けてみましょう。
方法1 猫じゃらしで遊ぶ
《活発・遊ぶことが好きなタイプに有効》
猫じゃらしを使ってケージの外に誘導し思いっきり遊びましょう。一緒に遊ぶことで一気に警戒心が緩んでいきます。
方法2 おやつを与える
《食べることが好きなタイプに有効》
主食のフードとは異なる特別なおやつでケージの外へ誘導してみましょう。おやつを手から与え、食べているときに背中など撫でてみると良いでしょう。
方法3 優しく抱っこ
《引きこもりタイプに有効》
猫は包まれた狭くて暗い空間が落ち着きます。タオルなどで包み、優しく抱っこしてみましょう。その時に無理に撫でようとせず、呼吸を合わせる程度で構いません。また、長時間続ける必要もありませんので、嫌がるようであればすぐにケージへ戻してください。
先住動物がいる場合
人馴れしていない猫は他の動物には心を開きやすい子もいます。
先住動物がいる場合は、会わせてみてその子の力を借りてみるのも良いかもしれません。先住動物と仲良くなった結果、人への警戒心が無くなり甘えてくるようになったという事例は多いです。
さいごに
猫は基本的にしつけを行える動物ではありません。
馴れさせようと頑張るのではなく「この子には懐く力がある」と信じてゆったりとした気持ちで向き合いましょう。また、以前飼っていた他の猫と比べることも厳禁です。
じっくりと観察し、その子にあった環境作り、家族の一員として幸せな家猫に育ててください。
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