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新潟県福祉のまちづくり条例 Q&A(5)
5.整備基準の解釈について
Q5-1 適合整備基準の解釈(建築物)(平成23年4月1日掲載平成28年10月1日更新)
Q 整備基準の解釈(建築物)について。
A 下表のとおり、一例を示します。
なお、記載の事例はあくまで一般的な判断を示したものであり、事前協議の際の基準の解釈は、立地条件や施設の構成、規模等によって異なる場合があります。基準の解釈については、施設所在地の市町村の事前協議窓口へ事前に相談して下さい。
1 出入口・玄関
1 出入口の有効幅員の考え方
建具の内法寸法ではなく、実際に通行可能な寸法となる。引き戸であれば戸の引き残しを、開き戸であれば戸の厚み分を建具枠の内法寸法より差し引いた寸法、親子ドアや両開きのドアであれば原則として片側のみの有効幅員をいう。
3 傾斜路・勾配
- 敷地内の勾配の基準
敷地内のうち、通路と扱う部分については勾配の基準を遵守することが最低条件であるが、必ずしも敷地全体が平坦である必要はない。なお、経路の配置については車いす用駐車施設や便所、施設出入り口などをリンクし、最適化したものが望ましい。 - 水勾配は傾斜路と扱うか
水勾配(一般的には1/50~1/200)を傾斜路として扱う必要はないが、水勾配か否かは設計意図から判断する。 - 誘導用・注意喚起用ブロックの傾斜路への設置
傾斜路への誘導用ブロック設置は不要。(車いすの支障となる) - 階段に併設する傾斜路の幅を120cmから90cmへ狭くしてよい理由
幅120cmは人とすれ違える最低寸法(車いすで通過しやすい寸法)であり、幅90cmは人とのすれ違いはできない(車いすで通過できる寸法)。階段が並行してあれば、幅90cmの傾斜路と併用することで、人と車いすがすれ違える環境(120cmの傾斜路があるのと同様の環境)が確保できる。
5 手すり
- 手摺りを設置する場合の廊下の有効幅員の考え方
手すりを含まない幅となる。(建築基準法の考え方と同様に、有効幅員は、手すりを設ける場合は「手すりの内側における寸法」、手すりがない場合は「壁面からの寸法」となり、突出物がある場合はその最低有効幅員をいう。) - 手摺りを設置する場合の階段の有効幅員の考え方
杖を使用する視覚障害者や松葉杖使用者の利用に配慮し、手すり子があれば「手すり子の内法」なければ10cmを限度として算入しない寸法をいう。(建築基準法の考え方に同じ)また、1以上の階段は両側に手摺りが必要だが、幅140cm未満なら片側でよい。 - 風除室内部への手すり設置
整備基準に定めはなく、任意の整備となる。
6 エレベーター
- かごの間口(100cm以上)とはどの部分を指すか
エレベーターの間口方向の幅を指す。 - エレベーターのかごについて「車いすの転回に支障がない」の具体的な基準
かごの幅140cm以上、奥行135cm以上が最低基準となる。(2,000平方メートル以上の公共的施設および駅舎等の、主たる利用経路に設置するものに求められる。)
8 標識
1 車いす使用者用駐車施設の路面に標示する標識について
整備基準では、車いす使用者用駐車施設があることを標示する標識を見やすい位置に設置することとされている。床面に国際シンボルマーク塗装とするのが一般的であるが、特に定めがないため、必ずしも床面である必要や、国際シンボルマーク(車いすマーク)である必要はない。)また、本県においては積雪期を考慮すると、立て看板の併用も有効である。多目的駐車場と兼ねるなどの場合、具体的な複数の利用対象者を記載した多目的サインに代えることも可能であるが、車いす利用者を対象に含むものである必要がある。
10 便所・洗面所(多目的トイレ)
- 多目的トイレの広さ
努力目標である「整備指針」の項では、出入口前に1,400mm×1,400mm、便房内に直径1,500mmの空間を確保した上で、2,000mm×2,000mmの内寸確保としているが、整備基準では広さの基準を定めていない。実質的に車いす使用者が便房内の各設備を円滑に使用できることが重要であり、内部で(改修等で物理的スペースが取れない場合は、便房前のスペース等も活用しながら)便房への移乗、転回等の必要な動作ができない場合は、整備基準を満たすとは言えないことから、直径1,500mmの空間確保が目安となる。また、便房に至る経路が確保されていることも当然必要である。 - 「男女の別がある場合は各1以上」の解釈
多目的トイレを男性・女性とも使える場所に設ける必要がある。また、至る経路についても十分な幅を確保すること。- 男性用便所と、女性用兼多目的トイレの整備→整備基準を満たす
- 男女共用の多目的トイレのみの整備→整備基準を満たす
- 男性用便所、女性用便所、共用部からアクセス可能な男女共用の多目的トイレの整備→整備基準を満たす
- 男性用便所、女性用便所、女性用便所の中に多目的トイレの整備→整備基準を満たしていない(男性が使えない)
- 男性用便所、女性用便所それぞれに、1以上の便房を多目的トイレとする→整備基準を満たす
- 簡易型多機能便房の整備のみでトイレのバリアフリー対応と言えるか
既存建築物の改修、街区公園等の小規模な公園の整備等、どうしてもスペースを確保できない場合を除き、適合した整備とは扱わない。(簡易型多機能便房は、車いす使用者用便房に求められる設備の増加に伴う不都合(狭さなど)を解消するために便房内の多様な機能を分散し、利用の向上を図る目的から、「多機能型便房に併設する」という発想で出たもの。)(整備マニュアルの参考図は、他に整備指針の水準を確保した車いす使用者用便房を整備した上で、一般用便所内にも車いすでの使用も可能な便房を確保した、さらに良好な例を示したものである。) - オストメイト対応が必要な学校等の施設
2,000平方メートル以上の特別支援学校であれば必要(施行規則別表第3参照) - オストメイト対応の整備水準
整備水準の規定はなく、既存大便器に設置するタイプで独自の汚物流しを持たない、いわゆる簡易型設備であっても適合と認められる。(スペースが許せば、より使いやすく、多機能な独自の汚物流しの整備が望ましい。)
11 駐車場
- 障害者等用駐車施設の定義
車いす使用者を含む障害者用の駐車スペースであり、車いす使用者の乗降に必要な幅350cmが確保されていることが必要。
施設に駐車場を設けない場合は障害者等用駐車施設の整備も不要。 - 駐車場通路の段差の基準について
法および条例では具体的な基準は定められていないが、国が策定した高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準(概要)では、車いすが通行する通路の段差は2cm以下が望ましいとされている。 - 妊婦やけが人等も使用できる多目的駐車スペース(おもいやり駐車場等)の整備について
駐車場を設ける場合は、1以上の区画は車いす使用者が使用できる障害者等用駐車施設とすることとなっているが、妊婦、けが人、高齢者等に対象を拡大した多目的駐車スペースとして整備することは可能である。ただし、利用対象者が増えることに鑑み、車いす使用者の利用を妨げることがないよう、別途設けることが望ましい。
12 敷地内通路・視覚障害者利用経路
- 敷地内の視覚障害者利用経路
道から案内設備までの経路のうち1以上とする。経路の選定については、距離や勾配などを考慮すること。 - 道から施設の出入口までの誘導用床材、注意喚起用床材敷設
道路から施設の玄関まで歩いて来る人がまずいない立地や施設の利用形態であれば「公共的施設の利用者の利用に供する部分ではない。」と考え、整備基準の対象としなくてもよい。例えば来訪者がほぼ車でくる施設では、代わりに駐車場や車寄せからの経路が必要と考えられる。 - 主たる利用経路を1以上設ける経路とは
- 道等から主として利用者が使う室(利用居室)までの1以上の経路
- 利用居室から車いす使用者用便房までの1以上の経路
- 障害者等用駐車施設から利用居室までの1以上の経路
上記について、それぞれ、適合した経路が1以上あれば適合とする。
13 授乳場所
- 多目的トイレにベビーベッドを置いて「授乳場所」とすることができるか
条例では、授乳場所の設置位置を規定していないが、多目的トイレとは別に、いすやベビーベッド等を備えた「授乳場所(スペース)」を設けることを想定しており、不可となる。(多目的トイレにに設けるものは、おむつ替え等を想定したもので、授乳を想定したものではない。) - 授乳室に備える設備
いすその他授乳に必要な設備、ベビーベッド、汚物入れ、洗面台等のおむつ替えに必要な設備が求められる。その他は申請者の裁量による。
15 共同浴室等
- 浴室を入所者がストレッチャーのまま入浴する仕様とした場合も腰掛け台は必要か
利用の妨げになるのであれば必ずしも必要ない。(浴室の規定は共同浴場であり、障害者が介助者と共に利用することを前提とした仕様である) - 小規模特別養護老人ホーム、老人デイサービスセンターは、共同浴室等の整備の適用対象となるか
適用対象とならない(老人福祉施設の定義としては老人デイサービスセンター、老人短期入所施設、養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム、老人福祉センター、老人介護支援センターがあり、うち老人福祉センターのみ共同浴室等の整備基準の適用が対象とされている。)
22 誘導用床材及び注意喚起用床材
- 誘導用床材及び注意喚起用床材
- 誘導用床材・注意喚起要床材の仕様
JIS規格(JIS T9251)に準拠したものとすることが望ましい。
周囲の床面との色の明度、色相又は彩度のさが大きいことにより容易に識別できるものとする必要がある。
色は黄色、かつ周囲床面との輝度比は2.0以上確保することが望ましい。また、黄色を採用した場合でも、白や薄いグレーの床に敷設した場合は見にくい場合があるので注意が必要。 - 誘導用床材、注意喚起用床材の敷設の際の留意点
敷設方法の決定については、検討に障害当事者や、主な利用者等をまじえ、意見を反映していく方法も考えられる、また、施設内の敷設済の場所や、施設周辺の敷設方法と相違がないよう考えていく必要もある。その上で、敷設場所の広さ等にも配慮し、総合的に判断して敷設方法を決めていくことが望ましい。 - 注意喚起用床材を要所だけにすることや、誘導用床材を経路の途中までにするといった整備はあり得るか。
注意喚起用床材、誘導用床材の最低限の敷設範囲は条例に定めがあり、その部分については連続した整備が必要となる。(車道部の扱いなど別途定め有り)
それ以外の任意の敷設についても、利用者が混乱するため同様の考え方で目的地まで整備するか、音声サイン・触知案内板などを活用するなど、利用当事者の行動原則に立った整備を行うべきである。 - 靴を脱いで利用する施設内における誘導用床材、注意喚起用床材の設置範囲
靴を履かない施設であっても廊下や階段、主たる利用経路等の基準は遵守が原則である。 - 誘導用床材、注意喚起用床材の設置が不要な施設
自動車販売店については、視覚障害者の単独利用が想定されないため、自動車関連施設と同様の考え方で、設置不要。(階段等の上端に近接する注意喚起用床材も同様に設置不要)
- 誘導用床材・注意喚起要床材の仕様
- 誘導用床材及び注意喚起用床材の突起
- 誘導用床材・注意喚起要床材に突起を設けなくてもよい施設
社会福祉施設(老人福祉センター、障害者福祉センター、児童厚生施設その他これらに類するものを除く)、学校(視覚障害者に対する特別支援学校を除く)、事務所においては、利用に支障がある場合は突起を設けなくてよい。利用に支障がある場合とは、車椅子使用者の通行や、高齢者、子供等のつまずきが著しく問題となり、かつ、視覚障害者の利用に特段の支障がないよう配慮された施設やケースを想定している。 - 突起を設けない誘導用床材・注意喚起要床材
周囲と色違いの舗装ブロック、床タイルや、区画線の塗装等で表示する例があるが、通常の誘導用床材・注意喚起要床材と同様に、色の明度、色相又は彩度、輝度比等には留意する必要がある。塗装の場合は、なるべく連続した線とすること、また、劣化しやすいので適切な維持管理に努めること。 - 突起を設けない注意喚起用床材・誘導用床材の必要性
視覚障害者には、突起を頼りに歩行する全盲の方と、床との色の差により歩行する弱視者がいる。また、視力の低下した高齢者等もおり、突起のないものも多くの方にとって有用な施設となる。
全盲の方を含めた対応をすることが制度の原則であるが、特定の施設(車いす利用が多い、足の悪い高齢者が多いなど)にあっては、移動を阻害する、利用者の転倒の危険があるなど、注意喚起用床材・誘導用床材のデメリットの方が大きい場合も考えられる。そのような施設で突起なしと「できる」こととされているものであり、突起なしにするか否かは施設の利用実態により判断頂くこととなる。 - 敷設済みの注意喚起要床材を突起のないものに変更したい
突起のない床材でも視覚障害者経路と認められる施設では、適合状態から適合状態への変更となる。(事前協議の対象工事となる場合でも適合と扱うことができる。)
それ以外の施設で、事前協議の対象工事となる場合は不適合となる。
なお、適合証については、改修(大規模の模様替え)に該当しない場合は返還は求めない。(適合証の返還は「改修(条例の定義)」により不適合となった場合に求めることができる。)
- 誘導用床材・注意喚起要床材に突起を設けなくてもよい施設
- 階段上端の床材
- 階段上端に近接する注意喚起用床材を敷設しなくてよい場合
段がある部分と連続して手摺りを設けた場合は必要ない(視覚障害者が安全に昇降できるように段差のある部分から内部分にかけて手摺りを連続させることが必要) - 注意喚起用床材の敷設が階段の上端に近接する部分だけでよい理由
視覚障害者が階段に気がつかずに転落する重大事故を防ぐ意味合いからのもの。(整備基準は、整備の最低基準的な意味合いであり、可能であれば上下両端に整備することが望ましい。)廊下、傾斜路の場合も同様。
- 階段上端に近接する注意喚起用床材を敷設しなくてよい場合
23 緊急時の設備
1 点滅形誘導音装置付誘導灯を設ける場合の基準
条例には詳細な定めがなく、設置されていることが最低条件となる。(設置箇所および設置機種の検討にあっては、施設の利用者特性、設置箇所の環境、機器の設置条件などにより判断することが望ましい。)
Q5-2 整備基準の解釈(建築物以外)(平成23年4月1日掲載)
Q 整備基準の解釈(建築物以外)
A(道路) 道路の整備基準について、下表のとおり、一例を示します。なお、記載の事例はあくまで一般的な判断を示したものであり、事前協議の際の基準の解釈は、現場の諸条件によって異なる場合があります。基準の解釈については、県障害福祉課へ事前に相談して下さい。
1 歩道
- 視覚障害者に必要な歩道の段差
2cm程度の段差があれば、歩道と車道の段差を認識でき、視覚障害者は足で確かめることができる。また、盲導犬は段差でストップするように訓練されており、道路のバリアフリー化により歩道と車道の間に全く段差がないと、盲導犬が指示どおり動けないことがある。 - 細街路との交差部分の切り下げ基準(支道が狭い場合)について
基準は配慮すべき事項であり条例に定めはない(まわりの状況により判断し、その都度協議により決定する。)
A(公園) 公園の整備基準について、下表のとおり、一例を示します。なお、記載の事例はあくまで一般的な判断を示したものであり、事前協議の際の基準の解釈は、現場の諸条件によって異なる場合があります。基準の解釈については、県障害福祉課へ事前に相談して下さい。
共通事項
1 公園内の「段」の定義
1cmより大きい高低差を段とみなし、出入口や園路等にあっては手すりおよび傾斜路の併設による対応が必要となります。((社)日本公園緑地協会発行「ユニバーサルデザインによるみんなのための公園づくり」より)
A(駐車場) 駐車場の整備基準については、現在、情報はありません。
A(旅客施設) 旅客施設の整備基準については、現在、情報はありません。