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にいがた農業水利施設百選「十日町川西の河岸段丘を潤すダム群」

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0060931 更新日:2019年3月29日更新

川西ダム、長福寺ダム、坪山ダム、松葉沢ダム、五升苗ダム

地元小学生が描く川西地域の画像
地元小学生が描く川西地域

 十日町市の川西地域は、信濃川左岸側に広がる農業生産地域で、川西土地改良区(1,000ヘクタール)が、地域の水管理を担っています。
 川西土地改良区の区域は、南北に縦貫する中部丘陵地を境に、渋海川沿いの中山間地域の西部地区と、信濃川左岸側の河岸段丘面に多くの農地がある東部地区に大別されます。東部地区の低位部は日本一の大河・信濃川の水を掛けることができますが、上中位部は、背後の山が低く流域が狭い上に、降った雨がすぐ信濃川へ流れてしまい、頻繁に、水争いが起きていました。「水の一滴は血の一滴」という言葉があったほどです。
 この用水不足を解消するため、昭和27年から長福寺、坪山のため池、昭和46年からはダムの造成に着手し、現在は、川西、五升苗、坪山、長福寺、松葉沢の5つのダムが整備されています。

森の番人もりじいの説明(平成25年7月31日撮影)の画像
森の番人もりじいの説明(平成25年7月31日撮影)

 川西地域のダム群を紹介してくれのたは、森の番人「もりじい」です。
 もりじいが説明しているのは、川西土地改良区内にある集中管理システムです。コンピュータと各ダムをつなぐNTT回線によって、ダムに行かなくても、24時間体制で水位の監視やゲートの操作ができるようになりました。このシステムは、平成5年から15年にかけ県営かんがい排水事業の水管理改良工事として実施され、管理人の常駐経費を大きく削減しています。
 また、ダムが雪に閉ざされる冬期間もダムの遠方操作ができるため、消雪用水を効率的に流雪溝に流すことが可能となり、除雪作業が楽になるという恩恵もありました。

川西ダム

川西ダム(平成25年7月31日撮影)の画像
川西ダム(平成25年7月31日撮影)

  • 堤高 43m
  • 総貯水量 121.5万立法メートル
  • 受益面積 460ha
  • 概算事業費 21.6億円
  • 事業地区名 県営かんがい排水事業 川西地区

 川西ダムは昭和54年に完成したかんがい用ダムで、川西地域のダム群の中でも最大の大きさ(東京ドームとほぼ同じ!)を誇ります。川西ダムで取水された水は、ダムから東西に流れる幹線用水路を通り、川西地域全域へ供給されます。

五升苗(ごしょなえ)ダム

五升苗ダム(平成25年7月31日撮影)の画像
五升苗ダム(平成25年7月31日撮影)

  • 堤高 14.7m
  • 総貯水量 10.4万立法メートル
  • 受益面積 178ha
  • 概算事業費 10億円
  • 事業地区名 県営かんがい排水事業 川西地区

 五升苗ダムは、昭和60年に完成したかんがい用ダムです。(堤高が15メートルに満たないため、正確にはダムではなく堰という扱いになります。)
 かんがい面積はダム下流の178ヘクタールであり、川西のダム群では2番目の大きさとなります。

坪山ダム

坪山ダム(平成25年7月31日撮影)の画像
坪山ダム(平成25年7月31日撮影)

  • 堤高 20.5m
  • 総貯水量 21.6万立法メートル
  • 受益面積 防災211ha、かんがい99ha
  • 概算事業費 16.4億円
  • 事業地区名 県営防災ダム事業 坪山地区

 坪山ダムはかんがいおよび洪水調整用に造成されたダムです。このダムの洪水吐は下流域への急な放流を防ぐため、写真のような欠け口の形状をしています。
 近年はダムの用水源である沢からの土砂がダム内に堆積するため、土砂の処理が維持管理上の悩みのタネとなっています。

川西土地改良区・数藤事務局長のお話

もりじいと似ている???(平成25年7月31日)の画像
もりじいと似ている???(平成25年7月31日)

「5つのダムが出来て水争いがなくなりましたし、ダムを遠方制御で管理できるようになり大きな恩恵がありました。
 一方、管理する施設の規模が大きく数も多いので、課題もあります。坪山ダムのような想定よりも早いダム内の土砂堆積、ダム管理機器の老朽化、そして、地震があるたびにダムに異常がないか心配しています」

長福寺ダム

長福寺ダム(平成25年7月31日)の画像
長福寺ダム(平成25年7月31日)

  • 堤高 27.2m
  • 総貯水量 19.3万立法メートル
  • 受益面積 防災96ha、かんがい97ha
  • 概算事業費 25.4億円
  • 事業地区名 県営防災ダム事業 長福寺地区

 長福寺ダムも坪山ダムと同じく、かんがいおよび防災を目的としてつくられたダムです。このダムは、川西ダム群の中でも特に流域面積が狭いことから満水になりにくく、毎年のように水不足に悩まされるダムです。
 長福寺ダムが水不足になった場合には、集中管理システムにより、川西ダムから長福寺ダムの受益地域へ農業用水が補給送水されます。

松葉沢ダム

松葉沢ダム(平成25年7月31日撮影)の画像
松葉沢ダム(平成25年7月31日撮影)

  • 堤高 24.5m
  • 総貯水量 17.1万立法メートル
  • 受益面積 防災181ha かんがい174ha
  • 概算事業費 24.7億円
  • 事業地区名 県営防災ダム事業 松葉沢地区

 松葉沢ダムは、川西ダム群の中で最も新しく、平成18年に完成したダムです。川西ダム群の特徴としてダムの堤体にダム名が明記されています。こちらには「松葉沢ダム」と書かれています。

もりじいと川西土地改良区の皆さんの画像
もりじいと川西土地改良区の皆さん

 川西土地改良区では、地域の小学生を対象に、森林の水源涵養の役割、農業用水の大切さをジオラマ等で説明し、故郷の土地や森林、水源を守ることの大切さを啓発する活動を行ってきました。
 これらの功績が評価され、本年度、国土交通大臣から「水資源功績者表彰」を受けました。もりじいもにっこりです。

 川西の5つのダム群は、灌漑用の機能に加えて、大雨時の洪水調整機能や冬場の流雪溝用水の供給などを行っており、川西地域に暮らす人々の生活を支える縁の下の力持ちといえます。
 川西地域での豊かな暮らしがこれからも続くよう、今日も、もりじい達がダム群の管理を頑張っています。

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