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第130回 新潟県統計年鑑 2019 (第3章 県民経済計算・市町村民経済計算・産業連関表)
全文 第3章 県民経済計算・市町村民経済計算・産業連関表 [PDFファイル/613KB]
この章は、県民経済計算、市町村民経済計算、産業連関表に関する統計を掲載している。
県民経済計算(第3-1表~第3-8表)
県民経済計算とは、新潟県内で1年度内に生み出された新たな価値(付加価値)の流れを生産面、分配面、支出面の三面から計測したもので、県経済全体の規模や成長率、所得水準などを明らかにするものである。
SNA
「System of National Accounts」の略称で、「国民経済計算」または「国民経済計算体系」と訳される。国際連合が示す基準に従って、加盟各国が相互比較可能なかたちで、それぞれの経済の循環を体系的に明らかにすることを目的とした統計のこと。県民経済計算は、2008年に国連が加盟国に導入を勧告した「08SNA」に準拠した「県民経済計算標準方式」(内閣府)に基づき推計されている。
県内総生産(生産側)
県内で、各年度内に生産活動によって新たに生み出された付加価値の合計。なお、県内総生産(生産側)の内訳について、経済活動別に表示したものを「経済活動別県内総生産」という。
県内純生産
県内総生産(生産側)から、建物や設備などが生産過程において減耗する価格分等である「固定資本減耗」を除いたもの。付加価値の純増分。
市場価格表示と要素費用表示
市場価格表示とは、市場で取引される価格(生産者・購入者価格)で評価する方法をいう。一方、要素費用表示とは、生産のために必要とされる要素(労働、資本等)に対して支払った費用(雇用者報酬、固定資本減耗、営業余剰・混合所得)で評価する方法をいう。県民経済計算では、特に断りのない限り、県内総生産(生産側・支出側)は市場価格表示、県民所得は要素費用表示による値を表している。
県民所得(分配)
生産活動に携わった県民及び県内事業所が受け取る(分配される)付加価値の総額で、「県民雇用者報酬」、「財産所得(非企業部門)」、「企業所得」からなる。なお、新潟県に住んでいる人が他の都道府県で働いて得た報酬なども含む。(属人主義)
- 県民雇用者報酬 県内に居住地を有する雇用者が、労働の報酬として雇主から受け取る現金及び現物給与をいう。これらの所得は、税金及び雇用者の社会保険料負担の控除前の金額で計上され、賃金・俸給のほかに、雇主の社会負担が含まれる。
- 財産所得(非企業部門) 非企業部門である「家計(ただし、個人企業は除く)」、「一般政府」、「対家計民間非営利団体」における財産運用収入のことで、利子及び配当、地代(土地の純賃貸料)、著作権使用料などが該当するが、構築物(住宅を含む)、設備、機械など再生産可能な有形固定資産にかかる賃貸料は、サービスの販売とみなされて財産所得には含まれない。受取額から支払額を差し引いて求めるため、マイナスとなる場合もある。
- 企業所得 企業部門である「非金融法人企業」、「金融機関」、「個人企業」が受け取る所得で、企業の営業余剰・混合所得に、企業分の財産所得の受け払いを計上したもの。なお、個人企業の所得には、自己所有住宅(持ち家)による帰属家賃を含む。
県内総生産(支出側)
分配で得られた所得が、県内でどのように消費及び投資に回されたかを計測したものであり、市場価格により表示される。推計項目の内容は以下のとおり。
- 民間最終消費支出 県内に居住する家計(個人企業を除く)が行う財貨・サービスに対する支出のことで、一般的には「個人消費」の概念に近い。なお、ここには対家計民間非営利団体の自己消費も含んでおり、また、自己所有住宅(持ち家)については、帰属家賃を計算して消費支出に計上する。
- 政府最終消費支出 県内に所在する一般政府に属する事業所の財貨・サービスに対する経常的支出であり、人件費、物件費、医療給付などからなる。
- 総資本形成 民間企業及び公的企業、一般政府、家計及び対家計民間非営利団体が県内において行う投資活動のための支出をいい、総固定資本形成と在庫変動に区分される。
ア総固定資本形成 建築物(住宅を含む)、構築物、機械設備などへの支出をいう。ただし、経常的に支出される維持補修費等は中間消費として除外される。また、建物、道路、ダム、港湾などの建設物の仕掛工事は、建設発注者の総固定資本形成に含まれる。鉄道用レール及び電線等の取替資産の取替分も、総固定資本形成に含まれる。なお、土地については、土地造成などによる価値の増加分のみ総固定資本形成として計上され、土地の購入費や地価の上昇分は計上されない。
イ在庫変動 企業及び一般政府などの原材料、仕掛品、製品、商品などにおける在庫の物量的増減を市場価格で評価したものをいう。 - 財貨・サービスの移出入(純) 県(国)外との財貨・サービスのやり取りを示しており、輸出と移出(国内における県外取引)の合計から、輸入と移入の合計を差し引いたもの。
持ち家の帰属家賃
実際には、家賃の支払いを伴わない自己所有住宅(持ち家)についても通常の借家や借間と同様のサービスが生産・消費されるものと仮定して、それを市場価値で評価した帰属計算上の家賃をいう。生産では「不動産業」の産出額、分配では「個人企業」の営業余剰、支出では「民間最終消費支出」に含まれる。
デフレーター
実質値を算出するために用いる指数で、各種の物価指数を利用して作成する。ただし、県内総生産(生産側)及び県内総生産(支出側)デフレーターは、名目値を実質値で除すことによって求めており、「インプリシット・デフレーター」と呼ばれる。
制度部門別分類
県内総生産(生産側)で述べた「経済活動別分類」が財貨・サービスの流れに着目した分類であるのに対し、「制度部門別分類」は、資金の流れ、つまり所得の受け払いや財産の所有・運用に関する意志決定を行う制度単位に着目した分類のこと。
県民経済計算の勘定
県民経済計算における勘定は、国民経済計算の勘定に準じて構成されており、「統合勘定」、「制度部門別所得支出勘定」、「制度部門別資本勘定」からなる。
- 統合勘定 統合勘定は、財貨・サービスの取引、第1次所得(雇用者報酬、営業余剰・混合所得、生産・輸入品に課される税(控除)補助金、財産所得)の配分及び移転取引を、制度部門を統合して記録し、一年間における県の経済活動結果を統括したものである。なお、統合勘定は以下の4つの勘定からなる。
ア県内総生産勘定 県内総生産の生産側と支出側を、貸借の概念から捉えたものであり、最も総括的な勘定である。勘定の貸方(支出側)は、県内生産物に対する支出の総額を市場価格によって評価しており、一方、借方(生産側)は、経済活動の付加価値総額を市場価格によって評価している。
イ県民可処分所得と使用勘定 県民可処分所得とは、県内で発生する第1次所得に県外からの雇用者報酬の受取(純)及び財産所得の受取(純)を加え(=「県民」ベースの第1次所得)、さらに県外からの経常移転(純)を加えたものである。これを支払の面からみると、民間及び政府の最終消費支出と貯蓄に区分される。
ウ資本勘定 資本形成とその資本の調達とのバランスについて表した勘定。資本形成側には、「総固定資本形成」、「在庫変動」及び「純貸出(+)/純借入(-)」が記録され、「固定資本減耗」を控除する。資本の調達側には「県民貯蓄」と「県外からの資本移転(純)」が記録され、「統計上の不突合」を控除する。
エ県外勘定 県民経済計算では、県外との経常取引について記録されており、具体的には「財貨・サービスの移出入(純)」、「財産所得(純)」、「経常移転(純)」、「経常県外収支」及び「雇用者報酬」の受け払いからなる。 - 制度部門別所得支出勘定 5つの制度部門(非金融法人企業、金融機関、一般政府、家計(個人企業を含む)、対家計民間非営利団体)別に、可処分所得が消費支出と貯蓄にどのように配分されたかを記録したもの。
- 制度部門別資本勘定 総合勘定の資本勘定と同様の形式で、5つの制度部門別に資産のやり取りを記録したもの。
市町村民経済計算(第3-9表)
市町村民経済計算は、市町村における経済活動を生産・分配の二面からとらえ、市町村経済全体の規模、構造、所得水準などを明らかにするものである。また、一人当たり市町村民所得は、雇用者報酬のほか、財産所得や企業所得など市町村の居住者(家計・企業など)が得た所得の合計を、市町村の総人口で割ったものであり、個人の給与や所得の水準を表すものではなく、企業の利潤などを含む経済全体の水準を表すものである。
産業連関表(第3-10表)
産業連関表とは、国内経済において、一定期間(通常1年間)に行われた財・サービスの産業間取引を一つの行列(マトリックス)に示した統計表である。列(縦)は財・サービスの生産に当たって投入された原材料及び粗付加価値の構成、行(横)は生産された財・サービスの販売(産出)先の構成が示されており、投入産出表とも呼ばれている。このように、産業連関表は、産業間取引を記録する内生部門と粗付加価値及び最終需要を表す外生部門とで構成されており、国民所得統計では捨象している産業間の取引を含む産業活動の全容を明らかにしているところに特色がある。産業連関表は通常、取引基本表、投入係数表、逆行列計数表等からなっている。取引基本表は、産業間で取引された財・サービスを金額で表示したものであり、投入係数表は、取引基本表の中間需要の列ごとに、原材料等の投入額を当該産業の生産額で除して得られる係数表で、ある産業において1単位の生産を行うときに必要な原材料等の単位を示すものである。逆行列係数表は、ある産業部門に1単位の最終需要があった場合、それが各産業部門に対して直接・間接にどれだけの生産波及を及ぼすかその波及効果の大きさを示した係数表である。産業連関表は、取引基本表独自でも産業構造を明らかにすることができるが、投入係数表や逆行列係数表を用いる産業連関分析によって、経済予測や経済計画の策定など広範に利用されている。
統計表
統計表はMicrosoft Excelファイルの形式で掲載されています。
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県民経済計算
- 3-1 県民経済計算主要系列表
- 3-2 県内総生産(支出側)〔名目〕
- 3-3 統合勘定
- 県内総生産勘定(生産側及び支出側)
- 県民可処分所得と使用勘定
- 資本勘定
- 県外勘定(経常取引)
- 3-4 制度部門別所得支出勘定
- 非金融法人企業
- 金融機関
- 一般政府
- 家計(個人企業を含む)
- 対家計民間非営利団体
- 3-5 制度部門別資本勘定
- 非金融法人企業
- 金融機関
- 一般政府
- 家計(個人企業を含む)
- 対家計民間非営利団体
- 3-6 経済活動別県内総生産〔名目〕
- 3-7 経済活動別県内総生産及び要素所得
- 3-8 県民所得及び県民可処分所得の分配
統計表 第3章 県民経済計算・市町村民経済計算・産業連関表(県民経済計算)[Excelファイル/229KB]
市町村民経済計算
3-9 市町村民経済計算
- 市町村内総生産・成長率
- 市町村民所得、1人当たり市町村民所得
- 雇用者報酬、1人当たり雇用者報酬
- 主要系列表
統計表 第3章 県民経済計算・市町村民経済計算・産業連関表(市町村民経済計算) [Excelファイル/70KB]
産業連関表
3-10 平成23年 新潟県産業連関表
- 取引基本表
- 投入係数表
- 逆行列係数表(開放経済型)
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