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【魚沼】メンタルヘルスシリーズ第1回 「ストレスをため込んでいませんか?」
メンタルヘルスに関連する言葉の中でも、よく耳にする「ストレス」という言葉。
仕事に疲れたとき、周りの人との関係があまり上手くいかないとき、慣れていないことをしたときなどに、「ストレスが溜まる」と感じませんか?
内閣府平成20年版「国民生活白書」によると、調査に答えた人の半数が精神的疲労やストレスを感じており、20~50代では「日頃ストレスを感じている」と答えた人が約6割を超えていました。
また、ストレスを感じる理由は、「収入や家計」、「仕事や勉強」、「職場や学校の人間関係」など、個人によって様々な要因が影響していました。
私たちの日常にとても身近な感覚のストレス。ストレスとは一体何なのかを考えてみましょう。
(1)ストレスとは?
ストレス(stress)とは、もともとは物理や機械工学領域の言葉で、外部からの力によって生じる「歪み」のことをいいます。
ストレスを国語辞典で調べてみると、「暑熱・寒さ・細菌・対人関係・恐怖・不安などの精神的・物理的な外部からの刺激に対し、体内でホルモンを分泌して調和を保ったり、防衛しようとしたりする反応、警告反応」(旺文社「国語辞典」)と解説されています。
つまり、暑寒や細菌、恐怖、不安などといった外部からの刺激「ストレッサー」により体内で引き起こされる反応が、ストレスと呼ばれることになるのです。
図式化してみると、次のように考えることができます。
ゴムボールを心と考えると、矢印がストレッサー、凹んだ部分がストレスという図式になります。
矢印が離れればボールが弾力で元に戻るように、心もストレッサーを取り除けば、もとの元気な心がよみがえります。
しかし、さまざまなストレス要因が重なったり、長い間ストレス状態が続いたりすると、ボールに圧力がかかりすぎてしまい、古くなったボールが弾力を失うように、心も柔軟性を失い、ストレス状態になってしまうのです。
(2)ストレッサーにはどんな種類がある?
ストレッサーの種類を大きく分けると次のものが挙げられます。
- 物理学的ストレッサー
暑さ、寒さ、騒音、天災、悪臭など - 生物学的ストレッサー
病気、けが、疲れ、ウィルス、細菌など - 社会的・精神的ストレッサー
人間関係、職場環境、人生の転機、家庭環境、経済情勢など
ストレスを「自分にとってよくない出来事によって引き起こるもの」と考がちですが、結婚や長期休暇、妊娠や成功体験という楽しい、喜ばしいライフイベントでもストレスは発生し、私たちの身体に蓄積されていくそうです。
このように、どんなことがストレッサーとなり、ストレスを感じるかは、一人ひとり異なってくるのです。
(3)ストレス反応は身体に出てくる?
人の身体には変化する外界の環境に対して生体を安定した状態に保とうとする働き(ホメオスタシス)があり、ホルモンや神経伝達物質などが相互に作用し、神経、免疫、内分泌を常に正常に保とうとしています。
ところが、過剰なストレスが引き起こされると、大脳にある視床下部という部位が刺激され、本来ストレッサーの攻撃に対して身体を防御するホルモンが過剰に分泌され、脳下垂体を刺激しさまざまなストレス疾患が引き起こされると考えられています。
(4)ストレスが溜まっているサイン
- 精神面
情緒不安定、イライラ、落ち込み、不安感、緊張、何をするのもおっくう - 身体面
疲れやすい、だるい、頭痛、動悸、めまい、食欲不振、下痢、吐き気 - 行動面
飲酒量の増加、遅刻、早口や大声になる、人の話をさえぎる、のんびりできない - 仕事面
能率が落ちる、職場での人間関係がうまくいかなくなる、昼食時間が短くなる
ストレスが蓄積されてくると、実は、精神面より先に「疲れやすくなったな」「肩こりがとれない」といった身体面からの反応が出てきやすく、私たちに「ストレスが溜まっているよ!」とサインを出してくれていたのです。
自分のストレスサインを知っておくことが、健康を保つ秘訣のひとつです。
(5)ストレスと上手に付き合うためには?
ストレスと上手に付き合うために何をしたらよいのか、いくつか方法を挙げてみましたので、参考にしてみてください。
- 心を楽にする3C
Cognition(認知:ものの見方・考え方を柔軟にする)
Control(コントロール:自分らしく行動しているという感覚)
Communication(コミュニケーション:人付き合いや人間関係を大事にする) - 1日30分、ゆっくり、リラックスした、自分だけの時間を作る。
好きな音楽を聴いたり、お茶を飲みながらボーッとしたり。 - 生活習慣を整える
朝目覚めたら光を浴びて、朝ご飯を食べる。
ぬるめのお風呂にゆっくり浸かって、早めに就寝する、など。
睡眠は、私たちに元気を与えてくれる方法のひとつです。 - 頑張りすぎない!
周りの環境や人間関係に合わせすぎて、自ら負担を増やさない。
たとえ充実感の多い日常でも、頑張りすぎて過剰な負荷がかかっていないか、ときどき心身の状態を振り返る。