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現在の学校における問題提起及び変化の激しい時代に求められるこどもに対して必要な教育のあり方や学校の役割についてお話いただきました。
(主な内容)
・不登校はアジア、特に日本の問題と言われ、世界で不登校がこれほど問題になっている国はない。欧米では、学びの選択肢が学校を含め複数あり、自分で学ぶ内容を選択することができるため、不登校という概念がない。
・今の日本は人口が減少し続けており、10年後にどの会社が存続できるか誰も分からない状況の中で、日本に今足りないものは自ら価値を生み出す人を育てる教育。
・今後、予測困難な世界をこどもたちが生きるためには、学校教育において「主体性」と「当事者意識」を育むことが重要。
・価値観の多様な世の中で生きていくためには、人との対立が起きた際、第三者(先生)から解決してもらうのではなく、当事者(こども)同士で解決できることが大切であり、そのために、対話力を高める必要がある。
・学校教育も学びの主体をこどもに委ねていくことが必要。日本の教育が欧米と比べて遅れているということではない。日本はこれから成長していく。
いじめや不登校がなく、みんなが楽しく過ごせるためにできることについて生徒6人が議論を行いました。
(グラフィックレコーディングを利用し、要点等を可視化しました。)
(主な内容)
【みんなが楽しく過ごせる学校とは?】
・やりたいことに挑戦しやすい学校。やりたいことがあるのに、周りの環境のせいでできないのはもったいない。
・お互いのことを理解し、尊重し合う学校。皆が人それぞれの考えていることに関心を持ってコミュニケーションができたらいい。
・コミュニケーションが盛んな学校。答えのない問いについてコミュニケーションを取り、答えを探っていく時間が必要。
・自分の心に正直になれる学校。周りから否定されたとしても、同じ志を持った人が必ずいるはず。
・学校への向き合い方が一人一人違うことを学校関係者が認識している学校。学校が楽しくないと思っている人たちもいることを理解してほしい。
・みんなが楽しいと思える学校はないかもしれない。人それぞれ考え方が違う中で、不登校が悪いことではないという考えも持ってほしい。
→話の中で、キーワードとして出てきた「コミュニケーション」、「学び方」という点について議論を深めました。
・コミュニケーションに関して:
周りの目を気にしないで自分のやりたいことにチャレンジできる環境。トラブルがあってもコミュニケーションで解決。人とじっくり対話する機会。不安についてお互いに相談できる環境。
・学び方に関して:
学ぶのは自分たち。学校でしかできない学び(受け身の授業だけではなくグループワーク等、人との関わりで新しい発見がある学び)の大切さ。学習の自由進度の保障等。AIの時代だからこそ人間にしかできない感覚の部分を言語化。
第1部と第2部を受け、こどもたちが学校の中で主役となるための意見交換を行い、将来を担う人材育成に向け、学校のみならず、保護者、地域等それぞれの役割について鼎談者がそれぞれの考えをお伝えしました。
[小見]
文科省の調査によると、公立学校が果たすべき役割として、教員は「知識・技能を定着させる役割」を重視している。ディスカッションを通じて、こどもたちが求めているものとのギャップがあり、学びの移行期に来ていると改めて感じた。
[工藤]
社会をよりよくするために、知識を得るだけではなく、「新しい価値を創造する力」、「対立やジレンマを調停する力」、「責任ある行動をとる力」を体験によって学ぶ場所として学校があると思う。
[佐野]
学校でしかできないことができ、自分も行きたいと思える学校をつくっていく必要があると改めて感じた。
<質問(1)>「こどもが主役」の学校になるために、今のこどもたちに対してでできることは?
[工藤]
学校の教員も含め、周りの大人は、こどもに自己決定を促す3つのセリフ(「どうしたの?」「このあとどうしたいの?」「何か手伝うことある?」)によって自己決定を積み重ねることが重要。
[小見]
失敗を恐れずに早い段階から地域の中に出してあげ、こどもの挑戦に背中を押してあげることが大事。
大人がこどものことをこども扱いせず、仲間として向き合うことも重要。
<質問(2)>これからの教員に必要なことは?
[工藤]
ティーチャーではなくコーチャーとなること。
非認知能力を評価(認知)できる力。
[小見]
文科省の調査によると、学生たちだけでなく教員たちもチャレンジしたいと思っているが、その土壌がない状況である。学校内で教員がチャレンジしやすい風土をつくることに加え、教員も自身の弱みや困り感含めて地域や保護者へもっと自己開示をして、対話を通じてつながってもらえば、地域や保護者も一緒にできることがあると思う。
[生徒]
非認知能力は大事とのことだが、どうすれば伸ばしていけるのか?
[工藤]
非認知能力は自分では気がつかないことが多く、自分自身を客観的に評価できるメタ認知力が必要。教員は生徒をよくみて、生徒が自分の欠点を改善するよう取り組んでいる変化を見逃さず、褒めていくべき。
[生徒]
教員の多忙化、人材不足、大学入試の在り方等、課題が多いが何を一番に優先して取り組むべきと考えているか?
[工藤]
教員も含めて、こどもたちが主体性・当事者意識を持つことが一番大事。教員自身の多忙化も、主体性・当事者性を削ぐもの、手段が目的化しているようなものをやめることで働き方も改革できる。
[佐野]
当事者意識・主体性を考えた場合、学校では生徒に自分なりの学び方を学んでもらいたいし、そのアプローチの一つとして自ら課題を見つけ、解決する「探究的な学び」が大事だと考えている。そのためには教員とその想いを共有して、実現することが必要。
[生徒]
課題に対してどのようにアプローチしていくか、実社会で生きるための学びが学校では必要と考えている。そのためには先生は教えるという役割だけではなく、コーチャーとして伴走することが必要だと感じている。また、先生に求めるだけではなく、自分自身も友達との関わり方やコミュニケーションを意識したい。
[工藤]
これからの教育にはネットを介して、世界の知識を得ながら、地元をどう変えていくかという視点が必要。そのためには「目的と他者」が重要となる。探究のための探究では意味がなく、世の中のため(誰のため、何のため)に研究し、社会変革を起こすのか。決して大きなことでなくても、自分の立場でできる範囲のことを人を巻き込みながら変化させてもらいたい。
[小見]
第2部を通じてもっと生徒の声が聞きたいと思うとともに、生徒に寄り添えているのか改めて考えさせられた。参加者の皆さんも、是非、議論を家庭、学校で展開して「何のために学校があるのか」を考えてもらいたい。
新潟県教育長 佐野 哲郎
「新潟県教育の日」トップページ
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