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研究成果詳細解説 高温登熟条件における「新之助」に対する出穂期3日前追肥の効果
高温登熟条件における「新之助」に対する出穂期3日前追肥の効果
令和3年度研究成果高温登熟条件における「新之助」に対する出穂期3日前追肥の効果』について説明します。
令和元年度は8月中下旬にフェーンを含む異常高温に見舞われ、コシヒカリの1等級比率は25%にまで落ち込みました。
一方、「新之助」の1等級比率は98.6%を維持し、優れた高温耐性を有することが再確認されました。
登熟期に栄養凋落して玄米タンパク質含有率が低下した米穀ほど玄米外観品質が低下したことから、登熟期の窒素栄養状態を低下させないことが品質維持のためには重要と考えられました。
そこで、出穂3日前の第二完全展開葉のSPAD値から稲体の窒素栄養状態を予測し、玄米タンパク質含有率6.3%を超過しない範囲で窒素追肥することで、窒素栄養状態の改善と整粒歩合の低下を抑止する技術について紹介します。
一方、「新之助」の1等級比率は98.6%を維持し、優れた高温耐性を有することが再確認されました。
登熟期に栄養凋落して玄米タンパク質含有率が低下した米穀ほど玄米外観品質が低下したことから、登熟期の窒素栄養状態を低下させないことが品質維持のためには重要と考えられました。
そこで、出穂3日前の第二完全展開葉のSPAD値から稲体の窒素栄養状態を予測し、玄米タンパク質含有率6.3%を超過しない範囲で窒素追肥することで、窒素栄養状態の改善と整粒歩合の低下を抑止する技術について紹介します。
出穂期3日前に第二完全展開葉のSPAD値が栽培指針の出穂期の基準値34未満の場合、追肥をします。ただし、穂肥2回目から出穂期3日前までが7日に満たない場合は、SPAD値の測定および追肥は穂肥2回目から7日以降に実施することが望ましいです (穂肥2回目の肥効が残っていると診断を過小評価する可能性があるため)。
【有機】 基肥穂肥ともに有機質50%入肥料で栽培した「新之助」に有機質100%肥料 (N:P:K=7:2:7) をN0,1,2kg/10aとして追肥 (3回目穂肥) しました。特別栽培を想定した追肥法です。
【硫安】 基肥に塩加燐安、穂肥に硫安で栽培した「新之助」に硫安をN0,1kg/10aとして追肥 (3回目穂肥) しました。
有機質100%肥料をN2kg/10a、または、硫安をN1kg/10a追肥すると、止葉SPAD値が 3ポイント程度上昇し、窒素栄養状態が改善されました。
【有機】 基肥穂肥ともに有機質50%入肥料で栽培した「新之助」に有機質100%肥料 (N:P:K=7:2:7) をN0,1,2kg/10aとして追肥 (3回目穂肥) しました。特別栽培を想定した追肥法です。
【硫安】 基肥に塩加燐安、穂肥に硫安で栽培した「新之助」に硫安をN0,1kg/10aとして追肥 (3回目穂肥) しました。
有機質100%肥料をN2kg/10a、または、硫安をN1kg/10a追肥すると、止葉SPAD値が 3ポイント程度上昇し、窒素栄養状態が改善されました。
整粒歩合は、篩目1.9mm精玄米 (色彩選別なし) についてS社製穀粒判別器で測定 (農産物検査値ではない) しました。
品質低下が著しい令和元年度では、追肥により品質が改善しました。一方、追肥をしなくても品質を維持できた年次 (平30,令2) では、元々の品質が高いため、追肥によるさらなる品質向上効果を確認することはできませんでした。
品質低下が著しい令和元年度では、追肥により品質が改善しました。一方、追肥をしなくても品質を維持できた年次 (平30,令2) では、元々の品質が高いため、追肥によるさらなる品質向上効果を確認することはできませんでした。
出穂3日前頃 (ただし穂肥2回目から7日以降) に、第二完全展開葉のSPAD値が栽培指針の出穂期の基準値34未満の状況であれば、有機質100%肥料でN2kg/10a、または、硫安でN1kg/10aの追肥により、「新之助」の玄米タンパク質含有率の上限値6.3%を超過する可能性は低いといえます。逆に、追肥をしないと玄米タンパク質含有率は栽培指針における理想値 (5.8%) を大きく下回ります。玄米タンパク質含有率を適正に維持するためにも追肥は有効といえます。
「新之助」において、出穂期3日前の第二完全展開葉の葉色(SPAD値)が34未満、かつ登熟期の異常高温や栄養凋落が予想される場合、窒素成分量で2kg/10aを上限に追肥すると、整粒歩合の低下を抑止できます。
登熟期の異常高温や栄養凋落に起因する整粒歩合の低下を抑止するため、出穂3日前頃 (ただし穂肥2回目から7日以降) の第二完全展開葉のSPAD値が栽培指針の出穂期の基準値34未満の場合は、窒素成分量で2kg/10aを上限に追肥を検討してください。
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