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新潟県に見られる雑草イネの特徴と除草剤による体系防除

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0535618 更新日:2022年12月12日更新
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これは雑草イネに関する注意喚起チラシです。近年、雑草イネの発生が全国的に問題になっており、新潟県内でも混入被害が見られています。
雑草イネの多くは米の色が赤く、出荷玄米に赤米が多く混入すると検査では異品種混入として扱われ、品種名をつけられずに販売価格が大きく低下します。
赤米は色彩選別機で出荷前に除去することもできますが、雑草イネは非常に脱粒しやすく、出穂から10~14日程度で翌年に向けて種子籾を水田内に落とします。
稲刈りの頃には殆どの種子が水田内に埋土種子として残存し、2~3年でほ場全体に蔓延して、色彩選別機でも対応できなくなります。
雑草イネは早期に発見して、有効な防除法で撲滅させることが重要です。

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日本には3種類のタイプの雑草イネが見つかっており、新潟県内には背高型と擬態型が確認されています。
背高型は全国に広く分布し、擬態型は東北や甲信越で見られ、関東型は関東のみの分布となっています。
主に稈長やふ先色など外観的な特徴と熟期などで分類され、種子の休眠性は、擬態型が深く、関東型が浅く、背高型はその中間となっています。

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平成30年調査時の新潟県内の雑草イネのタイプ別発生状況です。
背高型は県内に広く見られ、擬態型は主に新潟市近辺に見られています。

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写真左は擬態型の雑草イネです。移植栽培のコシヒカリより5日程度早く出穂を始めるため、その時は見つけやすいですが、コシヒカリが出穂してくると草高は同程度で見つけにくくなります。籾の先端に赤いふ先色があり、赤い芒を付けることもあります。
写真右は背高型です。移植栽培のコシヒカリと比較すると、5日程度遅れて出穂し、草高が20~30cm程度高いので見つけやすいです。擬態型と同様に籾に赤いふ先色があり、赤い芒を付けることもあります。

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雑草イネの出芽の深さを見た写真です。その年に出芽するのは田面付近から深さ5cmまでに埋没している種子に限られます。

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雑草イネに効果のある除草剤を処理した場合の図です。地表面付近からの出芽は除草剤の処理層で多くが枯死します。まれに処理層の下から遅れて出芽したり、弱りながらも出芽する個体もあります。下層2~5cmは酸素が少なく比較的発芽は少ないですが、出芽にエネルギーを使い、処理層通過時に枯死するようです。5cm以下の下層からは当年はほとんど出芽しません。

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雑草イネの春の出芽について示した図です。県内の雑草イネは4月下旬以降に水田に水が入ると1週間から10日程度で出芽してきます。水が入って10~30日くらいまでが出芽のピークとなります。県内の多くの地域で田植えを迎える頃となります。なお、4月中旬以前は地温がまだ低く、水田に水が入っても出芽は見られません。

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雑草イネ防除のポイントです。雑草イネの出芽のピークは5月上旬の田植えの頃です。そのころの防除対応がその後の発生量に大きく影響します。代かきは浅水で丁寧に行います。これはすでに出芽した雑草イネを土中に埋め込むためです。移植までに雑草イネが出芽してこないように植代から田植えまでの日数はできるだけ短くします。移植後の除草剤には雑草イネに効果が確認されている剤を選んで使用します。特に移植直後の初期除草剤にはプレチラクロールを含む剤を移植当日に処理して、ほとんどの雑草イネの出芽をここで防ぎます。その後は初期剤処理の10日後と20日後に後処理剤を遅れずに処理することで除草剤処理層が継続され、遅れて出芽してくる雑草イネも抑えることができます。

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具体的な除草体系を上の表に示します。下の表には雑草イネを撲滅させるための発生量に応じた防除工程を示します。雑草イネを早期に撲滅させるためには発生有無の確認も兼ねて手取り除草が必要です。雑草イネの水田での寿命は2~3年程度と考えられます。雑草イネの体系防除を確実に実施して、新しい種子を落とさないように管理することが早期撲滅につながります。

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多発生ほ場の写真です。異変に気付いて3年程度でほ場全体に蔓延する事例が多く見られます。栽培している品種とは違うイネが見られたり、調製作業や検査の際に赤米の混入が確認されたら、雑草イネを疑って早めに関係機関に相談し、早期に防除を検討しましょう。

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除草剤の体系防除では、使用時期や各成分の使用回数が登録の範囲内であることを必ず確認してください。

農業総合研究所 作物研究センター

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