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都道府県立として全国で唯一の日本酒専門の試験場、新潟県醸造試験場の創立91周年記念式典が先月10月18日に新潟市内で行われました!
醸造試験場は1930年(昭和5年)に創立され、以来、清酒の品質向上や酒米の改良の研究、造り手の人材育成に寄与するなど新潟清酒の振興を支えてきました。最近では日本酒学の拠点形成の役割の一端も担い、業界団体等と連携して取り組んでいます。
本来であれば、昨年「90周年」の節目に式典を行う予定でしたが、新型コロナウイルスの影響でそれが叶わず、「91周年」記念として1年越しに実施することができました。
事業報告会の開会挨拶をされる金桶場長
式典の前には醸造試験場の事業報告会があり、直近の研究内容の発表をお聞きしました。
より良い味を造り出す酵母の研究や、自然由来のこうじ菌で酒造りを行えないかという研究(酵母は桜・藤などの花等の自然界から取り出せますが、こうじ菌に関してはまだ未開拓の分野なのだそうです!)など、専門的で少し難しい内容でしたが、普段なかなか知ることのできない試験場の研究はとても興味深く感じました!
式典では新潟県酒造組合の大平会長や醸造試験場の金桶場長が挨拶され、今後の新潟清酒業界の更なる発展のため一丸となって尽力していくことを話されました。
大平会長と金桶場長
その後、新潟大学日本酒学センターの畑特任助教による特別講演が行われました。テーマは、室町時代から江戸時代の浮世絵や物語などの古典文芸に描かれた酒から読み解く『酒の文化』です。
日本酒学センターの畑特任助教
酒VS餅!!(日本酒学展で撮影)
多くの作品の中で酒VS餅(饅頭、煎餅、餅菓子など)の戦いが描かれており、時には敵同士にありながら恋に発展することも…。同じ米で造られることから、餅が酒の定番のライバルに据えられるなんて、昔の人の遊び心を感じますね。個人的には甘いものも好きなので、双方仲良くして欲しいと思ってしまいます!
夏に旭町学術資料展示館で行われていた日本酒学展で展示されていた作品も取り上げられ、解説が聞けたのでより理解が深まりました。お酒は飲む以外にもこのように、視覚からの楽しみ方もあるんですね。
最後に、昨年お亡くなりになられた嶋悌司先生についての鼎談が行われました。
嶋先生は、かつて醸造試験場の場長や新潟清酒学校長をお務めになられ、新潟の酒の代名詞である『淡麗辛口』への旗振り役としても活躍されました。朝日酒造(長岡市)の看板商品の1つである『久保田』の開発にも携わるなど、新潟清酒業界に大きな功績を残された方です。
嶋先生にまつわる思い出話や、昔の醸造試験場・清酒学校の様子など、先生とお会いしたことのない私でも面白く感じるような充実の内容でした!
記念品として、醸造試験場が醸造した日本酒を頂きましたのでご紹介します!
“新潟県醸造試験場 設立90周年+1”
ラベルには醸造試験場の建物外観がプリントされています
【お酒のデータ🍶】
・純米大吟醸 (植物性の「醸造アルコール」を使わず、米と米麹のみで造られたものに『純米』がつきます)
・越淡麗使用 (もちろん県産品です!)
・精米歩合40% (つまり米の60%を削っています)
・アルコール度数 17度 (比較的日本酒の中でも少し高めです)
試験場では毎年試験醸造を行っていますが、販売しているものではないのでなかなか飲めないレアな日本酒です。
県産越淡麗を贅沢に半分以上削り、県で開発された酵母を利用したまさにオール新潟な純米大吟醸です!
ふわっと華やかに香る、少し甘めのお酒でした!この味に至るまでの91年間の軌跡に思いを馳せつつ、美味しく頂きました😋
次の100周年に向けて、新潟県醸造試験場は新潟清酒の発展にますます力を入れていきますので、よろしくお願いいたします!!
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