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新潟県森林研究所の構内には、品種開発や種子供給に関わるにいがた千年松(抵抗性の高いアカマツ)およびクロマツの母樹が約500本植栽されています。本稿では、それらの母樹管理作業の担当者として携わる中で感じた点を紹介します。
構内の母樹では、一本ずつはしごを掛け、秋の球果採種と同時に「剪定」を行っています。この作業では、日当たりを確保するために枝の間引きを行うほか、樹高が高くなると球果の採取が困難になるため、主幹を短くする断幹も行っています。翌年に球果となる雌花を残しながら作業を行う必要があるため、どの枝を切るかの判断が難しい作業です。
写真1 剪定の様子
今年度は球果量が著しく少なく、構内のアカマツおよびクロマツ母樹における球果量は、昨年の1~2割程度にとどまりました(昨年度は並作程度と考えられる)。そこで、球果量が減少した要因について検討を行いました。情報収集の過程で、昨年度(2024年)5月の気温低下が球果の成長に影響した可能性が示唆されたことから、構内の4月1日~5月31日の気象データを確認しました。その結果、一昨年度(2023年)と比較して全体的に暖かい日が多かったものの、5月19日前後に3回程度、10℃以下の気温が観測されていました。この低温が球果の成長に影響したかどうかは現時点では明らかではありませんが、構内の状況を踏まえると、気象の影響だけでなく、母樹の成長による生育環境の狭小化や、もともとの雌花着果量の少なさなど、さまざまな要因が重なった結果ではないかと考えています。
写真2 マツの球果
構内のマツ類母樹管理に携わってみて、管理しているマツ類の状態を見極め、生育環境を整えることの重要性を再認識しました。今後も、剪定年の間隔調整や母樹の接木による原種保存などに取り組みながら、経験を積み重ねていきたいと考えています。
森林・林業技術課 阿部 紋郁