ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
現在地 トップページ > 分類でさがす > しごと・産業 > 農林水産業 > 新潟県森林研究所 > 森林研究所だより ブナを用いた前更作業の有効性の検証(林業にいがた2026年5月号記事)

本文

森林研究所だより ブナを用いた前更作業の有効性の検証(林業にいがた2026年5月号記事)

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0825002 更新日:2026年5月1日更新

1 はじめに

​ 現在、花粉発生源対策として、スギ人工林を伐採した後には、花粉の少ない苗木の植栽だけでなく、広葉樹の導入も推進されています。新潟県内においてもこうした対策に加え、多雪地において雪害などの影響により林業経営上不利となっているスギ人工林が多いことを背景に、広葉樹の導入が推進されています。
 一方で、スギ人工林から広葉樹林への更新・育林技術については明確な指針がなく、更新の確実性を高める施業技術の確立が求められています。
 本稿では、更新技術の一つである「前更作業」の有効性を検証するために実施している調査について紹介します。前更作業とは、上木を残したまま林内に苗木を植栽し、その後に上木を伐採する更新方法です。林内の光が抑えられた環境で植栽することで、下層植生の過度な繁茂を防ぎ、植栽木の定着を促す効果が期待されます。​

2 調査内容

 ​本調査は、村上市内のスギ人工林において実施しました。2017年に間伐が行われた後、同年秋に当所がブナコンテナ苗を植栽しました(写真1)。その五年後の2021年秋に、上木であるスギの伐採が行われました(写真2)。雑草木の刈り払いは間伐前と植栽翌年にそれぞれ一回事業体により実施され、それ以降は行われていません。植栽後から現在に至るまで、当所でブナの生育状況について毎年調査を実施しています。​

3 これまでの調査結果

 上木伐採時には、伐倒木によるブナの枯損はほとんど確認されませんでした。これは、当該スギ造林地において路網が高密度に整備がされていたことから、集材による影響が比較的軽微であった可能性や、ブナにピンクテープが巻いていたことで、作業者がブナに注意を払いながら伐倒や伐倒前の刈払いを行うことができた可能性などが一因として考えられます。
 上木伐採後には、モミジイチゴやタラノキなどの競合植生が発達し始めました。これらの影響により、生育が阻害されたり枯死したりした個体も一部確認されましたが、写真3に示すように競合植生を抜けて上方へ順調に成長している個体も多数確認されました。​

画像1伐採前の様子

写真1 

画像2伐採後の様子

写真2 

画像3現在の様子(調査風景)

写真3 

4  おわりに

​ これまでの生育調査の結果から、上木伐採の前後を通じて、ブナは概ね順調に成長していることが確認されました。
 一方で、上木伐採後には競合植生の発達も見られたことから、今後も継続して調査を行い、それらがブナの生育に及ぼす影響を確認していきたいと考えています。

 

森林・林業技術課 竹石 雄高 

<外部リンク>