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ブナは5~7年に一度豊作があり、豊作年には1平方メートル当たり数百~千個の種子が落下します。
今年2005年の春、県内広い地域で大量の開花が認められ、久々の大豊作であることが予想されています。
表は能生町槇集落と糸魚川地域振興局の協力で得られた1990年以降の結実状況です。この間5回の結実が認められましたが、健全種子の落下量から豊作年は1995年の1回だけであったことがわかります。魚沼市(旧入広瀬村)の林分では2000年にも豊作に近い結実が観測されましたが、能生での結実量はわずかでした。
東北地方の例では70年間で豊作年は13回、5~7年間隔だったという報告があり、中国地方の例でも6年周期という報告があります。しかしながら、今年予想されているような大豊作は10年に一度程度のようです。
このようにブナは豊作と豊作の間が長く、それ以外の年に落ちる種子のほとんどがしいなであったり、健全であってもほとんどが野ネズミなどに先に食べられてしまうので、容易に健全な種子を大量に採取できません。加えて、ブナの種子は1年以上の長期貯蔵が難しく、ブナの苗木生産は豊作年に採取した種子に限られるため、計画的な苗木生産が難しいものとされてきました。そのため地元産の苗を使いたくても、入手しづらいという問題が指摘されています。
ブナの結実の様子
ところが、北海道立林業試験場によって、簡易なブナ種子の長期貯蔵方法が発表されましたので、この機会にご紹介したいと思います。
この方法で5年後まで50~60%の発芽率が維持できたと報告されています。
ブナ種子の落下は新潟県では10月中旬~11上旬の間がにピークとなります。したがって、ブナ種子の採取はこの間に落ちた種子を拾うか、果実がたくさんついた母樹の下にあらかじめブルーシートなどを敷いておき、定期的に回収するのも良いでしょう。
地域固有の遺伝的特性を持つ生物を保全する取り組みは、今後ますます重要性を増してくるでしょう。そのためにも、ブナなど広葉樹を山に植栽する際には、地元産の苗を使用することが大切です。
森林・林業技術課 塚原雅美