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新潟県の民有林人工林面積は約14万haで、その54%が、間伐適期の16~45年生の林です。森林には、木材生産のほか、公益的機能があり、それらの機能を十分に発揮させるには、健全で質的に充実した森林に造成していくことが大切です。
健全な森林にする作業の経費は、基本的にその森林の所有者が負担(国県などから補助金が出る作業もある)しています。近年、木材価格の低迷が続いているため、森林を整備する意欲が薄れ、放置され、荒れた森林の増加が懸念されています。森林整備のうち、間伐では、間引いた間伐木を販売できるので、所有者負担を少なくすることができます。所有者負担を式にすると式1になります。
式1 〔所有者負担〕=〔間伐経費〕-〔間伐材販売利益〕(-〔補助金〕)
※図中の各作業を表す丸に囲まれた数字は、本文中では(1)(2)(3)に置き換えています。
〔所有者負担〕を小さくするには、〔間伐経費〕を小さくし、〔間伐材販売利益〕を大きくすることが重要です。
〔間伐経費〕を小さくするのは、森林組合などの担い手の努力に負う所が多く、より効率的な間伐方法の検討や機械(高性能林業機械など)の導入などが、各所で行われています。
〔間伐材販売利益〕を大きくするには、[1]販路の拡大により売れる部分を増加させること、[2]より高く売れるところに売る(そのために買う側の条件にあった寸法の材を出す必要がある)ことなどが重要です。県林政課では、「熟達オペ確保研修」のなかで、売上を伸ばす採材方法の実習を行っています。
しかし、死節の多い間伐木や虫害にあったものは、チップにして使うしかなく、通常の間伐材の3分の1程度の値段にしかなりません。担い手の経費を低減する努力が水泡に帰すばかりか、将来の主伐時には、その差は更に大きくなります。死節や虫害を少なくするには適期の枝打ちが大切です。
写真 高速枝打ち機
近年、能力の高い保育用機械が開発されています。昨年、当研究所では、そのような近年開発された高速枝打ち機を「間伐材生産にも利用できないか」検討するため、次の3つの作業を比較しました。
(1)この機械で高所まで枝打ち(=枝払い)した後に伐倒、木寄せ、造材する作業
(2)伐倒後、チェーンソーで枝を払い、木寄せ、造材する作業
(3)伐倒後、プロセッサで木寄せ、枝払い、造材する作業
その結果、作業(1)は、(3)のプロセッサの生産性には敵いませんでしたが、(2)と同程度でした。
しかし、作業(1)後に残す木が枝打ちされ、将来高い〔間伐材、主伐材販売利益〕が期待できます。今秋には残す木の枝打ちと併せた作業の経費や立木の価値の変化などを調べる予定です。一般公開も行いますので、興味のある方は見に来てください。
森林・林業技術課 日水和久