ページ番号を入力
本文
「ビタミンD」にはどんな働きがあるのかご存じでしょうか?主要なものは、腸でのカルシウム吸収を高めることです。骨粗鬆症や乳幼児のくる病のような骨に異常が生じる病気を防ぐには、カルシウムとともに、ビタミンDが必要となります。
2つの方法があります。食品から摂取するか、日光浴を行うことです。食品は、(1)サケ、ちりめんじゃこなどの魚類(2)きのこ類(3)肝油ドロップやサプリメントが効果的です。日光浴をすると、紫外線によって人の皮膚で生成されます。
このように得る方法は色々ありますが、普段の食事の中で摂るのが手軽だと思います。特にきのこ類は簡単に調理でき最も手軽な摂取方法と言えるでしょう。
「日本食品標準成分表2010」(文部科学省)によると、きのこ類の中で、ビタミンDの量が多いものは、アラゲキクラゲ14.7μg(輸入乾物※を茹でたもの100g当たり)、マイタケ4.2μg(生を茹でたもの100g当たり)、ブナシメジ3.3μg(同)などがあります。このことから、アラゲキクラゲがきのこ類の中でも特に多くビタミンDを含んでいることが分かります。
※ビタミンDはきのこに紫外線を当てることで増えるため、乾燥方法が天日干しの場合は、元の値よりも大きくなっている可能性があります。
このアラゲキクラゲに注目し、平成26年度から、ビタミンDをより多く含んでいる品種を選抜する研究を始めました。
研究の手順は3つです。(1)野生のアラゲキクラゲを収集する(写真1)(2)収集した品種を栽培する(写真2)(3)栽培したきのこのビタミンDの量を測定する。
平成26年度は11品種収集し、そのうち1品種を栽培・収穫し、ビタミンDの測定を行うことができました。まだ参考程度のものですが、結果は次の通りです。野生品種:21.9μg(乾物100g当たり)、一般に栽培されている品種:15.9μg(同)です。
この2品種間では6μgの違いがありましたが、今後、測定数を増やしていき、アラゲキクラゲのビタミンD量を明らかにできればと考えています。
研究を始めてまだ1年あまりですが、将来、ビタミンD高含有品種を世に出せたらいいなと考えています。アラゲキクラゲを見つけた際は、ご連絡下さい。
写真1 野生のアラゲキクラゲ
写真2 栽培した野生品種
きのこ・特産課 池田裕一