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本県は、菌床ナメコ生産で全国トップレベルですが、その生産に不可欠なオガ粉の大半を県外に依存しています。
また、東日本大震災による東京電力福島原発事故の影響でオガ粉の供給が不安定になっています。
そこで、県内に分布する多様な広葉樹を用いてナメコ栽培試験を行い、各種広葉樹の栽培適性を明らかにすることで、県産広葉樹資源の有効活用と、安全・安心なきのこ生産を進めていくことを目的に研究を行いました。
使用したのは、県内の広葉樹伐採地で原木が入手できた高中木性の樹種で、オニグルミ、ブナ、コナラ、クリ、アオダモ、ホオノキ、ウワミズザクラ、キハダ、カラスザンショウ、イタヤカエデ、ミズキ、ハクウンボク、オオバボダイジュ、シロヤナギ、ネムノキ、トチノキの広葉樹16種です。
対照区は菌床栽培用に市販されている広葉樹オガ粉を使用し、当所で通常行っている栽培条件で栽培試験しました。
調査期間は2番発生までとし、生重量と併せて、発生処理から2番収穫終了までの栽培日数を調査しました。また、きのこの形質も目視で調査しました。
写真1 アオダモオガ粉による栽培
写真2 クリオガ粉による栽培
今回供試した16樹種のうち、一般的にナメコ原木栽培に適する樹種とされてきたのは、ブナ、ホオノキ、イタヤカエデ、サクラ、トチノキ、ヤナギ類、ナラ類です。栽培試験の結果、ブナ、イタヤカエデについては、原木栽培同様、菌床栽培においてもナメコに対する栽培適性のあることが裏付けられる結果となりました。
しかし、コナラ、ホオノキ、シロヤナギ、トチノキの4樹種については、ナメコ菌床栽培では、単独の使用では最適樹種とは言えないことが判りました。クリについては収量が少なく、収穫日も対照区よりかなり遅れ、原木栽培同様、菌床栽培においても不適樹種であることが判りました。
一方で、これまで野球のバットやスキー板の芯材等に使用されてきたアオダモは、多収量で栽培日数が対照オガ粉に比べて短く、子実体の形質も良好でした。また、用材としての用途が限られていたハクウンボク、オオバボダイジュについても、栽培日数が短くナメコ菌床栽培に向いていることが明らかになりました。
今回の調査では、広葉樹を単独で菌床栽培に用いた場合のナメコの菌床栽培に有効な5樹種を明らかにすることができました。
きのこ・特産課 倉島 郁