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近年、低コスト再造林の手法の一つとして「コンテナ苗」を活用した「一貫作業システム」があります。
新潟県内でも、積雪地の緩傾斜地を中心にコンテナ苗を平成26年度から試験的に植栽を始めています。以前に(林業にいがた 2016年5月号)お知らせしましたが、植栽効率はコンテナ苗の方が良く、仮に裸苗と同じ価格で供給できれば、再造林の低コスト化につながります。しかし、効率的に植栽出来ても苗が健全に育たなければ意味がありません。このため、県内の多雪地において、コンテナ苗が裸苗と同様の成長が期待できるか調査する必要があります。
そこで、今回は植栽から2成長期経過した後のコンテナ苗の生残率と成長を裸苗と比較して調査したので、その結果をお知らせします。
植栽試験は、関川村、村上市、そして湯沢町で行いました。いずれも積雪量が1メートルを越える多雪地です。各試験地で、裸苗とコンテナ苗を90本ずつ植栽しました。
生残率の結果は、3つの試験地の平均で、裸苗で95.8%、コンテナ苗で96.6%となり、各試験地とも両苗に統計的な違いは見られませんでした。
次に成長量ですが、樹高と根元径で違う結果となりました(図1)。樹高成長量は、ほとんど変わりがなく植栽時の樹高差が二成長期後もほぼそのままでした。一方、根元径は、当初細かったコンテナ苗の方が成長量は大きく、二成長期後には、裸苗と同程度の太さになりました。
この結果、植栽当初は形状比(樹高/根元径)が高く徒長気味であったコンテナ苗ですが、その値は徐々に改善し、全ての試験地で裸苗と同程度の値となりました(図2)。
これらのことから、二成長期後には裸苗とコンテナ苗で苗の形状に大きな差がなくなる事が示されました。
図1 植栽から二成長期後までの樹高(上)と根元径(下)の平均値の変化
図2 植栽から二成長期後までの形状比の平均値の変化
今回の調査結果から、生残率や成長量において、コンテナ苗は裸苗と遜色ないことが分かりました。よって、緩傾斜地の多雪地においてはコンテナ苗を利用しても問題は少ないと考えられます。
現在、傾斜20度以上の中~急傾斜でも同様の試験を実施しているため、結果が分かり次第お知らせしていきたいと思います。
森林・林業技術課 宮嶋大介