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新潟県では乾燥や強度などの基準を満たす越後杉(越後杉ブランド認証材)を補助基準量以上使用した住宅の建設を支援しています。これらの住宅では一般の住宅よりも県産材が多く使われていると考えられ、その木材使用実態を把握することは県産材の利用拡大のヒントになると考えられます。そこで、外材や他県産材などの使用量もあわせて確認できた平成23年度と平成24年度の補助対象住宅について木材使用実態を調べました。
対象となった住宅は954棟で、平均延床面積は約137平方メートル、平均木材使用量は約27.8立方メートル、1平方メートルあたり0.202立方メートルでした。全木材使用量に占めるスギの割合は約8割(越後杉は6割超)で、特に管柱、通し柱、母屋・棟木などは9割を超えていました(表)。一方、根太・筋かい・垂木・横架材ではベイマツが、胴縁・野縁では北洋アカマツが比較的多く使われていました。なお、材せいが240ミリメートル以下の横架材ではスギが概ね9割を占めており、小断面横架材でのスギ利用がかなり浸透しているようです。大引き・管柱・通し柱は国産材割合が8割を超えていましたが県産材割合が比較的低位でした。これらの部材での県産材の利用拡大が期待されます。
また、部材寸法に地域的な特徴が見られました(図)。全県では材幅120ミリメートルの部材が多かったですが、下越では材幅105ミリメートルの部材が、佐渡では材幅135ミリメートルの部材が比較的多く見られました。
スギ人工林の長伐期化にともない、生産される丸太の大径化が進み、多様な木取りが可能になってきていますので、これまで県産材があまり使われなかった部材でも県産材利用が進むことを期待しています。
なお、詳しい調査結果を森林研究所のホームページで公開していますので参考にして頂ければ幸いです。
表 主な部材の樹種割合
図 スギ横架材の断面寸法別割合
きのこ・特産課 岩崎昌一