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スギ人工林の成長により大径材の供給拡大が見込まれています。心持ち柱に適した径の丸太が不足しているとの声も聞かれるようになってきました。丸太が太くなると様々な木取りが可能になります。心持ち構造材のほかに心去り構造材や羽柄材なども生産し、歩止りを高めていくことが重要になります。
心去り構造材(写真1)は節の少ない一番玉から製材されることが多いため材面品質の向上が期待できます。また、同じ丸太から製材された心去り正角と心持ち正角の縦圧縮強度を比較したところ、心去り正角の強度は心持ち正角の強度と同等以上でした(図1)。心去り正角は、形成層が未成熟な時期に形成され物理特性が不安定な未成熟材をあまり含まないため、心持ち正角に比べて強度性能が優れていると考えられます。
写真1 心去り正角
図1 心去り正角と心持ち正角の縦圧縮強度
心去り構造材の製材では、のこを入れる順序が何パターンか考えられ(図2)、製材効率や変形の出方が異なります。送材車付き帯のこ盤を使う場合、はじめにセンターカットする方法(図2左)は半割材の出し入れなどに時間を要するため製材効率が落ちますが、製材時の変形が比較的小さい方法です。一方、はじめに太鼓挽きし、その後に外側から順に挽いて切り出す方法(図2右)は製材効率が高いものの、先に切り出される方に大きな変形が生じることがあります。なお、変形(反り)の向きを上下交互にして桟積みし、重りを載せて人工乾燥することで製材時に生じた反りを半分以下に矯正できることが確認されています。
また、心去り構造材は心持ち構造材に比べて乾燥が速く、表面割れが生じにくいため乾燥が比較的容易です。正角の場合は乾燥時の最高温度を90℃程度にすれば2週間位で乾燥できると思われます。なお、心持ち構造材と同じ乾燥スケジュールで高温乾燥をすると大きな内部割れが生じることがあります。100℃以上の高温処理は24時間以内にとどめる方が良さそうです。
図2 のこ入れ順のパターン
これまでの調査により、新潟県産スギ心去り正角の曲げ強度や縦圧縮強度が基準強度(※)を上回っていることを確認しています。ただし、大節や死節は強度を低下させる要因になるので可能な限り取り除くことをおすすめします。
※ 平成12年建設省告示第1452号 無等級材の基準強度
きのこ・特産課 岩崎昌一