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森林研究所たより 原木シイタケのリス食害を減らすには(林業にいがた2022年3月号記事)

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0463548 更新日:2022年3月1日更新

原木シイタケのリス食害を減らすには

はじめに

 森林研究所では、きのこ生産者に向けて技術指導や技術要望に対応するため菌床きのこ栽培に関連する研究を行っています。きのこに関する技術的な照会は普段研究員が取組んでいない原木栽培に関する事柄もあるため、技術研鑽のため原木伐採から植菌、収穫まで近年行っています。
 その中で、原木シイタケに食害が発生したことから、身近な資材で防除に取組んでみたので紹介します。

リスの食害と防除法

 春の一番発生シイタケが何者かの食害を受けましたので、センサーカメラを設置し犯人捜しをしてみました。すると、映像には冬毛をまとった素早い動きのホンドリス(以下、リス)が写っていました。
 一番発生のシイタケのほとんどを横取りされ、二番発生に至っては、成長を待ちきれずに原木に歯の跡がつくくらいきれいに芽まで食べ尽くされました。(写真1、2)
 そこで、リスに全部食べられないよう、さらには機械類や薬品類を用いず安全で資金もあまり投入せず、材料も資材も身近なもので防除する方法を検討しました。
 香辛料である鷹の爪を用いカプサイシン効果に期待することにし、実から種をほぐして10分間煮出し一晩放置した液(以下、鷹の爪スプレー)を作り、スプレーボトルに入れ、芽と収穫前の状態のシイタケに2回噴霧しました。
写真1 シイタケをほおばるリス
写真1 シイタケをほおばるリス
写真2 芽までかじるリス
写真2 芽までかじるリス

防除の効果

 映像を確認すると、噴霧2日後にリスは姿を見せたものの匂いを嗅ぐだけで立ち去り、その2日後にもリスはほだ木周辺で匂いを嗅ぐ姿が多く見られ、続けざまに食害することはありませんでした。その後、ほだを崩しシイタケを全量収穫し液噴霧の有無と食害の状況を記録しました。(表)結果を見ると、噴霧の有無で被害の割合に大きな差があり、鷹の爪スプレーはリスの食害に忌避効果があるようです。
 センサーカメラでリスの活動状況を確認すると、1 一度味をしめたら執拗に食害する、2 場所を覚えたら芽まで食べ尽くす、3 辛い味を一度体験するとしばらく来襲しない、と思われる行動パターンがわかりました。
表 収穫の状況
  収獲(個) うち食害(個) 食害率
噴霧あり1 14   1  7%
噴霧あり2 20   3 15%
噴霧あり3 12   2 17%
噴霧あり4 10   1 10%
56   7 13%
噴霧なし1 18 13 72%
噴霧なし2  8   7 88%
26 20 77%

 

おわりに

 今回の鷹の爪スプレーには展着剤がなく雨続きでは効果が薄れると思われるので、安全で手軽、展着効果の見込める資材を加えて忌避効果を高める必要があります。
 リスは味を覚えるとシイタケを食べ尽くす恐れがありますので、機会がありましたら是非一度お確かめください。

きのこ・特産課 倉島 郁

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