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皆さま、きのこの価格は安値安定のイメージがありませんか?低価格が定着したため、きのこの生産現場ではコスト低減が長年の課題です。そこで、少しでも資材価格を抑えられるよう、県内に豊富にあるもみ殻がオガ粉の代わりに利用できないか検討しました。
なお、試験で使用したもみ殻は全て、粉砕等をしていない未加工の状態です。
試験は、ナメコとエノキタケ、およびアラゲキクラゲで行いました。
ナメコでは、オガ粉の重量比25%まで、もみ殻置換が可能でした。また、通常のオガ粉培地よりもみ殻入り培地の方が、さらに、10%置換より25%置換の方が収量が多くなりました(図1)。なお、栽培ビンへの充填量はどの試験区も同じです。一方で、2回目収穫までの日数が長くなる傾向があったので、収穫を2回行う生産現場では注意が必要です。
図1 もみ殻置換率と1ビン(800mL)当たり収量(ナメコ)
エノキタケでは、オガ粉の容積比50%まで置換でき、収量(図2)や生育日数への悪影響もありませんでした。ただし、ビンへの充填量を通常培地と同等にした場合、培地に隙間が多くでき、きのこの発生に支障が出ることが分かりました。そのため、充填量を多めに調整する必要があります。
図2 各試験区の1ビン(850mL)当たり収量(エノキタケ)
アラゲキクラゲも、オガ粉容積比50%まで置換可能で、通常培地と同等の収量が確保できました(図3)。
なお、今回栄養材に使用した乾燥オカラは、発生が短期間に集中する傾向があるのですが、もみ殻置換培地ではその傾向が強まるため、栽培計画に合わせて培地作成の時期や菌床数を決めるようにしてください。培地充填量は、どの試験区も同じです。
図3 各試験区の1袋(1kg)当たり収量(120日間の総量,アラゲキクラゲ)
もみ殻は、水をはじき易く吸水性・保水性が低い、という欠点があります。また、培地がサラサラして崩れやすくなるという特徴もあります。そのため、
(1)培地の含水率を高く設定しない
(2)可能なら培地成型時のプレス動作を2回実施する
(3)成型後の培地に過度な衝撃を加えない
などの点に注意して使用してください。
最近、モノの価格が上昇を続けていて、私たちの生活にも、きのこの生産現場にも大きな影響を及ぼしています。試験開始時は、ここまでの物価上昇は予想していませんでしたが、今回の試験結果が少しでも生産現場のコスト削減につながれば幸いです。
きのこ・特産課 武田 綾子