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細り表とは、樹高と胸高直径をもとに、それぞれの高さ(地際からの距離)における無皮直径を求めるためのものです。
新潟県では細り表はいままで整備されていませんでしたが、今後は、立木の状態で任意の高さの直径を知ることできるようになります。それにより販売材積の推定が可能となり、おおよその材価を把握するのに利用することができます。
細り表を作成するため、県内17箇所(図1)でスギ樹幹の細り調査が行われました。この調査にあたり、林政課及び県内各地域振興局と県内森林組合をはじめとする林業事業体の協力を頂きました。
図1 県内での細り調査地点
調査木は被圧木を除いた上層木とし、林縁木や被害木等を除いたA・B材として利用可能なものを対象としました。その結果、解析対象木として439本分のデータを得ることができ、このデータを相対化したものをもとに相対幹曲線式を求めました。相対幹曲線式とは、樹幹の形状を3次曲線式に当てはめるもので、次式の係数 a,b,c を求めます。
y = ax^3+bx^2+cx (式)
その結果、図2に示したような形状の曲線式が得られ、各係数が求められました。
図2 相対幹曲線式のグラフと曲線式
得られた式は、x が相対樹高(相対位置)、y は相対直径となっていることから、知りたい相対樹高を x に代入することでその相対樹高に対する相対直径 y が求められます。まず、14mから37mまでの相対樹高を1mごとに計算し、それぞれ相対直径を求めました。
このように求めた相対値を用いて、胸高直径に対する比率からそれぞれの樹高に対する直径を求めることができます。ただし、この直径は、樹皮の厚さを含んだ値となっています。素材(丸太)は樹皮を除いた寸法を測定し材積を求めることから、この直径から樹皮の厚さを除外する必要があります。
令和元年11月に村上市内の木材土場で140断面の樹皮の厚さを測定しました。その結果平均樹皮厚率で4.1%という値を得ることができました。この樹皮厚率を先ほど求めた直径から除外し、日本農林規格の素材の寸法単位を適用し、14cm以上は2cm括約、14cm未満は1cm括約にし、細り表を作成しました。示した表は胸高直径30cmの例で、他にも各直径別の表を作成しています。表の見方は、樹高25mの木の場合、地上から8mの位置を見るとその直径が22cmとわかります(点線部)。なお、この直径は樹皮を除いた径を示しています。
表 作成した細り表(胸高直径30cmの例)
この細り表を作成する元となった調査は県内の様々な林分で行われており、新潟県全体の平均的な細りが示されていますので、県内の素材生産でお役立ていただければ幸いです。
森林・林業技術課 岩井淳治