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森林資源の成熟や、花粉症対策の観点から再造林が推進されているところですが、林業用種苗の生産と供給に関する当所業務の一部をご紹介します。
林業用の種子や、さし木苗を作るためのさし穂(以下種穂とする)は、近年では民間事業者でも生産可能になる場合もありますが、一般的には各県の県営育種園等で生産する場合が多いです。当県で現在稼働している育種園は図一のとおり三ヵ所あり、(1)和島林木育種園では、スギの種子やさし穂生産、(2)朝日林木育種園では抵抗性クロマツ種子生産、(3)当所構内ではにいがた千年松(アカマツ)とクロマツの種子生産を行っています。(1)、(2)の育種園については各地域振興局が管理下しており、健全な種穂の安定生産のために年間を通して生産母樹の育成(病害虫対策や母樹の剪定等)を行い、適期に種穂を採取をしています。生産された種穂は当所へと集められ、当所で一括管理します。
生産された種穂を苗木生産者に配布する際には、産地だけでなく、品質鑑定を行いその結果も明示することが林業種苗法で定められています。
種子の鑑定では、純量率(葉や球果鱗片等の爽雑物を除いた種子割合)や、千粒重、発芽率等を調べ、それらを基に一平方メートル当りの種子まきつけ量の情報を提供しています。中でも発芽率の調査は期間を要するため、種子が集まり次第、大体一月頃から鑑定を開始します。写真一のように濾紙を敷いたシャーレに種を撒き、光の照射時間と温度を設定できる人工気象器の中で静置し、スギでは二十八日間、マツ類で二十一日間の観察を行います。一般的にスギは三十~四十%前後、マツ類では八十~九十%前後の発芽率となっています。 さし穂については、鑑定はありませんが、三月に母樹から採取した際に、穂の芯(梢端の成長していく部分)に枯れ等がないか、径が細すぎないか、写真二のように穂づくり(さし木をするために余分な枝葉を切り落とす)した際の状態をイメージしながらなるべく適切なさし穂を苗木生産者へ配布できるよう確認作業を行っています。
森林・林業技術課 伊藤 由紀子