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ナメコ菌床栽培では、ブナやコナラなどの広葉樹おが粉を使用します。ナメコ栽培では、菌糸成長阻害物質であるタンニン量が少ないおが粉を使用することが理想です。コナラはタンニンがブナより多く、きのこの収量が劣るとされています。このため、コナラおが粉を用いる場合は、菌糸成長阻害物質を加水分解などにより除去すると同時に、菌糸を伸ばしやすくするために含水率を高めてから使用することが望ましいと考えられています。そこで、コナラおが粉を用いて培地調整前の浸水処理(以下、処理)がナメコの収量と生育日数に及ぼす効果を検証しました。
使用したおが粉は2023年購入(以下、当年おが)と2022年購入(以下、前年おが)の2種類、それぞれ半分を処理、未処理に分けました(以下、浸水したおが粉を当年処理おが、前年処理おが)。処理は、培地調整日前の約1週間、容器に水道水を溜め、そこにおが粉を浸し、換水せずに放置しました(写真1)。一方、未処理は培地調整の前日まで水道水を加えませんでした。これらのおが粉でメーカー品種のナメコ栽培試験を行った結果を紹介します。
写真1 おが粉の浸水処理
栽培試験の結果は表1のとおりです。まず、収穫したナメコ(写真2)の1ビンあたり収量は、前年処理おが(平均140.8 g)が最も多く、次いで当年処理おが(平均136.3 g)、前年おが(平均135.8 g)、当年おが(平均132.4 g)の順に多く、処理を行うとわずかに収量が増加しました。処理の効果は、1ビンあたり収量が4.47 gの増加でした。
また、菌掻きから収穫までの生育日数は、当年処理おが(平均16.17日)で最も短く、次いで前年処理おが(平均16.27日)、当年おが(平均16.43日)、前年おが(平均16.79日) の順で短く、処理を行うとわずかに生育日数が短くなりました。
以上のことから、浸水処理は収量の増加や生育日数の短縮が認められました。しかし、1ビンあたり収量の増加は4.47 g、生育日数の短縮は1日未満と劇的な効果ではないことから、浸水を行う手間などの生産コストを考慮して処理の実施を検討すべきと考えられました。
今後も皆様に研究成果をお知らせできるように、引き続き栽培試験を行っていきます。
表1 栽培試験の結果
写真2 浸水処理したナメコの栽培状況
きのこ・特産課 清水達哉