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森林研究所たより 高齢化したコナラ林の低密度化を抑制する萌芽更新方法(林業にいがた2024年12月号記事)

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0202412 更新日:2024年12月2日更新

1 はじめに

里山のコナラ林は、かつて薪炭林として、15~30年程度の短いサイクルで伐採、萌芽更新を繰り返す、短伐期施業が行われてきました。しかし、燃料革命によってその利用が減り、高齢・大径化しています。高齢化したコナラは萌芽能力が低下するため、伐採して利用しようとすると、伐採株が枯死して、次第に林の密度が低下し、持続的な利用が困難になることが知られています。

そこで、伐採株の生存率の向上を目的として、高齢化したコナラの株立ちの幹を2段階で伐採する方法が、伐採株の枯死による林の低密度化の抑制に有効であるかを検証しました。

2 調査地と方法

調査地は村上市内のコナラ林で、地元の林業事業体が、シイタケ原木林を目標として、短伐期施業への移行を図っている林です。林齢60年生時に、1回目の伐採が行われました。伐採方法は、一般的に行われている全ての幹を伐採する方法(以下、全幹伐採)と、幹を1~数本残して伐採する方法(以下、幹残し伐採)の2パターンです(図1)。更に、幹残し伐採した木は、6年後に2回目伐採を行いました。

調査は、(1)2回目伐採時点での伐採株の生存状況(全幹伐採株と幹残し伐採株を合わせて56株)と、(2)2回目伐採から5年間の萌芽枝の成長量(各7株の萌芽枝の根元直径及び高さ)を確認しました。

2段階伐採による萌芽更新方法のイメージ図

図1 2段階伐採による萌芽更新方法のイメージ

3 調査結果

(1)生存状況は、全幹伐採の生存率が45%に対して、幹残し伐採が100%となり、幹残し伐採では株の枯死はみられませんでした(表)。

(2)萌芽枝の成長量は、全幹伐採と幹残し伐採で同程度となりました(図2)。

すなわち、幹残し伐採された株は枯死せず、また、萌芽枝の成長も全幹伐採と同程度という結果となりました。このことから、幹残し伐採は、高齢化したコナラ林の伐採株の枯死を防ぎ、低密度化の抑制が可能な更新方法であると考えられました。

 

表 伐採方法別の株の生存状況調査結果

伐採方法別の株の生存状況調査結果

 

2回目伐採後5年間での伐採方法別の萌芽枝根元直径及び高さの推移

図2 2回目伐採後5年間での伐採方法別の萌芽枝根元直径(左)及び高さ(右)の推移

  • 5年間生存した萌芽枝(全幹伐採株:33本、幹残し伐採株:32本)を集計した
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4 おわりに

本調査地では、1回目の伐採時に、事業体によりコナラ苗の植栽も行われています。それは、1回目の伐採の前でもすでに株密度が低くなっているため、全て生き残っても、次回の収穫には十分な密度にならないからです。今後は、幹残し伐採と植栽等を併せた施業により、林を高密度化し、短伐期施業林へと移行できればと考えております。

本調査を行うにあたり、有限会社丸実様にご協力いただきました。この場を借りてお礼申し上げます。

森林・林業技術課 伊藤 幸介

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