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Q2-1 原子力発電所の建屋のひび割れの評価基準は何を適用することが妥当か
ご質問1
なぜ、一般建築物を対象とした、日本建築防災協会「震災建築物の被災度区分判定及び復旧技術指針」を適用するのか?
ご質問2
「復旧技術指針」にはひび割れ幅1.0mmについて、評価基準として使用することを認める直接的な表現はないのではないか?1mm以下は評価不要とする根拠があいまいではないか?
ご質問3
この指針が作られた背景として兵庫県南部地震があり、明らかに一般の建築物を想定したものであり、特殊な建築物、とりわけ危険な建築物である原発にまで拡大適用されることが想定されていないのではないか?
ご質問4
早急な復旧に資する「復旧技術指針」を根拠とすることは、原子力発電所の地震による被災を評価する上で不十分ではないか?
ご質問5
「復旧技術指針」の原子力発電所への適用の可否について再検討すべきではないか?
ご質問6
日本建築学会「原子力施設における建築物の維持管理指針・同解説」(2008年)を適用すべきではないか?
ご質問7
他の同種の指針等はないのか?あるとすればどのような内容か?
小委員会の議論の状況等
東電説明
建築物の評価に用いる各種指針の用途と適用対象を整理。「復旧技術指針」の適用範囲は用途や構造規模により特定されたものではなく、原子力施設を含めて適用可能である。
原子力施設における建築物の維持管理指針は、通常の維持管理で確認するひび割れについては、定量的な評価基準が示されているが、地震等により生じる構造安全性に影響しうるひび割れに関しては、定量的な評価基準は示されておらず、ひび割れの状況を確認し、検討を行うこととされている。
当社の点検・評価計画書では、地震により生じるひび割れとそれ以外のひび割れを類別し、地震により生じたひび割れは全て補修することとしている。また、併せて、地震観測記録に基づいて解析的な検討を実施することとしているので、当該指針との整合はとれている。
委員意見
「復旧技術指針」に基づく評価は、米国の原子力発電所の建物に適用している指針よりも保守的であるから妥当ではないか
委員意見
地震の多い日本で原子力施設専用の指針が無いことは釈然としない
技術委員会の評価
委員から、最適な基準を唯一限定するのは困難であるが、東京電力が採用した基準は、米国の原子力施設の基準より保守的であり、また、実験等から算定された合理的な基準であるため、物理的に考えれば十分に耐震安全性は保たれているとの意見があった。
技術委員会としては、東京電力が「復旧技術指針」を参考として、ひび割れの評価基準を定めたことに技術的な問題はないと判断した。