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【上越】「上越地域における新田開発のあゆみ(用水編)」 を紹介します
(10) 中郷地域の用水
貯水量9万立法メートルの松ヶ峯溜池
上越市中郷区の水田約400ヘクタールの大半が、直接・間接的に片貝川の水に依存しています。戦後、用水末端地域の板橋・藤沢・二本木・松崎・市屋集落では、夏になると毎年のように水不足に悩まされていたことから、国の補助事業を活用し昭和28年(1953)から江口地内の松ケ峯に融雪水や湧水を貯水する約9.3万立法メートルのため池(堤高7.7m、受益面積60ヘクタール)の建設に着手し、昭和35年(1960)に完成しました。
しかし、近年においても引き続き水不足が生じていたことから、防衛省の補助事業を活用し、平成6年(1994)には、230ヘクタールの耕地を潤す泉溜池(貯水量24.5万立法メートル、堤高14.5m)、平成28年(2016)には、約50ヘクタールを潤す水上溜池(貯水量12万立法メートル、堤高14m)が建設されました。
猿崩用水取水口
片貝川以外からの取水施設としては、江戸時代の中頃に開削されたといわれる中郷区の岡沢・西福田新田、妙高市の三本木新田などの耕地約200ヘクタールを潤す猿崩用水があります。
矢代川上流、矢代川第1発電所の放流路から取水するこの用水は、起点部で382mの水路トンネル水路を流下し、中郷村西部地区(県営ほ場昭和59年~平成9年)で整備された耕地等へ水を供給しています。水路トンネルや用水路の一部は、老朽化して危険な状況であったことから、県営ため池等整備事業:岡沢地区(平成1年~平成6年:事業費 3.6億円)で改修された施設です。