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ふるさとの環境づくり宣言
新潟水俣病が発生して公式に確認されてから40年を迎えることを契機に、泉田知事は2005(平成17)年6月6日に「ふるさとの環境づくり宣言」を発表しました。
ふるさとの環境づくり宣言~新潟水俣病40年にあたって~
昭和40年、新潟県が新潟水俣病の発生を公式に発表して以来、6月12日で40年が経過します。
昭和31年に熊本県で水俣病が公式に確認されてから10年が経過してからの出来事であり、公表でした。当初の原因究明が十分になされず、被害拡大を食い止めるための国の有効な対策がとられなかったとはいえ、結果として新潟水俣病の発生を防止できなかったことについては、誠に遺憾であります。
新潟水俣病は、人々の健康に甚大な被害をもたらしたばかりでなく、かけがえのない新潟の自然の恵みが汚され、さらには地域住民の絆が損なわれるなど我々に多くの問題を投げかけました。
新潟県では、新潟水俣病被害者の救済のため健康調査を実施するとともに、徹底した工場排水の規制を行ってきました。さらに、失われた地域のコミュニティの再生を図るべく、被害者に対する差別偏見の解消にも努めてきました。
しかしながら、40年を経過した今もなお、新潟水俣病被害者及びその家族の方々が健康被害と不安に苦しみ、その経済的社会的損失が未だ解決しきれていない状況にあります。そして一方では、新潟水俣病が長い歳月を経て、ともするとすべて終焉したものとして忘れ去られ、その教訓がいかされることなく風化してしまうことが懸念されます。
行政として果たすべき責任は、すべての新潟水俣病被害者の方々が地域社会の中で安心して暮らしていけるようにすること、多くの犠牲を生み出したこの悲劇を未来への教訓として活かしていくことにあります。
こうしたことから、新潟水俣病の発生から40年を迎えるにあたり、新潟県ではこれまでの施策を一層発展させ、さらに次の事業について積極的に取り組んでまいります。
一、被害者の高齢化に対応した保健福祉施策の充実を図る。
二、被害者を支援する県内ボランティア組織の育成と環境保全のための関係団体とのネットワークの強化を図る。
三、食の安全を確保するための制度的枠組みを整備する。
四、次世代を担う青少年への環境教育を充実させ、新潟水俣病の歴史と教訓の情報発信を強化する。
以上、新潟水俣病40年を契機に、新潟県は、犠牲を強いてしまった歴史とそれを乗り越えてきた方々の労苦を改めて振り返り、今こそ私たちの生命を育んできたふるさとのかけがえのない自然を二度と汚さないこと、そして生命とその源である生態系を守ることを第一の価値として行政運営することを宣言します。
平成17年6月6日 新潟県知事 泉田 裕彦
ふるさとの環境づくり宣言推進事業
宣言の中で示した、被害者等の高齢化に対応するための保健福祉施策の充実や、新潟水俣病の啓発と情報発信の強化などの新たな取組みを、平成18年度から実施しています。
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