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【新発田】農業水利施設百選:県内最大級を誇る阿賀野川頭首工

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0058249 更新日:2019年3月29日更新

県最大の水量を誇る阿賀野川の用水施設

阿賀野川頭首工の役割

 阿賀野川の左右岸の耕地、約11,600haを潤す県内最大の取水施設です。
 右岸側は、福島潟周辺の新潟市北区、新発田市の月岡温泉周辺まで、さらに阿賀野市全域の約8,300ヘクタールに用水を供給しています。
 これらの耕地の用水施設は右岸側で、豊栄土地改良区、阿賀野川土地改良区ほか、豊浦郷土地改良区、笹岡土地改良区の4つの土地改良区が連合を組み、阿賀用水右岸連合として管理をしています。
 また、左岸側は、早出川土地改良区、新津郷土地改良区の2つの土地改良区が阿賀野川左岸土地改良区連合として管理をしています。

頭首工の大きさ

阿賀野川頭首工のイメージ写真
県内最大級の用水を取水する阿賀野川頭首工

 頭首工の長さは206mで、1門32mのローラーゲートが3個と転倒式のゲート巾38mのものが2個あり、そのほか、土砂吐ゲートや舟通しゲートや魚道が左右岸に設置されています。
 なお、洪水となった場合は、ローラーゲートをまず操作して、それから、洪水吐、土砂吐を上げ、最後に転倒ゲートが、転倒し始めます。

取水量はどれくらい?

魚道のイメージ写真
左岸側にある魚道の様子

 左右岸併せて、最大取水量は、1秒間に約48立法メートルを取水しています。そのうち、右岸側で最大約33立法メートル、左岸側で約15立法メートルの水を取水しています。
 右岸側からの取水は、農業用水の取水だけでなく、県企業局用水道や新潟東港地域水道、阿賀野市上水道としても使っているので、連合も入れ、4者で頭首工や水路の維持管理費を負担しています。

県管理はいつから?

 平成元年4月から国営造成施設として、新潟県が管理していますが、その前は、左岸連合、右岸連合で管理をしていました。現在、県は保守管理、運転操作を阿賀用水右岸土地改良区連合に委託していますが、その管理費は年間約8,000万円も要しています。
 主な内訳は、運転操作委託費のほか、施設の補修、維持管理費や電気代(年間約170万円)となっています。水を田んぼに掛ける時期は、昼間2名、夜間2名体制で管理を行い、洪水になれば、緊急に操作員を呼び出して、施設の確認点検等を行う必要があります。

頭首工ができる前は?

 右岸側では、大規模な取水口が2カ所あって、ひとつは南耕隧道、もう一つは新江の取水口というのが下流にありました。この新江用水は、1734年(享保19年)に田に水を引くために新発田藩が造りました。その当時、洪水に困っていた新発田藩は、信濃川に合流していた阿賀野川を分水させるため、阿賀野川の上水を新潟市松ヶ崎地内で1730年(享保15年)、分水工事(松ヶ崎分水路工事)を行いました。
 しかし、翌年の洪水により、大破し、阿賀野川の本流となり、河床が大幅に下がり、用水が取れなく困って、新江用水が造られました。

当時あった新江取水口と南耕用水取水口イメージ
当時あった新江取水口(左)と南耕用水取水口(右)

 さらにこの上流でも、戦後の電源開発が行われ、上流で数多くのダムが築造されたのも影響し、水が十分にとれなくなってしまいました。毎年用水不足で悩んでいた農家の人たちは、用水の安定供給と農業の生産性向上と農業経営の安定を目ざして、この施設の建設を国に要望しました。
 昭和38年にいろいろな人たちから反対もありましたが、ようやく地域の要望をまとめ上げ、昭和38年から国営阿賀野川用水農業水利事業として、この阿賀野川頭首工ほか、幹線用水路(約90km)を昭和59年までに整備しました。そして、昭和42年から取水が開始されました。

頭首工ができて、今は?

※豆知識
 阿賀野川の長さは、210kmで、日本で10番目。上流は、福島県の猪苗代湖、群馬県側からは尾瀬の水を受け、只見川を流下し、阿賀野川となっています。さらに、この阿賀野川水系は、全国でも有数の水力電源地帯で、ダム発電所が55カ所もあります。その発電総量は柏崎・刈羽原子力発電所にある4機分の発電量約400万キロワットに相当します。

頭首工ができて、今はの画像


 水路延長が長く、分水工の数も多く、操作する維持管理が大変なことから、平成15年度に国営事業で用水管理システムを導入し、維持管理費節減を図りました。これにより、現在の管理棟から頭首工の操作や各分水工の操作が非常に楽になりました。
 しかし、頭首工や水路は、施設完成後約40年が経過して、コンクリートのひび割れや護床の洗堀、ゲート設備がさびが出るなど、古くなっていたことから、現在、施設を延命するため、国営事業で長寿命化の取組みを行っています。

平成23年7月28日~30日にかけて発生した新潟・福島豪雨の時は?

水害の時のイメージ画像
新潟・福島豪雨の時の様子

 このときの阿賀野川の流れた水は、頭首工建設して以降、最大の10,000立法メートル/sといわれています。この量は30年に1回発生するくらいの流量ということです。現在、国では40年に1回発生の洪水に耐えられるよう河川整備をしています。将来は、150年に1回起きるくらいの洪水に耐えられるよう阿賀野川を広げていく計画があるそうです。

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