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平成16年6月定例会(総務文教委員長報告)
平成16年6月定例会 総務文教委員長報告(6月25日)
委員長 尾身 孝昭
総務文教委員会における付託案件の審査経過並びに結果について、御報告申し上げます。
まず、総務部関係として
- 国庫補助負担金の抜本的な見直しについては、国において地方自立に向けた地方税財政制度の見直しを図るとしているが、国庫補助負担金の削減・縮小により現在の不況下における産業構造などの弱体化を招く要因となるおそれがあり、経済や公共事業等に大きな影響を与え県民の安心・安定した生活の維持も懸念されるので、国庫補助負担金の廃止・縮減にとどまることなく削減等に見合う税源移譲の確保に努められたいこと。
- 県行政経営改革の推進に当たっては、これまでの地域ニーズによる採算や効率を追及した県行政創造運動を踏まえ、新たな展開として県民起点を大前提とした、最小のコストで最大の成果を達成できる経営型の行政運営の実現を目的としているが、改革の展開における市町村との役割分担が明確になっていないことから、市町村のかかわりが補助的になることに起因して多くの支障が生ずる懸念もあるので、市町村や関係団体の意見やパブリックコメントを踏まえ、自立・協働型行政の仕組みの構築に向けた積極的な事業展開に努めるべきとの意見。
- 平成16年度予算については、国の地方交付税の大幅な削減により、厳しい歳出の抑制を迫られた予算編成であったことから、事業等の削減・縮小から生じる県民への影響も出ていると思われるので、追加削減によるハレーションの実態把握に努めるとともに来年度予算の編成を見据えた補正予算等の対応を検討すべきとの意見。
次に、総合政策部関係として、
- 地域振興計画の推進に当たっては、各地域で策定した地域振興計画の実現に向け、地域課題に有効に機能発揮する地域振興戦略事業調整費をはじめとした地域振興予算制度を設けているが、予算の執行残も見受けられるので、予算執行の自由裁量を生かした戦略テーマを基とした地域振興の実現に努めるべきとの意見。
- 合併による市町村への権限移譲については、地方分権の理念に基づき県民に身近な事務として実施されてきた権限移譲において財源や事務的体制の不十分さを理由として先送りとなった町村も見受けられたが、合併によって財政規模等の拡大のみならず、市町村の担当し得る能力の向上も期待できるので、県独自の権限移譲が行いやすいシステムの構築に努めるべきとの意見。
また、権限移譲の項目の検討の開始を平成17年度からとしているが、年度当初からの権限の移譲により、より高度な行政サービスの期待もできるので、市町村合併の進展等を踏まえ移転項目の早期検討に着手すべきとの意見。 - 並行在来線については、北陸新幹線の長野・富山間の開業時に信越本線及び北陸本線がJRから経営分離される予定とされているが、分離開業後の長期収支分析調査によると現行のJR並の運賃を前提とする限りにおいては開業後30年経過しても黒字に転換しないとの厳しい結果が出されていることから並行在来線を取り巻く状況は大変厳しいと思われるので、県が責任を持って対応に当たるとの沿線市町村との確認を踏まえ、事業の成立に向けた長期的経営安定化方策を検討すべきとの意見。
- 二巡目国体の競技施設の維持管理については、本国体の基本方針として、可能な限り既存施設の活用を図り簡素な中での運営とすることとしているが、開催市町村においては一定の要件を充足させる競技施設の改修・改造のみならず、大会終了後の補修など施設の維持管理についても市町村負担としていることから、市町村財政への負担が強いられることが懸念されるので、維持管理経費など財政支援を検討すべきとの意見。
次に、教育委員会関係として、
- 教職員に係る割愛の制度については、専門知識を有する教員の有効性は理解しているものの財政力の乏しい町村にとって割愛教員の経費が負担増につながることから、活用しづらい状況となっているので、市町村合併による財政基盤の安定による事業の活用の拡大に向け市町村の要望を踏まえた対応を積極的に図るべきとの意見。
- 特殊支援教育の導入に当たっては、現在中央教育審議会において、障害のある児童・生徒一人一人のニーズに合わせた適切な教育支援などの検討がされているが、地域の子供たちは地域で共存していくというねらいは理解できるものの実施は既存の人員・予算の中での対応とされていることから、子供と直接かかわる教員や医療機関との連携など条件整備の不足が懸念されるので、人員・予算の増を国に働きかけるべきとの意見。
- 聾学校の教員については、聾学校の基本的スタンスとして小中学校及び高等学校と同等の教育内容を子供たちに指導することとしており、児童・生徒とのコミュニケーション能力の向上を図り発語能力を鍛えるために、口話法など種々の手段が考えられるが、日常生活の中で手話の活用も必要と思われることから、普通校から赴任する教員についても手話を身に付けることが重要と考えられるので、校内研修をはじめとした研修機会の充実を図るべきとの意見。
また、聾学校の専門性を確保する必要があるので、聾学校教員免許の取得につながる研修の充実に努めるべきとの意見。
以上が、審査の過程で述べられた主な意見の概要であります。
次に、議案採決に先立ち、各党党議結果の報告を求めたところ、自由民主党、社会民主県民連合、新潟みらい並びに無所属の会からは、全議案いずれも原案賛成。
日本共産党からは、第90号議案については、個人県民税に係る老年者控除の廃止であり、県民負担増となるため、第109号議案は、個人県民税に係る所得割の非課税限度額の引き下げで、県民負担増となるものが含まれるため、第113号議案及び第114号議案については、住民の声を無視・軽視したものであるため、それぞれ反対。
その他の議案については、いずれも原案賛成というものであります。
次いで採決を行い、全議案とも原案のとおり可決または承認すべきものと決しました。
次に、請願・陳情の審査結果について申し上げます。
請願第10号、陳情第10号、第13号、第14号、継続中の請願平成15年第4号、第9号、第10号、第16号、第19号、第20号、平成16年第4号、第6号、第8号、継続中の陳情平成15年第16号から第18号及び平成16年第3号については、継続審査。
継続中の請願平成15年第14号及び平成16年第7号については、既に改正年金法が成立したため、それぞれ保留。
残りの請願第9号及び陳情第12号については、いずれも願意妥当と認め、採択すべきものと決した次第であります。
なお、採択された請願・陳情のうち陳情第12号は、教育委員会に送付すべきものと決しました。
以上をもって、報告といたします。