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平成18年陳情第12号
第12号 平成18年9月19日受理 建設公安委員会 付託
トンネルじん肺根絶の抜本的な対策を求める意見書提出に関する陳情
陳情者 全国トンネルじん肺根絶新潟原告団 団長 長谷川勝栄
(要旨)
既に報道されているように、全国11地方裁判所に係属されているトンネルじん肺根絶訴訟の中で、東京地方裁判所並びに熊本地方裁判所は、国の規制権限行使義務の不行使を違法として国の責任を明確に認めた判決を言い渡した。
この判決に対して国は、「その時代の科学的知見、技術水準に対応し、省令の制定など必要な対策を講じてきた。その結果、昭和54年には295人いた新規有所見者が平成17年には4人に激減し、対策の効果が出ている」等を主な理由として控訴した。しかし、新規有所見者とは、在職者のみを対象にした定期健診で新規にじん肺と診断された患者のみの数であり、トンネル建設労働者の多くは、短期間に入職・離職を繰り返す渡り坑夫であり、定期健診を受診できる者は少ないのが実態である。
じん肺は、粉じん職場離職後も進行する疾病であり、離職後長期間を経過してから発症する者も少なくない。したがって、随時申請者も対象とするのは当然のことである。
事実、旧労働省労働基準局長が発出した平成12年12月26日付け基発第768号「ずい道等建設工事における粉じん対策の推進について」では、「ずい道等建設工事においては、今なお、じん肺有所見者の発生率が高いことなど粉じん障害の防止への一層の取組が求められるところであり」と通達の目的が明示されており、これは控訴理由と矛盾するものである。
ちなみに、随時申請者も含めると平成16年度に認定されたトンネル建設労働者の有所見者数は363名、要療養者数は146名になる。
じん肺被災者の救済とじん肺根絶に関しては、全国22都道府県議会において採択されている。また、同趣旨の賛同署名については、350名の衆・参議院の国会議員から署名が寄せられる等、じん肺根絶の世論は大きく形成され、司法判断も含めてトンネルじん肺問題の全面解決の機は熟してきているものと確信している。
ついては、貴議会において、次の事項を内容とした意見書を国に提出されたい。
- トンネル建設現場において、定期的な粉じん測定及び測定結果の評価を義務づけること。
- トンネル建設現場において、坑内労働者が粉じんに暴露される時間を短縮・規制すること。