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平成19年9月定例会(請願・陳情)

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0003300 更新日:2019年1月17日更新

請願 第8号

第8号 平成19年9月18日受理 厚生環境委員会 付託

割賦販売法の抜本的改正を求める意見書提出に関する請願

請願者

 新潟県司法書士会 会長 大渕克也

紹介議員

 小野峯生君 志田邦男君

(要旨)

 クレジット契約は商品販売と代金回収が分離されることから、販売業者にとっては、購入者の支払能力を考慮することなく高額商品を販売でき、クレジット会社から立替金をすぐに受領できるため、強引・悪質な販売方法により契約を獲得し、代金を取得したあとは誠実な対応をする動機づけが無くなる。取り分け個品方式(契約書型)のクレジット契約においては、クレジット会社は顧客の獲得、支払条件の交渉及び契約書類の作成等の営業活動の大半を提携先加盟店に委託して効率的にクレジット契約を獲得し経済的利益を上げているため、加盟店に対する管理や与信を厳しくすると加盟店は自社のクレジットを利用しないようになり利益の減少につながることから、クレジット会社としては加盟店の不適正な販売行為に対する審査が不十分になりがちである。つまり、クレジット契約を利用するがゆえに悪質な販売行為を誘発しがちであり深刻な消費者被害が発生しやすいという意味で、クレジット契約の構造的危険性から生じる病理現象としてのクレジット被害(アポイントメントセールス、詐欺的なマルチ商法、内職商法、呉服販売、住宅リフォーム等の次々販売などの被害)が多発している実態がある。
 このように深刻なクレジット被害を防止するため、経済産業省の産業構造審議会割賦販売分科会基本問題小委員会は、平成19年2月から、クレジット被害の防止と取引適正化に向けて割賦販売法の改正に関する審議を進めている。本年秋には法改正の方向性が示され、平成20年春の通常国会に同法の改正案が提出される見込みであることから、今が極めて重要な時期にあると言える。
 クレジット被害の防止と取引適正化を実現するためには、クレジット会社自身がクレジット契約の構造的危険性を防止する責任を負い、発生した損害を負担する法制度を整備することが重要である。これによって、初めて消費者に対して安心・安全なクレジット契約が提供されることになる。
 現行の割賦販売法第38条は、購入者の支払能力を超える与信を行わないよう努めなければならない旨の訓示規定にすぎないため、結局はクレジット会社の自由裁量により過剰な与信が繰り返されてきた。そこで、消費者の収入と既存債務額に照らし一定の具体的な基準を超える契約については、返済財源や購入動機等の個別的調査義務を課すなど、実効性ある過剰与信防止規定を設けるべきである。
 また、現行法においてクレジット会社は、提携先加盟店の販売方法をチェックする義務規定がなく、商品販売契約が解除・取消・無効となるような違法な場合でも消費者に既払金を返還する義務はない。そこで、クレジット会社は不適正な与信を防止する義務を負うこと、販売契約が無効・取消・解除であるときは既払金の返還義務を含むクレジット会社の民事共同責任を負うことを規定すべきである。
 一方、現行法の規制対象は支払回数や取引対象品目による制約がある。そのため悪質販売業者の中には、半年又は1年後の一括払いを勧める、取引対象品目以外の商品を販売するなど、割賦販売法の規制を逃れる事例がある。そこで、規制の抜け穴を無くすために、原則としてすべてのクレジット契約を規制対象にすべきである。
 さらに、個品方式のクレジット事業については、登録制度も契約書面交付義務もないため、不適正なクレジット取引を規制する実効性が確保できない。そこで、個品方式のクレジット事業者について登録制を設け、契約書面交付義務及びクーリングオフ制度を規定すべきである。
 ついては、貴議会において、クレジット取引における消費者の安心・安全を確保する観点から、次の事項を内容とした意見書を国に提出されたい。

  1. クレジット契約を利用した悪質商法被害・過剰与信被害を防止するため、割賦販売法を以下のとおり抜本的に改正すること。
  2. クレジット会社が顧客の支払能力を超えるクレジット契約を提供しないように、具体的な与信基準を伴う実効性ある規制を行うこと。
  3. 悪質販売行為等にクレジット契約を提供しないようにクレジット会社が加盟店を調査する義務とともに、販売契約が無効・取消・解除であるときは既払金の返還義務を含むクレジット会社の民事共同責任を規定すること。
  4. 1回又は2回払いのクレジット契約を適用対象に含め、政令指定商品制を廃止することにより、原則としてすべてのクレジット契約を適用対象とすること。
  5. 個品方式のクレジット事業者について登録制を設け、契約書面交付義務及びクーリングオフ制度を規定すること。

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