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平成22年6月定例会(提案理由)
平成22年6月定例会提出議案知事説明要旨
議案についての知事の説明を掲載しています。
6月9日説明要旨
平成22年6月定例県議会の開会に当たり、前議会以降の県政の主な動きと、提案致しております議案の概要をご説明申し上げ、議員各位並びに県民の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。
最初に、県政の主な動きについて説明申し上げます前に、新政権の発足について述べさせていただきます。
昨日、菅新政権が発足いたしました。
前政権では、政治と金の問題、普天間基地の問題等により国民の政治への不信を招いてしまいました。短期間で総理が次々替わることに対し、残念な思いを禁じ得ません。
新しい政権には、総理自らが指導力を発揮し、地域主権をはじめとするこれまでの政策を継続していただくとともに、大きく傷ついた国民の政治に対する信頼をもう一度取り戻し、民意をしっかりと受け止める政治を行っていただくことを期待しています。
次に、本県の経済情勢と雇用対策についてです。
県内経済は、アジア向けを中心とした輸出増加やエコポイント等の政府の経済政策に支えられ、生産や企業収益の持ち直しの動きに広がりがみられるものの、依然として厳しい状況が続いています。
最近では、いわゆるギリシャ危機の影響が日本経済にも波及する中、株価の急落、一段の円高進行など、ようやく見えてきた明るさに水を差しかねないものと懸念しているところであります。
また、雇用面では、4月の新規求人は前年同月比で2ケ月連続の増加となっておりますが、有効求人倍率は0.51倍と、まだ求職者数に対して、半分の求人数しかない状態にあります。こういった背景には、デフレ経済下で国内需要が大きく不足していることに加え、円高基調にあることで先行き不安感を強めていることがあります。
この間、県としましては、新規卒業予定者の就職を支援するため、経済4団体への緊急要請や、県の非常勤職員としての採用など、未内定者への緊急支援を実施してまいりました。
また、特に高校生の就職が厳しい状況を踏まえて、ハローワーク等関係機関や高等学校と連携しながら、就職未内定者一人ひとりの「カルテ」を作成し、生徒が希望する職種や勤務地など、個別の状況に応じて、生徒一人ひとりに必要な対策を検討しながら、内定に向けた支援を行ってまいりました。
この結果、新規高校卒業者の就職率は、4月末現在で99.2パーセントとなり、ほぼ前年と同じ水準となったところです。今後とも、大学等卒業者を含む未就職者については、関係機関と連携し、就職に向けた支援を進めてまいります。
本格的な景気回復と雇用情勢の改善に向けては、地方では対応できない、実効あるマクロ金融・経済財政政策を、国において早期に講じる必要があるものと認識しており、先般、改めて国に要望してきたところであります。
次に、口蹄疫への対応についてです。
本年4月20日に宮崎県で発生が確認された家畜伝染病の口蹄疫は、急速に感染が拡大し、畜産農家に壊滅的な影響を与えており、極めて憂慮すべき事態です。県内での発生はまだ有りませんが、一度県内に波及すれば、甚大な被害が予想されます。
このため、県としましては、速やかに県内畜産農家等での異常の発生の有無を確認するとともに、「口蹄疫対策庁内連絡会議」を設置しました。
また、県内の畜産農家を口蹄疫から守るため、消毒薬を配布するとともに、口蹄疫は人の動きなどで家畜に感染することから、農場に立ち入らないよう県民の皆様へ呼びかけを行ったところであります。
しかしながら、口蹄疫の発生原因が解明されなければ、的確な対策を講じることはできません。先般、早急な原因の解明及び感染経路の特定を、国に要望したところであります。
なお、今般の宮崎県の非常事態に対応し、本県から職員を派遣しておりますが、うち1名の職員が重傷を負ったことは誠に遺憾であります。怪我をされた職員及びご家族に心よりお見舞い申し上げますとともに、一日も早い快復を願っております。
次に、地域主権に向けた取組についてです。
現在、我が国、とりわけ地方は閉塞感を抱えています。その最大の要因の一つは、国がつくる政省令や要綱等が細部にわたって規制し、地方の政策の実施が制約を受けていることにあります。
現在、義務付け・枠付けの見直しに関して、地域主権推進一括法案が国会で審議されています。その内容は、これまで政省令等で決められていた児童福祉施設や道路等の基準を条例に委任することを柱としたものです。
しかし、これは地方分権改革推進委員会が勧告した約4,000条項の一部にすぎず、しかも、この委員会の勧告も法律で規定されている自治事務の一部にすぎません。
こうした状況を踏まえ、例えば「条例の制定により法律の実施細則を政省令でなく条例に包括的に委任する」というような、包括規定を創設し、国の役割を、これまでの事前規制から、法の目的に沿って有効に執行されたかを事後評価する役割へと見直すことが必要であると考えています。
また、地域主権の突破口となるものと期待していた一括交付金についてですが、このたび国が、先行的取組として本年度に社会資本整備総合交付金等を新規創設しましたが、各省庁各局のミシン目や国費率が入るなど、事実上骨抜きにされた感が否めません。
このため、県といたしましては、国庫補助金の一括交付金化に当たり、使途を制限することなく地方の裁量で幅広く事業実施できる制度設計を行うよう、国に要望したところであります。また、地域主権戦略会議の担当主査である神野教授へもお話をさせていただきました。
先の地域主権戦略会議において、国の箇所付けの廃止など当県の要望にも沿った神野試案が公表されたところです。是非ともこうした方針に沿って具体の見直しを行っていただきたいと考えております。
自分たちが暮らす地域を自らの手でつくり上げていくことのできる環境が実現することにより、各地域で制度間競争が生まれ、国全体に活力が生まれるものと私は確信しております。
県としましても、先般、地域主権の確立に向けた地方税制のあり方等について調査、研究するため、税制調査会を設置したところであります。今後、地方における環境税制としてのウッドマイレージ
CO2に着目した税制や、企業誘致促進に向けた地方法人税制のあり方などについて検討していただくこととしております。
次に、国の新年度予算についてです。
先の議会でも申し上げましたが、地域主権の観点から地方交付税が増額されるとともに、支給対象のあり方等は別にして少子化対策の充実として子ども手当の創設等がなされた点は、評価をしております。
一方、国の公共事業のみならず、地方財政計画において、地方の建設事業も大幅に削減されたほか、先ほど触れた一括交付金化のミシン目の問題など、是正されるべき点もあると考えています。
国の方針が公共事業を削減して子育て支援に財源を移すということである場合、地方の財源が、子どもの多い都市部に吸い上げられることになるのではないかと危惧しております。
ひとつの試算ではありますが、本年度の「国費が伴う公共事業等の総額」が約440億円の減額になったのに対し、県民に交付される「子ども手当1年分の総額」は約300億円しか増額になっていません。国は、予算総額を大幅に増やしているにもかかわらず、本県から約140億円もの財源が吸い上げられたことになります。これは、都市と地方の格差解消への配慮という視点を欠いていたためと考えられます。
こうしたことが続くと、食料生産能力をはじめとする地方の重要な機能が益々衰退し、この国の活力が失われてしまうのではないかと懸念しています。
本来、こうした財源の移転を伴う使途の組替えは、国で実施するのではなく、必要な予算総額を適切に確保した上で地方に一括交付し、地方で主体的に判断できるようにすべきです。
また、本年度に実施される国の戸別所得補償モデル対策は、所得政策に舵を切った点で基本的な方向としては評価できますが、過剰な主食用米に生産を誘導しながら、同時に生産調整を行うこの制度のあり方は、効率性の面等で修正すべき点があると考えております。
今後、需要の拡大が期待される加工用米等の非主食用米へ生産誘導するインセンティブを高めることや、全国一律の交付単価を改め、多様な地域の営農実態に応じ適地適作を推進できる制度設計にしていくことが必要であると認識しております。
加えて、中山間地域への支援や後継者育成の観点、大規模農家の意欲を削がない仕組みも制度設計には必要と考えております。
このため、非主食用米等への一層の生産誘導や、全国一律ではなく地域裁量が発揮できる仕組みにするとともに、本制度移行の際には、主食用米について一定の所得レベルを保障することで必要財源を圧縮し、効果的に税金が活用される制度とするよう、先般、国に要望を行ったところであります。
次に、交通問題等についてです。
北陸新幹線開通に伴い経営分離される並行在来線の安定的な運行は、日常的な地域住民の移動手段の確保のため不可欠です。本県の並行在来線にはJR2社からの経営分離であることや北陸本線及び信越本線の2路線の経営であること等の特殊性があるため、経営主体の早期の設立によって運行開始に向けた各種準備を円滑に進めていくことが必要です。そのため、開業に向けた準備を急いできたところであり、沿線3市長からの早期設立の要望があったことを踏まえて、今議会において、経営主体を設立し、開業に向けた準備を行うための予算を提案したところです。
設立する会社の形態については、当面は県及び沿線市の出資により設立しますが、今後マイレール意識の醸成の観点からも民間事業者や地域住民の方々からの出資など第3セクターへの主体的な住民の参画についても検討してまいります。
今後の課題としましては、多額な初期投資やその後の厳しい経営が予想されることから、初期投資に対する起債充当や交付税措置が必要です。また、JRが支払う新幹線貸付料の一部には、並行在来線区間の経営分離によるJRの赤字解消分が含まれていることから、国は、まずこれを地方に返還すべきです。そのうえで、残りの貸付料についても、建設費の負担割合に応じて地方に還元し、地方が自らの判断で、諸課題に対応できる制度とすべきです。新幹線貸付料を新規着工区間の建設財源に充てるというスキームは、受益と負担の原則を無視するものであり、到底認められるものではありません。建設財源が不足するというのであれば、鉄道・運輸機構の利益剰余金1兆3,500億円や郵政資金を有効に活用すべきです。
いずれにいたしましても、引き続き、3市はもとより、同じ事情を抱える沿線の自治体と共同して、安定した経営が成り立つための仕組みの構築に向け取り組んでまいります。
北陸新幹線については、改めて申し上げるまでもなく、新幹線は造ればよいというものではなく、地方に負担を求める以上、それに相応する受益が地域住民にもたらされるものでなくてはなりません。沿線各県の中で、新潟県だけが高速通過する規格の駅しかないため、速達タイプの列車が通過することが想定されます。そのため、先程申し上げた貸付料の返還や還元とあわせ、県内駅への全列車の停車を強く求めているところです。去る5月27日には富山県知事と会談を行い、各県一駅の全列車停車について、足並みを揃えて国等に働きかけていくことで合意しました。また、6月3日には全国の整備新幹線沿線県合同で、国に対し、整備新幹線の諸課題の解決に向けて要請活動を行ったところです。
今後も関係県と協調し一体となって国等に要請することで、2014年度の開業が沿線地域の振興に大きく貢献するものとなるよう取り組んでまいります。
この項目の最後に、拠点港の将来ビジョンについてです。
経済発展が著しい日本海側の対岸諸国との貿易拡大に向けて、国では日本海側拠点港湾の選定を進めようとしています。現在の取扱量のほか、将来性、民間活力の導入、限られた資源をいかに有効に活用しているかなどがポイントになるとし、今年度内に選定する方針が示されています。
事実上、公募提案型のコンペであると認識しており、その選定に向けて、先般、本県として積極的に将来ビジョンを提示していくための「日本海側拠点港湾等ビジョン策定委員会」を官民一体となって立ち上げたところです。
現状は、県内生産貨物の約半分が京浜港に流れ、国内需要の低迷などで、コンテナ取扱量が3年連続の前年割れになっています。こうした実態を踏まえ、利用を高めていくための仕組みづくりや運用方法等の見直しが必要です。
LNGなどのエネルギー面や穀物等で新たに大陸との物流ルートを築こうとする動きが出始めています。そういう意味においても、新潟には大きな可能性があります。こうした特性を踏まえた上で実効性あるビジョンを策定し、新潟港の利用を高め、日本海側拠点港湾に選定されるよう取り組んでまいります。
次に、トキ死亡事故と今後の対応についてです。
トキの自然界での繁殖に佐渡市民をはじめ、県民、全国の皆様の期待が寄せられる中、去る3月9日から10日にかけて、第3回放鳥に向けて野生復帰ステーションの順化ケージで訓練中のトキがテンに襲われ、11羽のうち9羽が死亡するという非常に悲しい出来事がありました。このような事故が起きたことを深くお詫び申し上げます。
この事故を受けて、県は国とともに有識者からなる「トキの死亡事故にかかる検証委員会」を設置し、原因の究明と再発防止に向けた対策を検討してまいりました。その結果が報告書としてとりまとめられ、5月18日に受け取りました。
今回の事故は、検証委員会の報告書に指摘されているように、テン等の天敵に対する認識が不十分であったことに加え、トキの保護増殖事業全体を現地で統括する責任者がおらず、責任体制が不明確なまま事業を実施してきたこと等が問題であったと受け止めております。
今回の事故を教訓にして、二度とこのような事故を起こさないために、国と協力して、検証委員会の報告書の指摘を真摯に受け止め、現地の統括責任者のもとで事業を実施できる体制とするとともに、監視体制や天敵侵入防止対策を強化してまいります。
次に、福祉・医療の確保についてです。
医療環境の整備を図る上で、勤務医等の医療スタッフの確保は依然として最重要課題です。県としましては、首都圏からの研究医招へいや臨床修練外国
医師の受入などの緊急的な対策を進めておりますが、
このたび、中国黒龍江省からお一人目の医師を受け入れることとなりました。外国人医師が医療スタッフに加わることで、他の勤務医の負担軽減にもつながるものと期待をしております。今後も効果を検証しながら、受入拡大に向け取組を進めてまいります。
一方で、現在の制度・枠組みのもとでは、医師の不足、地域偏在を地方の努力のみで解決することは困難です。医師のへき地勤務の義務化や医師養成に関する規制緩和など、抜本的な医師確保対策が必要であり、先般、国に対して働きかけを行ってまいりました。医学部の新設等も視野に入れ、医師確保対策に引き続き取り組んでまいりたいと考えております。
また、仮称ですが魚沼基幹病院については、新潟大学や首都圏の大学との連携を始めとした、医師確保に向けた検討を進めております。また、周辺病院等を含めた地域全体での医療体制の構築に向け、地元や関係機関と十分協議しながら取り組んでまいります。
さらに、県央地域の医療提供体制整備については、
先般の「あり方検討会議」で、救命救急センター併設病院の機能や規模等について方向性が示され、再編も視野に入れた500床程度を基本に検討を進めることとなったところです。今後、更に「あり方検討会議」での議論を深め、一日も早く望ましい医療提供体制が構築できるよう努めてまいります。
この項目の最後に、水俣病救済特措法についてです。
去る、5月6日から「水俣病被害者救済特措法」による救済申請の受付を開始し、5月末現在、277件の受付がありました。県では、この救済措置について、説明会の開催など更に周知徹底を図ってまいります。
また、新潟水俣病第4次訴訟の原告被害者と被告国・昭和電工との間では、和解に向けた事前協議が進められており、早期の和解成立により、被害者の救済と水俣病問題の解決につながることを期待しております。
一方、新潟水俣病の公式確認から45年が経過した今なお、健康上の不安や経済的な不安を抱える人、いわれない偏見や中傷をおそれ、被害の声をあげることができない人がいると指摘されています。
新潟水俣病被害者がこれまで抱えてきた痛みに真摯に向き合うとともに、これらの被害者の犠牲の上に現在の安全な環境が得られたという感謝の気持ちを持って、被害者を社会全体で支えていかなければなりません。
今後とも、水俣病の被害に遭われたすべての方々が被害の声をあげることができるよう、人々の絆に深刻な影響を受けた地域社会の再生と融和を促進し、誰もが安心して暮らすことができる地域社会の実現に努めてまいりたいと考えております。
次に、個を伸ばす教育についてです。
若者の県外転出超過は、職業、学業等による転出超過数が平成20年度から減少傾向となり、徐々に好転しつつありますが、依然として約4,500人の転出超過が続いている状況です。この状況に歯止めをかけるには、地域における雇用の確保に加えて、多くの人を惹きつける、魅力ある教育環境の充実が重要です。
県では、個を伸ばす教育推進検討会での議論を踏まえ、全国から、多くの人が新潟の教育を受けたいと、本県を目指してやってくるような、魅力ある学校づくりに向けて、去る3月25日、私立学校審議会に対し、私立高校の新設抑制方針の見直しや、私学助成のあり方についてお諮りしたところです。
また、県立学校においても、「魅力ある高校づくりプロジェクト」を立ち上げ、学科改編に合わせて、より一層、生徒に選ばれる学校づくりを推進することとしています。平成24年に本県でインターハイが開催されますが、これを契機に、インターハイをステップとして、将来は世界の舞台で活躍できる選手を育成していきたいと考えています。
まずは、本県の強みを生かせるスキーやボート競技などを念頭に、選手のメンタル、技術、身体機能等をトータルでサポートするようなチームの編成に向けて、関係競技団体等と検討を進めているところです。
次に、北東アジアとの交流の拡大についてです。
去る4月30日、5月1日と、中国側からの招待により上海万博日本館の開幕式への出席のため、中国上海市を訪問してまいりました。日本館ではトキが日中友好の象徴として大きく扱われ深い感銘を受けたところです。本県は10月に新潟フェアとして出展する予定でありますが、今後、イベントや展示品、さらには県産品の販売について関係者と調整を行うなかで、本県と中国との深いつながりを十分PRできる企画としてまいります。その上で上海万博を契機に、発展目覚ましい中国と、新エネルギー分野や食料品加工分野などを通じて、交流のさらなる拡大を図ってまいります。
上海万博訪問に引き続き、「日露知事会議」に出席するためモスクワを訪問し、また5月12日から14日までハバロフスク市で開催された「日ロエネルギー環境対話」に出席してまいりました。両会議を通じ、本県の持つエネルギー受入基地としての優位性を関係者にアピールするとともに、今後のロシアとのエネルギー分野を中心にした交易の大きな発展可能性を感じてきたところです。
特に日ロエネルギー環境対話にはロシア側、日本側とも関連する主要な企業が参加し、注目度の高さが伺われました。ロシアは、石油、天然ガス等の膨大な埋蔵量を背景に、アジアの需要拡大を睨んで、パイプラインや関連施設等を整備する極東・シベリア地域の大規模プロジェクトを着実に進めています。
日本とは位置的にも近く、輸送コストが中東等と比べれば大幅に縮小可能であるだけでなく、エネルギー安全保障の観点からも受入先の多様化は重要であると考えられます。
ロシア極東地域との交流に寄与してきた新潟とロシアを結ぶ航空路が本年3月末から減便となったほか、日本海横断フェリーが昨年9月以降運休となっている状況もありますが、本県としては、ロシア極東地域との間でこれまで培ってきた交流の歴史を基盤としつつ、地理的な優位性を最大限に生かして、エネルギーを含め多様な人・物の交流の更なる拡大に取り組んでまいります。
この項目の最後に、中国総領事館の開設についてであります。今月24日に、朱鷺メッセにおいて開館する運びとなりました。多くの県民が待ち望んでいたことであり、大変うれしく、心からお祝い申し上げます。これまで誘致にご尽力いただいたすべての皆様に、改めて感謝申し上げます。今後は、総領事館と連携し、県産品の販路拡大や観光客誘致などの経済交流の拡大など、成長著しい中国と本県双方が利益を享受できる関係を築いてまいります。
次に、原子力発電所についてです。
1号機は、中越沖地震で最も大きな揺れを受け、また発電所の中で最も古い号機であることや、既に運転を再開した号機と異なる形式の原子炉であることなどから、技術委員会において慎重に議論していただいたと認識しています。その結果、「起動試験に進むことに安全上の問題はない」との評価結果の報告を受けました。
また、柏崎市長、刈羽村長からも、運転再開を認めるとのお考えをいただきました。
私は、これらを踏まえ、去る5月21日、1号機の運転再開を了承いたしました。
東京電力に対しては、安全第一に、先行号機で得られた経験を十分に反映し、慎重に緊張感を持って臨むよう、要請したところです。
なお、先般、1号機が運転を再開しました。起動試験の開始に際しては、配管にある弁の不具合が確認されました。これに対して、技術委員会座長からは、「東京電力が行った原因の特定と対策については的確である」との評価をいただきました。県としましては、東京電力に対し、いかなる不具合も見落とすことなく慎重に起動試験を実施するよう求め、試験の結果は技術委員会で確認するとともに、必要がある場合は対応を求めてまいります。
また、原子力発電に対する安全・安心を確保するためには、事業者の取組と併せて、国の原子力行政に対する信頼性の確保が極めて重要です。
しかしながら現在の国の原子力安全行政は、事業者に対する規制・監督が中心であり、住民と向き合う姿勢が必ずしも十分でないと認識しています。さらに、原子力の安全規制が住民に信頼をもって受け入れられるためには、規制を担当する機関の独立性が確保されていることが重要であります。
そのため先般、内閣府で原子力安全委員会を所管する大臣及び経済産業大臣に、国は事業者を規制するだけでなく、地域住民に向き合い、住民の安全・安心を確保する行政に転換することや、原子力安全・保安院の経済産業省からの分離・独立について、要望したところです。
県といたしましては、今後とも、県民の皆様の安全・安心を第一に、対応を進めてまいります。
次に、新潟県「夢おこし」政策プランの施策評価についてです。
昨年度、本プランの見直しを行い、新年度予算は、新たな政策プランに基づき編成を行ったところです。
本年度は、さらなる政策プランに掲げる政策目標の達成に向けて、プランの評価委員会や県民意識調査において、「遅れている」「満足度が低い」などの評価を受けた施策について、外部委員による施策評価を実施したいと思います。
委員会では、施策の効果分析や検証を行い、より効果的な施策を構築していくため、既存の事業の進め方や、より効果的な手段等について議論していただきたいと考えています。
また、県民の視点から率直なご意見をお聞きするため、会議は原則として公開とし、新たに公募委員を加えます。今後、施策評価の結果を来年度予算に反映させるとともに、政策プランの中間評価にも活用してまいります。
最後に、拉致問題についてです。
本年3月に韓国の哨戒艦が北朝鮮により撃沈されるという事件が発生しましたが、北朝鮮は一切の関与を否定しており、朝鮮半島情勢は緊迫の度合いを増しています。
私は、本年4月に北朝鮮に対する制裁措置の延長を「知事の会」として政府に要望し、政府は1年間の延長を既に決定いたしました。また、同月25日には日比谷公会堂での国民大集会に「知事の会」を代表して参加してまいりました。
拉致被害者のご家族は、拉致問題解決の糸口が見えず、日々時間との戦いを強いられています。問題が進展しない苦しみ、そして苛立ちを集会でひしひしと感じました。
特定失踪者を含むすべての拉致被害者の皆さんに一日も早く日本に帰ってきていただき、ご家族と共に失われた時間を取り戻していただきたいと切に願ってやみません。拉致された日本人を救うことのできる組織は、日本政府だけです。
政府、自治体、国民が一丸となって、拉致問題が一日も早く解決するよう、全力をあげて取り組んでまいります。
続いて、提案しております主な議案についてご説明申し上げます。
第87号議案は、一般会計補正予算でありまして、総額1億4,538万1千円の増額補正についてお諮りいたしました。
今回の補正は、県産米粉の需要拡大の取組に要する経費を計上したほか、先ほど申し述べました並行在来線の経営主体を設立するための出資金を計上いたしました。また、利用の減少が懸念される佐渡及び粟島航路への誘客強化費を措置したところであります。
その結果、補正後の財政規模は、
1兆2,208億5,538万1千円となります。
次に、その他の主な条例案件等についてご説明申し上げます。
第93号議案は、現行条例における法人県民税の超過課税の適用期間を延長するとともに、平成22年度税制改正に伴い、清算所得課税が廃止されたことから所要の改正を行うため、
第94号議案は、公立高等学校の授業料の無償化に伴い、県立高等学校及び県立中等教育学校の後期課程の授業料の徴収に係る規定を削除するため、
それぞれ、条例の改正を行うものであります。
次に、第96号議案及び第97号議案は、契約の締結、変更について、お諮りするものです。
次に、第98号議案及び第99号議案は、緊急を要するため、やむを得ず専決処分を行ったものについて、承認を求めるものであります。
すなわち、第98号議案、第99号議案はそれぞれ、平成21年度一般会計補正予算、平成21年度災害救助事業特別会計補正予算であり、歳入予算及び歳出予算ともに最終見込額又は確定額を計上したものであります。
また、
第100号議案は、損害賠償額の決定について
最後に、
第101号議案は、昨年11月末に解散した新潟東港臨海水道企業団の平成21年度決算の認定についてお諮りするものです。
以上、主な議案の概要につきまして説明申し上げましたが、何とぞ慎重ご審議のうえ、各議案それぞれについて、ご賛同を賜りますよう、お願い申し上げます。
6月25日説明要旨
ただいま上程されました議案3件は、いずれも人事に関する案件であります。
第102号議案は、人事委員会委員を選任するため、
第103号議案は、監査委員を選任するため、
第104号議案は、収用委員会委員及び予備委員を任命するため、
それぞれお諮りいたしました。
よろしくご審議のうえ同意を賜りますようお願い申し上げます。