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平成24年6月定例会(陳情第9号)
第9号 平成24年5月23日受理 厚生環境委員会 付託
東日本大震災瓦礫の処理に関する安全確保と情報公開に関する陳情
陳情者 放射能と環境を考える会 代表 大関ゆかり 外7名
(要旨)
新潟県が東日本大震災で発生したがれきの受け入れに慎重な立場を執る中、県内5市が、一般市民への十分な説明や意見を公開された場で聴くこともなく受け入れを発表した。がれきの広域処理という施策については、合理性、安全性の観点からの疑問、あるいは復興に本当に寄与するのかといった疑問が指摘されており、県民・市民を含めたより慎重な議論が必要と思われる。とりわけ5市の受入発表内容は、科学的知見に基づく安全確保、情報公開に関する内容を欠いており、到底認められるものではない。チェルノブイリ原子力発電所事故時、西欧各国は、「人は移動するが物は移動しない」という大原則にのっとって対策を立てた。過去の震災のがれきとは異なり、今回のがれきは東京電力福島第一原子力発電所事故による放射能汚染が危惧(きぐ)されているものであり、稲わらや原木、おがくず、まきなど、屋外にあったものには、広い範囲で汚染が確認されている。これらの汚染に加えて、有害化学物質による汚染も十分に確認されているとは言えず、被災地での分別処理、焼却処理についても安全に実施されているのかどうか憂慮されるところである。
東日本大震災で発生したがれきの処理に関しては、近隣住民のみでなく、新潟県在住者、県内外の消費者が納得の行く施策でなければ、少なからず不安感や風評被害が生じるものと思われる。また、今回の事故でも明らかであるように、放射能の被害は自治体の区割りで線引きできるものではない。新潟県民及び新潟県の動向に関心を持っている一般市民に対し、適正な情報公開をしたうえで慎重に議論することが必要である。
ついては、貴議会において、新潟県及びがれき受け入れを表明した5市には、東日本大震災で発生した震災がれきの処理を検討するに当たり、次のような安全の確保と情報の公開を求めるとともに、県民・市民を広く含めた議論のうえで合意が得られない場合は、県内での試験焼却を行わないこと、及び広域処理の中止をすることについて配慮されたい。
- 現時点における焼却施設及び焼却灰埋立処分施設周辺の環境測定と数値の公開
ダイオキシンによる汚染の際、焼却場の煙突から半径5キロメートルの範囲で、特に高濃度の汚染が確認されており、東京都の調停事例などでは、「清掃工場焼却炉排出口の中央部を中心とする半径5キロメートルの円内」での測定が求められている。放射性物質についても、挙動が解明されていない点から見て、同等以上の測定をする必要があると考える。焼却施設・埋立処分施設周辺には、子供が多く集まる公園、学校、幼稚園、保育園などが多く、そういった施設については特に厳重な安全対策が求められる。焼却施設については、半径5キロメートルの円内の現時点での土壌調査と空間線量測定、及び半径20キロメートル圏内の公園、教育施設のグラウンド、園庭の現時点での土壌調査と空間線量測定を実施し、結果を公開すること。また焼却灰埋立処分施設については、現時点での放流水の測定と、半径5キロメートルの円内の現時点での土壌調査と空間線量測定、及び半径20キロメートル圏内の公園、教育施設のグラウンド、園庭の現時点での土壌調査と空間線量測定を実施し、その数値を公開すること。 - 震災がれきの放射性物質及び有害化学物質の検査方法と結果の公開
震災がれきに含まれる放射性物質については、空間線量であるμSv/hのみではなく、含有物としてのBq/kg単位で、適正な機器(NaIシンチレーションスペクトロメーター、ゲルマニウム半導体検出器等)を使用したうえで正確に含有量を測定し、結果を公開すること。 - 震災がれきと一般ごみとの混合率の公開
震災がれきと一般ごみを混合して焼却する場合は混合率を公開すること。 - 焼却開始から終了までの排気中の放射性物質の測定と数値の公開
現在、試験焼却を進める自治体では、焼却処理の途中、一部時間帯の測定しかされていない。焼却処理によって大気中に放出される可能性のある放射性物質について、今現在その挙動は解明されておらず、適切な測定にはなっていない。焼却開始から終了まで、継続して排気中の放射性物質を測定し、数値を公開すること。 - 焼却灰に含まれる放射性物質及び有害化学物質の測定と数値の公開
焼却灰に含まれる放射性物質については、含有物としてのBq/kg単位で、適正な機器(NaIシンチレーションスペクトロメーター、ゲルマニウム半導体検出器等)を使用したうえで正確に含有量を測定し、結果を公開すること。 - 焼却灰埋立処分施設周辺の環境測定・放流水に含まれる放射性物質(特にセシウム、ストロンチウム)の測定と数値の公開
焼却灰埋立処分施設は、現時点で放射性物質の安全管理に対応していないのは明らかである。施設周辺への風雨や自然災害による放射性物質の拡散が発生しないような予防策を執ったうえで、土壌測定と空間線量測定及び数値の公開を継続して行うこと。また、放流水を排出する前に放射性物質の除去などの安全対策を行ったうえで、放流水に含まれる放射性物質(特にセシウム、ストロンチウム)の測定と数値を公開すること。 - バグフィルターの交換頻度と付着放射性物質の測定及び処分方法の公開
バグフィルターの有効性については、放射性物質に関しては検証されていないが、従来よりも高い頻度での交換と付着している放射性物質の測定と数値の公開を行うこと。また、その処分が適正にされていることを公開すること。 - 被災地で、適正な分別と、上記のような測定及び安全の確保がされたうえで処理されているかどうか、また測定値を含めた情報公開