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平成28年11月臨時会(所信表明)

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0004440 更新日:2019年1月17日更新

平成28年11月臨時会知事所信表明

 臨時県議会の開会に当たり、私の県政運営に臨む所信と施政の基本的な考え方の一端を申し述べ、議員各位並びに県民の皆様のご理解とご協力をお願いしたいと存じます。
 私は、去る10月に行われました知事選挙におきまして、県民の皆様の御信託を得て、このたび新潟県第9代の民選知事に就任いたしました。まことに光栄の至りであり、私に課せられました使命と責任の重大さを痛感し、改めて身の引き締まる思いがいたします。
 泉田前知事は、3期12年にわたり県政を担当され、信頼され愛される新潟県庁を基本理念として、県民の生命・安全・財産を守り、未来を切り開いていくための政策を推進し、本県の発展に多大な貢献をされました。これまでの御労苦に対し、心から敬意と感謝の意を表します。
 その泉田県政を引き継ぎつつ私は、「命と暮らしを守り、現在と未来への責任を果たす」ことを基本理念とする県政を実現していく所存です。
 私は、政治の目的は、一人一人の幸福を可能な限り増やし、一人一人の不幸を可能な限り減らしていくことであると考えております。今までの政治の中で、ややもすると取り残されてきた一人一人の想いを丁寧に受け止めて、幸福の源である、命と暮らしが守られる県政を実現したいと思います。
 同時に私は、新潟県の、現在とそして未来への責任を果たす県政を実現したいと思います。私達は、先人たちから受け継いだこの美しい県土と、人と人との暖かい絆を保ち、未来に引き継いでいく責任があります。
 私は、新潟県知事として、現在の新潟県の諸課題に真摯に対応しつつ、将来の発展に向けた方向性を示し、県内の多くの力を結集して、新潟県の新たな未来を切り開き、次世代の子供たちに引き継いでいきたいと思います。

 現在、本県を含め多くの地方に共通の大きな課題が、地方の再生と、人口減少問題への対応です。
 本県の人口は今まさに減少を続けており、長年続いてきた進学や就職を契機とした社会流出が、出生数の減少にもつながるという連鎖の構造が生じつつあります。
 私は、この連鎖を止め、人口減に歯止めをかけて増勢に転ずるために、出生数の増加や、人口の流入促進・流出抑制に有効な施策において、新潟県として取れる手段をできる限り講じると同時に、必要な施策を分析し、税制、教育・医療資源の配分などの国が決定する部分については、実効性のある施策がスピード感を持って実施されるよう、国に強く働きかけてまいります。
 一方で私は、人口減少対策は個別の施策以上に、新潟県が、暮らしやすく、子育てしやすく、学びやすく、働きやすい、総合的に魅力ある地であることこそが重要であると考えています。私は、福祉・医療、教育、産業・雇用など県政のあらゆる分野での取組を総動員して新潟県の暮らし易さの総合力を高めていく所存です。

 県政運営に当たっては、共に県政を担う県議会の皆様や市町村との連携、協力が不可欠です。様々な課題について、真摯に話し合い、より良い協力関係、確かな信頼関係を築かせていただけるよう、全力を尽くしてまいります。
 また、国に対しては、地方分権を推進する立場から、地方の自治拡大に向けた取組を引き続き求めていくとともに、様々な課題について、議論すべきは議論し、協調すべきは協調して、県民全体の利益を第一に考えた対応に努めてまいります。
 基礎自治体である市町村につきましては、住民に身近な行政サービスを、幅広く地域の実情に応えた形で担っていただけるよう、市町村の皆様のご要望を踏まえながら、県からの事務・権限の移譲を更に進めてまいります。
 そして、県が広域・専門行政を担いつつ、市町村がより住民に寄り添った行政サービスを提供するという基本的な役割分担の枠組みの中で、多様な市町村の意向に十分配慮しながら、住民の福祉の向上という共通の目的を力を合わせて果たすべく、市町村との連携・協調関係を確かなものとするために、市町村長の皆様と、様々な地域の課題について、直接かつ定期的に話し合う場を設け、相互の理解を深めてまいりたいと考えております。

 県政が抱える様々な課題を解決していくためには、県庁全体の総合力を発揮できる組織運営が不可欠です。
 そのために私は、まずは職員一人一人が持てる力を発揮できるよう、忌憚なく自由にものが言える、風通しのよい組織運営を行いたいと考えております。その中で、職員が切磋琢磨し、限られた資源の中で質の高い行政サービスを提供できるよう効率的な行政運営に努め、常に改善を続けられる組織と個人を作ってまいりたいと思います。
 職員が自由闊達に議論し、正しいことが正しいと評価され、努力したことが正当に報われ、そして最終的責任は私がとる体制を構築することが、私の目指す県政運営です。

 以上の理念の下に、「命と暮らしを守り、現在と未来への責任を果たす県政」の実現に向けた県政の方向性を示す、6つの柱について申し上げさせていただきます。

 第1の柱は、「安全への責任」です。
 今回の知事選挙の大きな争点の一つが、柏崎刈羽原子力発電所の再稼働問題でした。
 あの福島第一原子力発電所の事故で、多くの人が言葉では表せない過酷な被害を受けました。あの時からすでに5年が経過していますが、今もなお、事故収束の目途は立っていません。
 原発再稼働問題については、県民の安全を最優先してきた泉田前知事の路線を継承し、福島第一原発事故の原因の徹底的な検証、原発事故が私たちの健康と生活に及ぼす影響の徹底的な検証、そして万一原発事故が起こった場合の安全な避難方法の徹底的な検証の三つの検証がなされない限り、再稼働の議論は始められないという立場を堅持して対応してまいります。
 そのために、まずは、これまで県の安全管理に関する技術委員会で行ってきた検証を、引き続き徹底して進めさせていただきたいと思います。
 併せて、実効性のある避難計画の策定に向け、市町村や関係機関と真摯に話し合い、取組を進めてまいります。
 いずれの取組におきましても、私の目指す所は対立ではありません。国や東京電力をはじめとした関係者との議論を閉ざすことなく、協働を基本として、真摯に対応してまいります。

 次に、原子力以外の防災に対する取組について申し上げます。
 東日本大震災以降、全国各地で地震・津波・火山噴火が相次いでいるほか、局地的な大雨や土砂災害などが多発しています。本県も過去に、大きな地震や水害、大雪などの様々な災害に見舞われてきました。
 県民の生命と財産を守ることに責任を持つ新潟県知事として私は、本県に蓄積されてきたこれまでの経験を活かしながら、地震、水害、雪害などの自然災害に対する防災を担う地域の体制の維持・整備と、万が一災害が起こった場合の迅速な被災者支援体制の構築等に取り組むとともに、更なる防災インフラの整備や老朽化対策など、ハード面の充実にも努めてまいります。

 第2の柱は、「食と農を守る責任」です。
 農業は本県の重要な基幹産業です。本県の農業は、一部では農地の集積などによる大規模化も進んでいますが、依然として所得確保が難しい小規模農家が多数を占めるのが実態です。こうした農家では米価の変動等への対応力も弱く、加えて、農業従事者の高齢化・担い手不足の問題も抱えています。こうした現状を踏まえ、私は、まずは、新潟の農業をいかに守るかということを主眼に置いた施策を進めてまいりたいと考えています。
 TPPについては、次期大統領にTPP批准反対を明言してきたトランプ氏が選出されたことによって先行きは不透明となっていますが、可能性が存続する以上、協定が発効した場合の効果や影響、及び国内対策について、十分な説明を早急に行うよう国に求めるとともに、その結果を踏まえつつ、県としても、農業をはじめとして本県にどのような影響が及びうるかの検証を行い、問題点等を国に提示し、県内と国内の農林水産業の持続的な発展のための万全な対応を含む諸対策を行うことを、従前通り強く求めてまいります。
 本県農業固有の対策としては、中山間地を含めた県内の多様な地域農業の実態を踏まえ、それぞれの地で農業経営が継続できるよう、生産基盤の整備も含めた実効的な対応を行ってまいります。
 具体的には水田をフル活用することで所得が確保される仕組みを構築するとともに、米価下落時等のセーフティネット対策を講じることで、農業者が将来展望を持って安心して農業経営に取り組める制度を確立するよう国に働きかけてまいります。
 また、地域農業を守る上で喫緊の課題である新規就農者の確保策として、就農希望者と受入れ先とのマッチングシステムの強化や、農地や資金の確保などニーズに沿った支援を行い、新規就農者の確保・定着につなげてまいります。
 さらに、「21世紀型の『農業大県』への挑戦」として、「新之助」をはじめとした県産品のブランド化や輸出拡大、6次産業化、食資源等を活かしたグリーン・ツーリズムなどを推進することにより、新潟の農業を「暮らせる農業・稼げる農業」に守り育ててまいります。

 第3の柱は、「命への責任」です。
 私は、医師としてのこれまでの活動の中で、老老介護をはじめとする医療・介護・福祉の現実をこの目で見てまいりました。急速に進む高齢化等により、日本の医療・介護・福祉の現場は非常に厳しい状況に置かれています。県民の皆様が将来にわたって、心から安心して、子どもを産み、育て、医療を受け、そして介護を受けられる環境を実現すべく、全力で取り組んでまいります。
 中でも、本県においては、医師・看護師をはじめとする人材の確保が大きな課題となっています。医療・介護・福祉に携わるスタッフが働きやすくなるよう勤務状況を改善し、地域医療の現場経験がキャリアパスにプラスになるような環境を整備するなどして、医師としての経験も活かしながら、医師・看護師をはじめとする人材の確保に全力で取り組んでまいります。
 また、地域における高度医療の提供体制を確保するため、魚沼基幹病院の早期全面稼働や県央基幹病院の着実な整備を進めてまいります。併せて、基幹病院と地域の医療機関との連携を高め、地域内で地域のニーズに応えられる体制の構築を目指すとともに、中山間地域の医療が維持されるよう全力で取り組んでまいります。
 住み慣れた地域で安心して暮らせる介護の実現も重要な課題です。そのため、介護施設の整備や介護人材の確保、介護職員の待遇改善等を支援するとともに、より身近な現場で住民の個別の事情を把握してこれに対応している市町村との連携を高めて、安心して介護を受けられる体制の構築を進めてまいります。
 また、働きながら安心して子どもを産み育てられる環境の整備にも全力で取り組んでまいります。中でも、病児保育の充実は、子育て世帯から多くの希望が寄せられている課題です。順次整備が進んでいるこれまでの取組を生かし、より一層の充実に向け、市町村と連携して取り組んでまいります。
 新潟水俣病の解決は、発生から既に半世紀が経ち、被害者も高齢化しており、本県の喫緊の課題の一つであると考えております。被害者の立場に立って積極的に対応してきたこれまでの取組を継続し、国への働きかけも含め、すべての被害者が、可能な限り迅速に救済されるよう努力してまいります。
 命への責任の最後に、北朝鮮による拉致問題について申し上げます。
 拉致問題について何ら進展がみられない中で、北朝鮮は、核実験や弾道ミサイルの発射など国際社会に対する威嚇を続けております。拉致被害者ご家族のお気持ちを考えると、深い悲しみと大きな怒りを禁じえません。
 政府には、国際社会と連携を図りながら、「すべての拉致被害者の帰国」を実現していただくことを強く要望するとともに、国の取組を後押しするために、市町村や支援団体はもとより様々な団体に働きかけ、一人でも多くの皆様に関心と理解を深めて頂くための県民運動に全力で取り組んでまいります。

 第4の柱は、「雇用の責任」です。
 本県は、その地理的な特性や恵まれた高速交通網などから、日本海側の表玄関として大きく発展する基盤を有しています。この基盤を最大限に活かし、更に充実を図ることで、人と企業が集まり、繁栄する新潟県を創ります。
 それと同時に、地域経済や雇用の確保に大きな役割を果たしている中小企業を含め、意欲ある県内企業を積極的に支援し、県内産業の活性化を図り、賃金の上昇につなげ、誰もが豊かに働ける新潟県を目指してまいります。
 県内の交通網の更なる充実に関しては、高速道路を含めた道路網の整備と併せ、渋滞対策や雪害対策などのためのきめ細かな公共事業を重点的に推進してまいります。また、新幹線や在来線の利便性の向上に向けた取組を進めるとともに、バス路線など生活に不可欠な地域公共交通についても、維持・確保を図ってまいります。
 新潟空港に関しては、課題となっている空港アクセスの新たな展開に向けての取組を進めるとともに、LCCによる路線開設や特徴ある路線の誘致を図り、オンリーワンの空港づくりを進めてまいります。
 また、港湾の整備や航路の充実といった港の機能強化に努め、対岸諸国との貿易の促進を図ってまいります。
 産業振興に向けては、県内企業の海外展開の支援や国際見本市の開催など、販路拡大に向けたビジネスの場づくりに積極的に取り組むとともに、県内での起業の促進を図ってまいります。
 さらに、「新潟県版グリーンニューディール」として自然エネルギー産業分野への県内企業の参入を支援するほか、国の動向も見極めながら、健康に関するビッグデータを活用し、医療・介護・健康産業の育成に取り組んでまいります。
 観光については、国内や海外から選ばれる新潟となるよう、地域と一体となった取組を進めます。本県には世界遺産登録を目指す佐渡金銀山はじめ、多様な観光資源があります。これらを最大限に活かすとともに、観光に携わる企業や団体とも連携を深めながら、こうした地域資源とイベントを組み合わせた、新潟ならではの農業や芸術文化と融合した、物語性のある観光コンテンツを開発する取組を進めます。また、他県とも連携をとりながら、より良い観光ルートづくりを進め、外国人観光客の更なる増加に、取り組んでまいります。

 第5の柱は、「住民参加への責任」です。
 私は、県政運営に当たっては、情報を開示し、県民の皆様の多様なご意見に真摯に耳を傾け、対話を重ねながら、これを県政に適切に反映させていく開かれた「対話型県政」を基本としてまいります。
 その実現のため、個人情報の保護等に十分な配慮をしつつ、徹底した情報公開を推進するとともに、県の様々な施策について、県民の皆様に分かりやすい形での情報提供に努めます。
 それと同時に、県民の皆様の英知や豊かなアイディアを県政の発展と県民生活の向上に活かすために、私自らが県内各地に足を運び、定期的に直接県民の皆様と触れ合い、対話する場を創設し、「対話型県政」を実現してまいります。

 第6の柱は、「教育への責任」です。
 「国家百年の計は教育にあり」と言われます。
 新潟県の未来をつくるのは、新潟で生まれ、育ち、地域を担っていく子ども達です。こうした子ども達を育む教育は、未来への投資であり、知事として果たさなくてはならない最大の責任の一つであると、私は考えます。
 新潟県の子ども達一人一人が、ふるさと新潟を愛し、将来の夢や希望を叶えることができるよう、質の高い教育、魅力ある教育環境の整備に向けて、全力を尽くしてまいります。
 具体的には、すべての子ども達が確かな学力を培い、一人一人の個性や能力を伸ばせる教育を進めるため、研修や教員間での情報共有のシステムづくり等を通して教員のレベルアップを図るとともに、教員の過重な負担を軽減し、働きやすい環境を整備します。
 また、小・中・高校の各段階で、生徒一人一人の能力を最大限に伸ばせるよう、地域や産業界等と連携した取組を進めるとともに、地域や時代が求める人材ニーズに対応した、魅力ある高等教育機関の充実・整備を積極的に支援してまいります。
 一方で、子ども達が、経済的理由などで教育を受ける機会を失うことがあってはなりません。誰もが希望や能力に応じ、安心して進学し教育を受けられる環境を整備することは、私達が果たすべき大きな責任です。私は、国の動向も踏まえながら、新潟県版給付型奨学金について対象者の範囲等の課題整理などを行った制度設計を進め、早期の実施に全力で取り組みます。
 また、いじめ問題、不登校対策、障がいのある児童生徒の教育環境の整備など、様々な課題についても全力で取り組んでまいります。

 最後に、日本海横断航路事業については、船舶調達のトラブルをめぐり、現在、船の売主が県出資企業を提訴している状況です。県としては、県民の皆様の出資金を守る責任と、関係者とともに日本海横断航路事業を推進してきたものとして事態を収拾する責任を果たすべく、同社の対応状況を見極めながら、適切な対応を図ってまいります。あわせて、今回の船舶調達に係る経緯については、監査の結果も踏まえ、適切な時期に、明らかになった事実関係等を県議会及び県民の皆様に報告させて頂きます。

 以上、県政に対する所信の一端を申し述べてまいりましたが、私は、県知事として、県政の様々な課題の一つ一つに対し、真摯に、丁寧に全力で取り組み、これらの施策を一つ一つ実行していくことにより、県民の皆様と、新潟県に対する、現在と、そして未来への責任を果たしていく所存です。
 議員各位並びに県民の皆様には、何とぞご理解とご協力を賜りますよう、重ねてお願い申し上げます。
 

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