本文
にいがた県議会だより第64号(本会議質問(2) 福祉・医療、産業政策)
福祉・医療
新潟県手話の普及等の推進に関する条例案の所感と施策展開は
問 手話が言語であるとの認識に基づき、手話の普及等を推進することにより、ろう者とろう者以外の者が心を通わせ、相互に人格と個性を尊重し合い、共生できる社会の実現を目指したいという思いから、新潟県手話の普及等の推進に関する条例案を発議したが、条例案に係る所感と、来年度予算編成で条例の趣旨に則る施策をどう展開していくつもりか伺う。
答 手話が言語であるとの認識に基づき、多くの県民が手話への理解を深め、手話によるコミュニケーションや情報提供が保障されることは、極めて重要であると認識している。
県としては、議会のご議論も踏まえ、ろう者とろう者以外が共生できる社会の実現に向け、県民へのさらなる普及啓発、手話通訳者の養成・派遣など、必要な施策に取り組んでいきたいと考えている。
外国人介護人材の受入れについての対応は
問 外国人技能実習制度に昨年11月から介護職が追加された。県の介護事業所における外国人技能実習生の受入れの見通しと、受入拡大をどうとらえ、対応していくのか、所見を伺う。
答 言葉や文化の違いなどから、介護サービスの提供において様々な課題があると伺っているが、団塊世代が後期高齢者となる2025年を見据え、介護人材の確保は喫緊(きっきん)の課題であることや、我が国の人口動態などを踏まえると、時期を失することなく適切に対応すべき状況にあると考えている。
また、実習生の視点に立っても、大半を占めると思われるアジア各国でも時をおかずして人口の高齢化が到来し、介護が大きな社会問題となることが予想され、日本で介護を学ぶ意義は大きいと思う。
なお、本制度による介護職受入れについては、制度化間もないことから現時点での見通しは困難だが、今後、介護関係団体等へ制度の情報提供を行い、ご意見などを伺いながら、どのような支援が必要かつ可能かなどについて検討していく。
十日町看護学校設立についての所見とその影響への対応は
問 県は、十日町市に看護学校を開設する計画だが、南魚沼市の北里大学保健衛生専門学院への影響、特に、十日町病院での臨地実習の受入れや経営への圧迫等が心配される。県全体の適正な定員計画を示し、バランスの取れた配置調整が県の役割と考えるが、十日町看護学校設立についての所見と、北里大学保健衛生専門学院への影響にどう対応するか伺う。
答 県では、将来的な看護職員不足が見込まれる状況や、魚沼地域の看護職員不足等の地域偏在の課題を踏まえ、有識者等からご意見をお聞きしながら、全県的な視野で看護職員養成のあり方を検討し、十日町市に看護学校を設立することとした。
それぞれの看護学校が困らないよう、特に学生の不利益とならないよう、県としてしっかりと調整機能を果たしていきたいと考えている。
また、現役看護師等との高校訪問や、中学生の看護職場体験に関する情報提供を行い、より多くの中高生が将来看護職員を目指すよう積極的に働きかけている。今後も、北里大学保健衛生専門学院を含め、どの地域の養成施設でも定員が充足されるよう、引き続き取り組んでいく。
併せて、これまでも県内各地の臨地実習施設の確保支援を行っており、この地域の実習施設の確保については、周辺の養成施設に支障が生じないよう、設置者として関係機関と調整を進めていく。
産業政策
デンマーク視察の成果と本県のエネルギー政策への還元は
問 昨年10月に知事はデンマークを訪問し、再生可能エネルギーの利活用などについて、意見交換を行ったと承知している。本県は、デンマークと地理的特徴や電力系統の整備状況などが異なると考えるが、視察の成果を本県のエネルギー政策にどう還元しようと考えているのか所見を伺う。
答 デンマークでは、大規模な再生可能エネルギー発電施設の設置に当たり、政府が主体的に調整し、地元の合意形成を行っている。
また、余剰電力を需要の大きい時間帯に販売できるよう、様々な「ためる」技術への取組が行われ、再生可能エネルギーの大量導入を可能とする仕組みの構築が図られている。
さらに、世界的な洋上風力発電機メーカーを国として育成し、メンテナンス事業を現地企業の協力を得ながら実施していることや、ロラン市での造船業から風力発電機のブレード工場への産業転換を確認した。
県としては、地元の合意形成手法などの研究のほか、電力系統空き容量の不足の現状を踏まえ、系統強化の関係者への働きかけ、エネルギーを「ためる」取組への支援、風力発電設備のメンテナンス業務をはじめとした県内企業の参入促進など、視察の成果を再生可能エネルギーの活用促進を通じた本県経済の活性化に反映できるよう、検討していきたいと考えている。
電力系統への接続の課題への対応は
問 京都大学による、電力系統に空きがないと言われる北東北の基幹送電線の調査では、利用率が2~18%程度であり、本県でも同様の状態と考える。固定価格買取制度が適用される再生可能エネルギーの導入促進には系統接続が不可欠と考えるが、今後どう県版グリーンニューディール政策を推進するのか所見を伺う。
答 本県でも、電力系統に空きがないと言われる地域が多く、再生可能エネルギーの導入促進には、この課題解決が不可欠と考える。ただしこれは、最大送電量を想定しており、実送電量での実空き容量の実数値は知り得ないが、京都大学の研究と同様に相当程度の空きがある可能性がある。
現在、国が既存系統を最大限活用する手法などの検討を進めていると承知しており、引き続き、国に対し早期の系統接続の課題解決を働きかけるとともに、デンマークの様々な取組などを参考に、再生可能エネルギーの自家消費など、電力系統の制約を受けない取組への支援を検討していきたいと考えている。