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平成30年12月定例会(請願第5号)
第5号 平成30年11月30日受理 総務文教委員会 付託
学費と教育条件の公私間格差の是正へ私立高校への私学助成増額を求めることに関する請願
請願者 新潟県私学の公費助成をすすめる会 会長 中村直美
紹介議員 藤田博史君 高倉 栄君 長部 登君 小山芳元君 渋谷明治君 佐藤浩雄君
(要旨)
平成22年度に発足した国の就学支援金制度は、平成26年度の制度見直しにより、国が規定する経済的困難層である年収590万円未満世帯に対し、加算支給額が増額された。国の拡充を受け、県でもこの間独自の学費軽減助成制度の拡充がおこなわれてきた。
しかし、私立高校生の学費負担の現状は、年収590万円未満世帯で見ると国と県の学費軽減の支援を受けたのちも年額約17万円~40万円(初年度納入金平均)の負担が残り、依然として学費が重くのしかかっている。一方、公立高校生は同じ世帯ではほぼ無償(入学金5,650円の負担のみ)となっており、同じ高校生でも公私間に大きな学費格差が存在している。
政府は、年収590万円未満世帯を対象に私立高校の授業料無償化を盛り込んだ「新しい経済政策パッケージ」を閣議決定するなど、私立高校無償化へむけた動きが進みつつある。この動きを踏まえて、他県では平成30年度予算において年収590万円未満世帯の授業料無償化の実施(神奈川)、年収590万円未満世帯の助成額の増額(山形・兵庫)、授業料無償の世帯を年収609万円未満から年収720万円未満へ拡大(埼玉)など、県独自の学費助成の拡充がおこなわれた。新潟県内私立高校に通う生徒の家庭は、年収590万円未満世帯が約6割を占めており(平成28年度の場合)、この世帯に対する県独自の学費助成の拡充が行われれば、学費の公私間格差の是正が大きくすすむことになる。
また、教育条件における公私間の格差是正も重要な課題となっている。平成15年度から平成29年度の15年間の教員数の推移を見ると、平成15年度に専任教員694人であったものが平成29年度には673人と、21人の減少が見られるのに対し、有期雇用の常勤講師は平成15年度の50人から平成29年度には151人となっており、101人も増加している。このように、県内私立高校の教員構成の現状は、専任教員の数が減る一方で、有期雇用の常勤講師が増えている。こうした中で、全教員に占める専任教員の割合(専任教員比率)が平成29年度には61%となっている。一方、公立高校の専任教員比率は同年度で79%となっており、教育条件においても公立との格差が生じている。
教育は、その継続性が求められる。とりわけ私学においては、「建学の精神」にもとづく独自の教育がすすめられており、そうした教育の伝統を継承していくためには、専任教員の存在は不可欠である。教育条件に公私間の格差が生じる大きな要因は、私立高校経常費への公費の少なさにある。公立高校生には一人当たり約100万円の経常費に対する公費支出があるが(平成28年度決算県教委資料)、私立高校生には一人当たりその4割弱にあたる約35万円(平成30年度)の経常費助成にとどまっている。専任教員の増員をはかるためには、経常費助成のいっそうの増額が求められる。
未来ある子どもたちのために、経済的格差により子どもたちの学校選択の幅が狭まることのないよう、また同時に私学教育本来の良さがいっそう発揮されるように、来年度予算において私立高校関係予算の増額が強く求められる。
ついては、貴議会において、次の事項に配慮されたい。
1 学費軽減事業予算を増額し、制度の拡充をおこなうこと。
2 教育条件の充実がはかられるよう、経常費助成予算の増額をおこなうこと。
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