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令和2年12月定例会(第26号発議案)

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0333983 更新日:2020年12月1日更新

令和2年12月定例会で上程された発議案

新潟県いじめ等の対策に関する条例

第26号発議案

   新潟県いじめ等の対策に関する条例

 上記議案を別紙のとおり提出します。

  令和2年12月1日

   提出者  沢野 修  河原井 拓也  小山 大志
        中川 隆一  高見 美加  保坂 裕一
        与口 善之  桜庭 節子  斎京 四郎
        中村 康司  松原 良道  笠原 義宗
        高橋 直揮  宮崎 悦男  青柳 正司
        横尾 幸秀  皆川 雄二  小林 一大
        冨樫 一成  楡井 辰雄  小島 隆
        佐藤 純  岩村 良一  尾身 孝昭
        柄沢 正三  小野 峯生  帆苅 謙治
        渡辺 惇夫  石井 修  星野 伊佐夫

新潟県議会議長  桜井 甚一 様

 


新潟県いじめ等の対策に関する条例

 本県に暮らす児童等の未来は、光り輝くものであってほしい。
 このことは、いじめ等の問題に関する報道が本県の内外で繰り返される度に、県民誰もが強く願うことであり、児童等が光り輝く未来を享受するためには、社会全体でいじめ等の問題に取り組む必要があることはいうまでもない。
 ここに、私たちは、児童等が健やかに成長することができる環境づくりを進めるため、県、市町村、学校の設置者、学校及び学校の教職員、保護者、児童等並びに県民及び事業者が一丸となって、社会全体でいじめ等の対策を推進することを決意し、この条例を制定する。

(目的)
第1条 この条例は、いじめ及びいじめ類似行為(以下「いじめ等」という。)の未然防止、いじめ等の早期発見、いじめ等に対する迅速かつ適切な対応並びにいじめ等の再発防止の対策(以下「いじめ等の対策」という。)に関し、基本理念を定め、県等の責務を明らかにするとともに、いじめ等の対策を総合的かつ効果的に推進するための基本的な事項を定めることにより、もって児童等が健やかに成長することのできる環境の整備に資することを目的とする。

(定義)
第2条 この条例において「いじめ」とは、児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているものをいう。
2 この条例において「いじめ類似行為」とは、児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該児童等が当該行為を知ったときに心身の苦痛を感じる蓋然性の高いものをいう。
3 この条例において「学校」とは、学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校及び特別支援学校(幼稚部を除く。)をいう。
4 この条例において「児童等」とは、学校に在籍する児童又は生徒をいう。
5 この条例において「保護者」とは、親権を行う者(親権を行う者のないときは、未成年後見人)をいう。

(基本理念)
第3条 いじめ等の対策は、いじめ等が全ての児童等に関係する問題であることに鑑み、児童等が安心して学習その他の活動に取り組むことにより、健やかに成長することができるよう、学校の内外を問わずいじめ等が行われなくなるようにすることを旨として行われなければならない。
2 いじめ等の対策は、全ての児童等がいじめ等を行わず、及び他の児童等に対して行われるいじめ等を認識しながらこれを放置することがないようにするため、いじめ等が児童等の心身に及ぼす影響その他のいじめ等の問題に関する児童等の理解を深めることを旨として行われなければならない。
3 いじめ等の対策は、いじめを受けた児童等の生命及び心身を保護することが特に重要であることを認識しつつ、県、市町村、学校の設置者、学校及び学校の教職員、保護者その他の関係者の連携の下、いじめ等の問題を克服することを目指して行われなければならない。
4 いじめ等の対策は、児童等の規範意識が養われるとともに、児童等が当該対策の当事者としての自覚を持ち、主体的かつ積極的に行動することができるように育まれることを旨として行われなければならない。
5 いじめ等の対策は、いじめを受けた児童等の心情を尊重した対応及びその保護者に対する必要な支援並びにいじめ等を行った児童等に対する指導及びその保護者に対する必要な助言を適切かつ迅速に行われることを旨として行われなければならない。

(いじめ等の禁止)
第4条 児童等は、いじめ等を行ってはならない。

(県の責務並びに市町村への支援及び協力)
第5条 県は、第3条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、いじめ等の対策に関し、市町村その他の関係者と連携を図りつつ、本県の実情に応じた施策を実施する責務を有する。
2 県は、市町村が実施するいじめ等の対策について、必要な支援及び協力を行うものとする。

(学校の設置者の責務)
第6条 学校の設置者は、基本理念にのっとり、その設置する学校におけるいじめ等の対策について、自らが率先して実施すべき立場にあることを踏まえ、必要な措置を講ずるものとする。

(学校及び学校の教職員の責務)
第7条 学校及び学校の教職員は、基本理念にのっとり、当該学校に在籍する児童等の保護者その他の関係者との連携を図りつつ、学校全体で、いじめ等の対策を推進するとともに、当該学校に在籍する児童等へのいじめ等があったと思われるときは、適切かつ迅速にこれに対処するものとする。

(保護者の責務)
第8条 保護者は、基本理念にのっとり、いじめ等の対策、インターネットを通じて送信される情報の特性等について自ら学び、その保護する児童等がいじめ等を行うことのないよう、当該児童等に対し、他者を思いやる意識の醸成を図るとともに、規範意識を養うための教育その他の必要な教育を行うよう努めるものとする。
2 保護者は、基本理念にのっとり、その保護する児童等がいじめを受けた場合は、適切に当該児童等をいじめから保護するとともに、その保護する児童等が在籍する学校でいじめ等があった場合は、いじめ等の事実に向き合い、解決に向けて協力するものとする。
3 保護者は、県、市町村、学校の設置者及びその設置する学校が講ずるいじめ等の対策に協力するものとする。

(児童等の役割)
第9条 児童等は、基本理念にのっとり、自らを大切にし、一人一人の違いを理解し、及び互いを尊重するとともに、その発達段階に応じて、インターネットを通じて送信される情報の特性に対する理解を深めるよう努めるものとする。
2 児童等は、基本理念にのっとり、いじめ等を発見した場合又はいじめ等が行われている疑いがあると思われる場合は、傍観することなく学校及び学校の教職員、保護者その他の関係者に相談するよう努めるものとする。

(県民及び事業者の協力)
第10条 県民及び事業者は、基本理念にのっとり、いじめ等の対策を推進することが児童等が健やかに成長することのできる環境の整備に資することに理解を深め、その居住する又は事業を行う地域において、いじめ等を発見した場合又はいじめ等が行われている疑いがあると思われる場合は、学校及び学校の教職員、保護者その他の関係者への情報の提供その他必要な配慮を行うよう努めるものとする。

(財政上の措置)
第11条 県は、いじめ等の対策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

(いじめ等の未然防止に資する取組の推進等)
第12条 県は、児童等自らがいじめ等に関する問題を主体的かつ真剣に考えることができる取組、児童等が互いに良好な関係を築くことができる取組その他のいじめ等の未然防止に資する取組を推進するものとする。
2 県は、いじめ等の早期発見、発見したいじめ等への迅速かつ適切な対応等に資する環境の整備を図るものとする。
3 県は、いじめに起因して不登校になっている児童等について、当該児童等の心身の状況に応じて、学習活動等の場の確保、相談その他の支援に資する環境の整備を図るものとする。

(インターネットを通じて行われるいじめ等の未然防止等)
第13条 県は、市町村その他の関係者と連携し、インターネットを通じて送信されるいじめ等に関する情報が及ぼす影響の重大性に鑑み、スマートフォンその他の携帯電話端末等によりソーシャルネットワーキングサービスその他のインターネットを通じて行われるいじめ等の未然防止に資するため、児童等に対するインターネットの適切な利用に関する教育及び保護者への啓発活動を行うものとする。
2 県は、市町村その他の関係者と連携し、スマートフォンその他の携帯電話端末等によりソーシャルネットワーキングサービスその他のインターネットを通じて行われるいじめ類似行為の早期発見に資する体制の整備を図るものとする。

(人材の確保及び資質の向上)
第14条 県は、いじめを受けた児童等又はその保護者に対する支援、いじめ等を行った児童等に対する指導又はその保護者に対する助言その他のいじめ等の対策が専門的知識に基づき適切に行われるよう、研修等を通じた学校の教職員の資質の向上、学校におけるいじめ等の対策の推進に資する体制の充実、スクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラーその他の心理、福祉等に関する専門的知識を有する者であって、いじめ等の対策を含む教育相談に応じるもの及びいじめ等への対処に関し助言を行うために学校の求めに応じて派遣される者の確保並びに適切な配置その他必要な取組を推進するものとする。

(情報の共有、検証、調査研究等)
第15条 県は、市町村その他の関係者と連携し、それらの保有するいじめ等の対策に資する情報の共有、いじめ等の対策の実施の状況の検証及びいじめ等の対策の効果的な実施に資する調査研究を行うとともに、それらの成果を普及するものとする。

(社会全体による対策の推進)
第16条 県は、社会全体でいじめ等の対策を推進するため、いじめ等が児童等の心身に及ぼす影響、いじめ等を防止することの重要性、いじめ等に係る相談制度及び救済制度等について、県民の関心と理解を深めるために必要な広報その他の啓発活動を行うものとする。

附 則
(施行期日)
1 この条例は、公布の日から施行する。
(検討)
2 県は、この条例の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。


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