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令和2年12月定例会(提案理由)
令和2年12月定例会提出議案知事説明要旨
議案についての知事の説明を掲載しています。
12月1日 知事説明要旨
令和2年12月定例県議会の開会に当たり、前議会以降の県政の主な動きと、提案致しております議案の概要をご説明申し上げ、議員各位並びに県民の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。
まず第一点目は、県民の安全・安心の確保に向けた取組についてです。
最初に、新型コロナウイルス感染防止対策と医療提供体制の整備についてです。
11月に入り全国的に感染拡大がみられる中、本県においても感染者数が増加したことから、専門家の意見も踏まえ、11日に「注意報」を発令したところです。注意報発令以降も新潟市の高齢者施設や柏崎市の小学校を中心に多数の新規感染者が発生するなど、油断できない状況が続いていると考えており、今後も状況を注視するとともに、県民の皆様に早期の受診等の注意喚起を行ってまいります。
これまで県では、感染拡大ピーク時に備えて検査体制の強化や病床の確保など、医療提供体制の強化を図ってまいりました。また、今冬の新型コロナウイルスとインフルエンザの同時流行に備え、発熱患者の外来診療・検査を行う医療機関を500ヵ所程度指定したところです。
加えて、発熱などの症状がある方の不安解消のため、24時間対応する新型コロナ受診・相談センターを開設するなど相談体制の強化も図っており、引き続き、万全の体制で県民の安全・安心を確保できるよう全力で取り組んでまいります。
次に、原子力防災対策の推進についてです。
10月、原子力災害時の避難が円滑に行えるよう、新潟県バス協会と「原子力災害時における人員の輸送等に関する協定」を、また東京電力と「原子力防災に関する協力協定」をそれぞれ締結いたしました。
10月20日から24日にかけて、こうした協定に基づく避難手順の確認や住民の避難訓練など、住民の皆様や市町村等関係機関も参加する総合訓練を実施したところです。訓練を繰り返し行うことにより、広域避難計画の実効性を高めるとともに、原子力災害発生時に備えた対応力の、さらなる向上を図ってまいります。
柏崎刈羽原子力発電所については、7号機について、原子力規制委員会の審査が終了しましたが、安全対策工事は今も進められている状況にあります。引き続き技術委員会において、審査内容に疑問が残る点などについて、福島原発事故の検証も踏まえて、安全対策の確認を進めてまいります。
3つの検証については、10月26日に「事故の原因に関する検証」の報告書が県に提出されました。事故の検証作業は、平成24年度以降約8年間行ってきたものであり、様々な可能性を排除せずに議論を重ねていただき、安全性確保の観点から133にものぼる幅広い課題と教訓を提示していただきました。また、他の委員会についても、精力的かつ着実に検証が進められていると承知しております。再稼働の議論については、3つの検証の結果が示された後に始めたいと考えております。
次に、野生鳥獣被害対策についてです。
県では、クマへの警戒対応レベルを最も高い特別警報に引き上げ、猟友会を始め国や市町村等関係機関と連携して、注意喚起やパトロール、河川敷の藪刈り払い等を行うほか、罠による捕獲の強化に取り組んでおります。
しかしながら、依然としてクマの出没情報が数多く寄せられており、今後も人身被害の発生が懸念されることから、特別警報の期間を1月15日まで延長し、年末年始も含めて、県民の皆様に対しクマへの最大限の警戒を呼びかけたところです。
引き続きクマによる人身被害の防止に向けて、関係機関とともに総力を挙げて被害対策に取り組み、県民の安全・安心を確保してまいります。
第二点目は人口減少対策等についてです。
最初に、人口減少問題への対応についてです。
10月1日現在の本県推計人口は、前年と比べ社会減、自然減とも若干改善したものの、約2万2千人減少し、220万人を下回りました。近年、高齢化等に伴う死亡者が約3万人で推移する中、進学や就職を契機とした若年層の首都圏等への流出が、出生数の減少にもつながる悪循環が生じていると考えております。
このため、県全体で危機感を共有し、若者、特に女性に選ばれる魅力のある良質な働く場を確保しながら、教育や子育てなど本県の総合的な暮らしやすさを向上していくことが重要と考えております。また、こうした情報がU・Iターンにつながる明確なターゲットに対して効果的に届くよう取り組んでまいります。
一方、新型コロナウイルス感染拡大を契機として、社会経済活動、ライフスタイルの変化が見られ、これらの変化に合わせて、人や企業の地方分散の流れが生じつつあります。こうした流れを捉え、地域の持つ強みや財産を活かしつつ、移住促進や企業誘致といった施策を官民で進めることによって、新潟が選ばれる地域となるよう取り組んでまいります。
また、人口減少問題は、国家的な課題でもあります。地方だけでは解決が難しい制度改革や地域の実情に応じた取組への継続的な財政支援等について、今後も国に対して積極的に働きかけてまいります。
次に、持続可能な社会実現に向けた政策に係る検討委員会についてです。
少子高齢化や気候変動等の急速な進展等により、今後、社会経済のあり方が大きく変わる可能性がある中で、コロナ後の県勢の発展に向け、中長期的観点から、未来を展望していくことも大変重要です。
このため、有識者による検討委員会を立ち上げ、先般、第1回委員会を開催したところです。
委員会では、幅広い公共性や新規性等の観点から、再生可能エネルギーの導入促進など気候変動への対応、自然環境の維持・活用等といった課題を中心に、今後の議論を進めることとなっております。
厳しい財政状況の中にあっても、本県が成長を遂げていくために必要となる新たな政策についての検討が進められるものと期待しております。
第三点目は、健康立県の実現など医療・健康対策についてです。
県では、健康立県の実現に向け、市町村や関係団体、企業等と連携したヘルスプロモーションプロジェクトを展開しております。
先般このプロジェクトの一つとして、県内全域で展開するスーパー等で、本県独自の基準に基づき健康に配慮した「中食(なかしょく)」の提供を行うモデル的な取組を開始したところです。今後も働く世代のがん対策や受動喫煙対策等のプロジェクトを展開し、健康づくりに対する県民の機運醸成と行動変容を促してまいります。
また、健康の維持・増進とあわせ、県民が必要な時に必要な医療サービスを受けられる医療提供体制の整備は重要です。
今後の医療提供体制の整備に当たっては、人口構造の変化に伴う医療需要の変化と医師の働き方改革に対応し、かつ、医療の質の維持・向上を実現するため、医療資源の効果的・効率的な活用という視点が一層重要になります。
このため、医療資源が充実し対応力の大きな中核病院の整備・機能強化を柱に据えた医療再編を促していく必要があります。具体的には、各圏域ごとに、救急や高度・専門的な医療等を担うための機能を有し、圏域の中核となる病院と、その病院と協働し、後期高齢者の増加に伴い需要増が見込まれる疾患を中心に対応する病院を配置するなど体制整備を進めていく必要があると考えております。
先般開催した新潟県地域医療構想調整会議において、こうした今後の整備の進め方など県の考えをお示ししたところであり、今後、医療関係者によるワーキンググループ等での検討を進め、調整会議での議論を深めてまいります。
県といたしましては、県議会でのご議論、調整会議でいただいたご意見等を踏まえながら、リーダーシップを発揮し、持続可能な医療提供体制の整備に向けた取組を着実に進めてまいります。
第四点目は、本県経済の活性化についてです。
まず、事業継続と需要喚起に向けた取組についてです。
本県経済は、一部で持ち直しの動きが見られるものの、設備投資や雇用も弱い動きとなっており、全体として引き続き厳しい状況にあります。
県では国の経済対策を活用して特別融資を創設し、これまで約3,000億円を超える融資が実行される等多くの県内企業の経営の下支えに取り組んでまいりました。
さらに、県内事業者への発注や県産品の活用を促進するため、県内の各種団体が需要喚起に向け、感染防止対策を徹底した上で実施する取組を約100件支援し、その半数がすでに実施されているところです。
今後とも、県内経済の着実な回復や付加価値の高い産業構造への転換に取り組むとともに、今後の感染の広がり等の状況を注視しつつ、国の対応も踏まえながら適切な対応に努めてまいります。
次に、再生可能エネルギー等の利用拡大についてです。
県では洋上風力発電の導入に向け、まずは村上市・胎内市沖での促進区域の指定を目指し、地元自治体や利害関係者等のご意見を伺いながら合意に向けた調整を進めております。また、水素エネルギーの利活用の促進を図るため、燃料電池車の多様な利活用の実証や昨年度策定した水素サプライチェーン構想の実現に向けた可能性調査などを行っているところです。
加えて、先般、新潟東港において民間企業による大規模なバイオマス発電の建設計画が公表されました。計画が実現すれば、日本海側のエネルギー拠点化にもつながり得るものであり、地域の雇用拡大や新潟東港の物流活性化など、本県経済への波及効果も期待しているところです。
今後も、2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにする脱炭素社会の実現に向けて、本県の多様な地域資源を活用した再生可能・次世代エネルギーの利用拡大と、県内企業の参入促進を進め、経済と環境の好循環をつくり出せるよう取り組んでまいります。
次に、農業振興についてです。
先般、国が公表した主食用米等の需給見通しでは、国内需要の減少に加え、新型コロナウイルス感染症の影響による業務用米を中心とした需要が減少し、急激な米価下落が懸念されることから、令和3年産米は大幅な減産が必要とされております。
このため、本県では、全国知事会を通じて、主食用米の価格安定に向けた抜本的な対策を講じるよう国に要望したところです。加えて、9月補正予算により、新潟米の需要拡大に向けたPRを行うとともに、令和3年産米における非主食用米等への転換推進の取組を直ちに開始するなど、需要に応じた生産が適切に行われるよう、関係機関と危機感を共有しながら取組を進めてまいります。
今後とも、新潟米全体の需要拡大と所得の最大化のための多様な米づくりを推進するとともに、稲作農家の経営の幅を広げるため、園芸振興基本戦略に沿って園芸作物の拡大や新たな品目の導入を推進することで、農家所得の確保を図ってまいります。
第五点目は、交流人口の拡大についてです。
新型コロナウイルスの感染拡大により、深刻な影響を受けた観光産業は、県や市町村が実施した宿泊割引や国のGoToトラベルなどの需要喚起策により、全体としては回復傾向にあるものと認識しております。
県では、こうした回復の流れを持続させるために11月から、県内宿泊者を対象に来年以降に利用できる宿泊補助券が当たる「再旅(ふたたび)キャンペーン」を新たに開始したところです。
さらに冬期の観光需要の回復に向けて、スキー場関係者と連携し、来場者の感染防止対策を徹底するとともに、リフト券やレンタル用品、雪遊び体験の割引支援によりスキー等の需要喚起に取り組むこととしており、今後も柔軟かつ機動的に切れ目のない観光需要の喚起策に努めてまいります。
また、県では、今後の総合的な観光振興施策の推進に向けて、「新潟県観光立県推進行動計画」の改定に取り組んでおり、先般、本県観光を取り巻く環境の変化等を踏まえ、政策目標や今後の取組を記載した計画の素案を公表したところです。
今後、議会をはじめ、市町村などから幅広くご意見をいただきながら、今年度中の計画の改定に向けて検討を重ねてまいります。
第六点目は、地域公共交通の確保についてです。
最初に、佐渡航路についてです。
新型コロナウイルス感染拡大により、佐渡汽船の経営は深刻な影響を受け、今期債務超過が見込まれる状況にあります。
県では、これまで佐渡汽船の経営改善について関係者間で協議を重ね、先般、佐渡市、上越市、県で小木直江津航路の就航船舶を高速カーフェリー「あかね」からジェットフォイルに変更すること等を合意いたしました。
また、佐渡汽船からは、新型コロナウイルスの影響が極めて大きく、自助努力してもなお債務超過を解消することが困難なため、行政支援の要請がありました。県としましては、佐渡汽船が経営改善に早急に取り組み、佐渡航路を安定的に維持確保することを前提に、関係市と協調し、佐渡航路が持続的に運航されるよう必要な支援を行うため、関連する予算案を本定例会にお諮りしたところです。
次に、高速バスネットワークについてです。
新型コロナウイルス感染拡大により、県内高速バスは利用者が前年に比べ依然4割程度減少しており、経営に深刻な影響を受けております。
県土の広い本県において、高速バスは重要な生活交通であることから、利用促進の取組と併せ、まずは路線維持に向けた対応などについて検討してまいります。
また、新型コロナウイルスの影響下で地域公共交通を維持していくには、国の支援が不可欠です。輸送需要の回復が見通せず、厳しい経営状況にある地域公共交通の安定運行に向けて、運行費等の支援を継続するとともに、設備投資などに対しても、特に手厚い支援策を講じるよう、国に対して要望したところです。
引き続き、地域住民の日常生活や社会経済活動に欠かすことのできない地域公共交通の維持・確保に向けて、必要な対策を講じてまいります。
第七点目は、教育についてです。
再調査の要望があった平成29年の上越地方の県立高校における事案について、先般、新潟県いじめ等に関する調査委員会が報告書をとりまとめました。報告書では、本事案において「いじめ」があったと認定したうえで、今後の学校における「いじめ」への対応等について提言があったところです。
また、10月に公表された「いじめ」に関する全国調査によると、県内の小中学校、高校及び特別支援学校における昨年度のいじめ認知件数は20,390件と、前年度より約2千件増加いたしました。
いじめ対策総点検やいじめ対策推進教員の配置等の取組により、積極的な認知が進んだ結果であると受け止めております。
いじめは、どの学校でも、どの子供にも起こり得る問題であり、いじめを早期に発見し、迅速かつ適切に対処することが何よりも大切です。
今後も、教育委員会と連携し、いじめ対策をさらに進め、いじめから子どもを徹底して守り抜く体制の強化に取り組んでまいります。
第八点目は、拉致問題についてです。
11月15日、横田めぐみさんが拉致されてから43年目となるこの日に開催された県民集会は、新型コロナウイルス感染防止対策に配慮しながら行われましたが、インターネット中継の視聴者も含め、県民の皆様の拉致問題解決に向けた熱い思いを一つにすることができました。
横田早紀江さんは映像メッセージによる出演となりましたが、滋さんへのお気持ちを示された上で、もう喜びの会にしなければならない時期にあり、政府には実行力を行使してほしいと訴えられました。改めて、もはや一刻の猶予も許されないということを痛感したところです。
また、加藤官房長官からは「あらゆるチャンスを逃すことなく全力で取り組む」との決意が示されました。政府には、バイデン氏が次期米国大統領に就任されるといった諸情勢に適確に対応し、国際社会との連携を図りながら、早急に目に見える形で具体的な成果を出していただきたいと考えております。
県といたしましては、知事の会等と連携を図りながら、全ての拉致被害者が一刻も早く帰国できるよう国に働きかけるとともに、国の外交交渉を後押しするため、県民世論の喚起に向けて、引き続き全力で取り組んでまいります。
第九点目は、地域振興局の見直しについてです。
全県で地域振興局体制に移行してから10年以上が経過し、この間、本県においては市町村合併が大きく進展し、市町村の規模や能力が拡大するなど、地域振興局を取り巻く環境は大きく変化しております。
こうした環境変化を踏まえ、昨年度より、地域における県民サービスをより効率的に提供していくため、現状の地域振興局体制の評価や改善点などについて、市町村や関係団体に御意見を伺いながら見直しについて検討してきたところであり、今般、その具体案を作成したところです。
見直しに当たっては、12の地域振興局体制は維持しつつ、各業務の性質等に応じた最適な執行体制を整備することを基本に進めてまいりたいと考えております。
具体的には、県と市町村との役割分担を踏まえ、広域的に調整すべき業務や高度で専門的な業務について集約を図る一方、災害対応など即応が必要な業務や県民生活に密接に関わる現地性が高い業務については引き続き各地域振興局で担うこととしてまいりたいと考えております。
今議会でのご議論や、現在、個別に説明を行っている各市町村長の皆様からのご意見等も踏まえながら、令和4年度からの実施に向けて進めてまいります。
続いて、提案しております主な議案についてご説明申し上げます。
第154号議案は、一般会計補正予算案でありまして、総額13億830万2千円の増額補正についてお諮りいたしました。
今回の補正は、これまで述べたもののほか、マイナンバーカードを健康保険証として利用するための環境整備に要する経費を計上しております。
加えて、令和3年度事業に係る発注・施工時期の平準化や起工準備期間の確保に加え、不測の災害等に対応するため、いわゆる「ゼロ県債」を設定したところです。
その結果、補正後の予算規模は、1兆4,849億9,018万1千円となります。
次に、その他の議案についてご説明申し上げます。
第155号から第157号までの各議案は、企業会計に係る補正予算案でありまして、事業実施上必要とするものについて、それぞれ補正するものです。
次に、その他の主な条例案件等についてご説明申し上げます。
第158号議案は、県知事の権限に属する事務の一部を市町村に移譲するため、
第161号議案、第166号から第168号までの各議案、及び第171号議案は、国の道路占用料改定に準じ、道路占用料等の改定を行うため、
第162号議案は、犯罪被害者等支援の基本となる事項を新たに定めるため、
それぞれ、条例の制定及び所要の改正を行うものです。
次に、第173号から第175号までの各議案は、財産の取得について、
第176号から第179号までの各議案は契約の締結について、
第183号から第185号までの各議案は損害賠償額の決定について、
第186号議案は、当せん金付証票の発売について、
第187号から第192号までの各議案は、指定管理者の指定について、
最後に、第193号議案は、公立大学法人新潟県立大学の第3期中期目標を定めることについて、お諮りするものです。
以上、主な議案の概要につきまして、ご説明申し上げましたが、何とぞ慎重にご審議のうえ、各議案それぞれについて、ご賛同を賜りますよう、お願い申し上げます。
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