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令和3年6月定例会(請願第2号)
第2号 令和3年6月10日受理 産業経済委員会 付託
令和3年度新潟地方最低賃金改正等についての意見書提出に関する請願
請願者 日本労働組合総連合会新潟県連合会 会長 牧野茂夫
紹介議員 樋口秀敏君 小島 晋君 池田千賀子君 高倉栄君 上杉知之君
大渕健君 長部登君 小山芳元君 杉井旬君 重川隆広君
佐藤浩雄君 渡辺和光君
(要旨)労働基準法第2条では、労働条件は、労働者と使用者が、対等な立場において決定すべきものであると定めている。しかし、地域別最低賃金の影響を受けるパートタイム、有期及び派遣労働者の多くは集団的労使関係になく、労働条件決定に関与することが難しい状況にある。
現下の日本経済は、ウイルス禍を起因とした戦後最大の落ち込みから徐々に回復しつつあるものの、新型ウイルス感染症の感染が再拡大しており、予断を許さない状況下にある。一方、政府は、経済財政運営と改革の基本方針2020(令和2年7月17日閣議決定)において、賃上げしやすい環境整備に不断に取り組むことと最低賃金を早期に全国加重平均1,000円になることを目指すとの方針を堅持するとし、さらに、国民の命とくらしを守る安心と希望のための総合経済対策(令和2年12月8日閣議決定)においても引き続き最低賃金の引上げに向けた環境整備に取り組むとしている。
本県の令和2年度地域別最低賃金は831円で(10月1日発効)と全国平均とは71円もの差がある。また依然として都市部との格差が縮まらず、若者の人口流出にも大きく影響しており、人手不足が深刻化する中にあって、県内勤労者の人材確保をさらに厳しくする要因となっている。
そのことからも、社会全体で雇用を維持、創出すると同時に、ウイルス禍で社会機能を支えたいわゆるエッセンシャルワーカーはもとより、中小企業やパートタイム、有期及び派遣労働者の底上げ、底支え及び格差是正を実現することで、将来の不安を払拭し、個人消費を喚起していくことで、内需を拡大させていくことが不可欠である。
また、中小企業が経営基盤を強化し、賃上げ原資を確保するためには、サプライチェーン全体で生み出した付加価値の適正配分とともに、最低賃金の引上げと雇用の維持を二律背反で捉えるべきではなく、中小企業、小規模事業者が賃上げしやすい環境整備を行い、企業の通常の支払いの能力を高めることが重要であることから、国による各種助成金制度の更なる拡充が必要である。
ついては、貴議会において、次の事項を求める意見書を関係機関に提出されたい。
1 新潟労働局及び新潟地方最低賃金審議会への要請事項
⑴ 令和3年度の新潟地方最低賃金の改正に当たっては、従来から深刻化している本県の人材確保、全国との格差解消、国の度重なる全国加重平均1,000円以上を目指すとの方針を堅持するに鑑み、早期に1,000円以上を目指した引上げを行うこと。
⑵ 特定最低賃金の改正に当たっては、特定最低賃金の目的である労働条件の向上、事業の公正競争を確保する観点から最低賃金より高い水準を確保する必要性やこれまでの経緯等を十分勘案して検討すること。
2 政府への要請事項
最低賃金の引き上げと同時に、新型ウイルス感染症により命と生活を守るために最前線で働くエッセンシャルワーカーの処遇改善と、中小企業に対する支援の充実と周知を図り、安定した経営を可能とする対策を行うこと。