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令和5年6月定例会(請願第7号)
第7号 令和5年6月21日受理 産業経済委員会 付託
令和5年度新潟地方最低賃金改定等についての意見書提出に関する請願
請願者 日本労働組合総連合会新潟県連合会 会長 牧野茂夫
紹介議員 上杉知之君 大渕健君 重川隆広君 片野猛君 渡辺和光君
(要旨)労働基準法第2条(労働条件の決定)は、労働条件は、労働者と使用者が、対等な立場において決定すべきものであると定めている。しかし、地域別最低賃金の影響を受けるパートタイム、有期及び派遣労働者の多くは集団的労使関係になく、労働条件決定に関与することが難しい状況にある。
物価の高騰が続く中、最低賃金近傍で働く者の厳しい生活実態を直視し、生活水準の維持・向上の観点からも、今こそ「労働条件の改善を図り、もって、労働者の生活の安定、労働力の質的向上及び事業の公正な競争の確保に資するとともに国民経済の健全な発展に寄与する」との最低賃金法1条の目的を果たさなければならない。
政府は経済財政運営と改革の基本方針2023(令和5年6月16日閣議決定)の中で「最低賃金については、昨年は過去最高の引上げ額となったが、今年は全国加重平均1,000円を達成することを含めて、公労使三者構成の最低賃金審議会で、しっかりと議論を行う。」とされており、全国加重平均1,000円が現実的となってきた。しかし、現在の新潟県最低賃金は890円で全国平均とは71円もの差があり、また依然として都市部との格差が縮まらず、賃金水準の低さは若者の人口流失にも大きく影響している。それは人手不足が深刻化する中で、県内勤労者の人材確保をさらに厳しくする要因であり、全国との賃金格差の是正は喫緊の課題である。
ついては、貴議会において、次の事項を求める意見書を関係機関に提出されたい。
1 新潟労働局及び新潟地方最低賃金審議会への要請事項
⑴ 令和5年度の新潟地方最低賃金の改正について、従来から深刻化している本県の人材確保、全国との格差解消を鑑み、早期に1,000円を目指した引上げを行うこと。
⑵ 特定最低賃金の改正に当たっては、特定最低賃金の目的である労働条件の向上、事業の公正競争を確保する観点から最低賃金より高い水準を確保する必要性を十分勘案して検討審議し、改正すること。
⑶ 県内で最低賃金を下回る賃金の労働者をなくすため、事業所に対する指導監督を強化し、最低賃金制度の履行の確保を図ること。
2 政府への要請事項
最低賃金の引上げと同時に、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響による生活困窮から抜け出せない働く全ての労働者の処遇改善と、現下における原材料の高騰、物価高などの克服のための価格転嫁円滑化など、中小企業、小規模事業者に対する実効性ある支援制度の充実と利用促進のため周知の強化を図り、安全で安心な暮らしの実現に向け対策を行うこと。