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令和6年6月定例会(第15号発議案)
令和6年6月定例会で上程された発議案
最低賃金の引上げを求める意見書
第15号発議案
最低賃金の引上げを求める意見書
上記議案を別紙のとおり提出します。
令和6年7月16日
提出者 産業経済委員長 与口 善之
新潟県議会議長 楡井 辰雄 様
最低賃金の引上げを求める意見書
日本労働組合総連合会加盟組合の令和6年春闘では5%台の賃上げとなったが、厚生労働省が7月8日に公表した毎月勤労統計調査の令和6年5月分結果速報によると、物価変動を考慮した1人当たりの実質賃金は26か月連続のマイナスであり、依然、物価高騰に賃金上昇が追い付かない状況が続いている。
政府は、「デフレ完全脱却のための総合経済対策」(令和5年11月2日閣議決定)において「最低賃金額については、今年度全国加重平均1,004円となり、目標としていた1,000円(「経済財政運営と改革の基本方針2023」(令和5年6月16日閣議決定))を超えたが、さらに着実に引上げを行っていく必要がある」「最低賃金審議会で毎年の最低賃金額についてしっかりと議論を行い、その積み重ねによって2030年代半ばまでに全国加重平均が1,500円となることを目指す」としているが、本県の令和5年度地域別最低賃金は931円で全国平均とは73円もの差があり、その差は令和4年度からさらに広がっている。これは、結果として若者の人口流出にも大きく影響し、人手不足が深刻化する中で、県内勤労者の人材確保をさらに厳しくする要因であり、全国との賃金格差の是正は喫緊の課題である。
また、最低賃金近傍で働く者の厳しい生活実態を直視し、生活水準の維持・向上の観点からも消費者物価上昇率を考慮した賃金の引上げが必要となる。
今こそ「労働条件の改善を図り、もって、労働者の生活の安定、労働力の質的向上及び事業の公正な競争の確保に資するとともに、国民経済の健全な発展に寄与する」との最低賃金法第1条の目的を果たさなければならない。
よって国会並びに政府におかれては、全ての労働者の処遇改善と、中小企業に対する更なる支援制度の充実と利用促進に向けた周知の強化を図り、安全で安心な暮らしの実現のための下記事項を実施するよう強く要望する。
記
1 新潟労働局における令和6年度の地域別最低賃金の改定について、最低賃金の地域間格差が都市部への人口流出の一因になっていることから、可能な限り速やかに1,000円へ引上げ、格差是正を図ること。
2 特定(産業別)最低賃金の改定に当たっては、新潟地方最低賃金審議会による審議において、当該産業労使の意見を十分踏まえるとともに、地域別最低賃金より高い水準を確保する必要性が勘案されるよう配慮すること。
3 地域別最低賃金及び特定(産業別)最低賃金の改定後は、改定内容を広く周知するとともに、県内企業への監督指導を強化するなど、最低賃金制度の履行の確保を図ること。
4 最低賃金の引上げに当たっては、賃上げ原資の確保が必要不可欠であることから、令和5年11月29日に内閣官房及び公正取引委員会の連名で策定された「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」を中小・小規模事業者へさらに浸透させ、適切な取引ができる環境の整備を図ること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和6年7月16日
新潟県議会議長 楡井 辰雄
衆議院議長 額賀 福志郎 様
参議院議長 尾辻󠄀 秀久 様
内閣総理大臣 岸田 文雄 様
財務大臣 鈴木 俊一 様
厚生労働大臣 武見 敬三 様
経済産業大臣 齋藤 健 様
内閣官房長官 林 芳正 様
公正取引委員会委員長 古谷 一之 様
新潟労働局長 千葉 茂雄 様