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令和8年2月定例会(提案理由)
令和8年2月定例会提出議案知事説明要旨
議案についての知事の説明を掲載しています。
2月24日 知事説明要旨
令和8年2月定例県議会の開会に当たり、私の所信の表明と提案いたしております議案の概要を申し述べ、議員各位並びに県民の皆様のご理解とご協力をお願いしたいと存じます。
はじめに、今冬の豪雪への対応についてです。
今冬の豪雪においては、除雪作業中の事故等により、24名の方が亡くなられ、240名近くの方が負傷されております。また、家屋や農業用施設が倒壊する等、県内各地で甚大な被害が生じています。亡くなられた方々の御冥福をお祈りするとともに、被害に遭われた皆様に心からお見舞い申し上げます。
県では、降雪による被害に対して万全の対応を期すため、豪雪災害対策本部を設置するとともに、多数の家屋被害が生じるおそれのある県内4市に災害救助法を適用し、要援護世帯の除雪等について支援を行いました。
また、緊急に屋根雪除雪を行うことにより家屋倒壊を防ぐとともに、地域生活への影響を最小限に留めるため、民間事業者による対応が困難な地区においては自衛隊に災害派遣を要請したところです。
さらに、冬季の道路交通を確保するため、国・市町村・NEXCO東日本などの関係機関と連携し、道路利用者への情報提供や出控え要請など、車両滞留等による交通障害発生の防止に取り組んでまいりました。
また、こうした状況を踏まえ、今月20日に政府与党並びに関係省庁に対し、本県及び全国積雪寒冷地帯振興協議会として、積雪地域で雪による死傷事故が多発し、県民の暮らしや社会経済活動に重大な影響が生じている実態を訴え、道路除雪費や除雪体制整備等への支援について、緊急要望を行ったところです。
次に、ミラノ・コルティナオリンピックについてです。
昨日まで開催されていた今大会において、妙高市の専門学校に在籍する山田琉聖選手と新潟市出身の中井亜美選手が銅メダルを獲得しました。
お二人をはじめとする本県に関係する選手が活躍する姿は、私たち県民に元気と感動を与えてくれました。
県といたしましては、今後もオリンピック・パラリンピックなどの世界で活躍する選手を輩出できるよう、アスリートの活動を支援してまいります。
次に、県内経済の動向と物価高対策についてです。
本県経済は持ち直しの動きが続いているものの、原材料価格の上昇などから、令和7年平均の国内企業物価指数及び新潟市消費者物価指数は、ともに前年を3.2%上回っており、県内企業や消費者に対する物価高の影響は長期化しております。
こうした状況を踏まえ、物価上昇を上回る持続的な賃上げの実現に向けた社会全体の機運を高めていくため、今月19日に、「新潟政労使会議」において、適切な価格転嫁の促進や付加価値向上による収益力強化、働き方改革による労働環境の改善などについて、相互に協力し、推進することを目的とした共同宣言を発出したところです。
また、県といたしましては、国の重点支援地方交付金等を活用し、県民生活の安定と地域経済の持続的発展に向けて取り組んでまいります。
物価高の影響を受ける事業者への支援として、特別高圧電力やLPガスを利用する中小企業等の負担軽減を図るとともに、中小企業や社会福祉法人、医療法人、学校法人、農林水産業者等が実施する省エネルギー設備の導入や原材料費の負担軽減等への支援に加え、交通事業者等に対して、地域公共交通の維持・確保に向けた取組を支援してまいります。
物価高の影響を受ける生活者への支援として、県民を対象とした宿泊料金や飲食店利用の割引支援を実施し、県内の観光及び飲食店の需要喚起を図るとともに、灯油購入費やLPガス料金、給食費の増嵩に伴う負担に対し支援してまいります。
こうした足元の物価高への対応に加え、「強い新潟」に向けた成長基盤を構築し、市場環境の変化にも対応できるよう、県内企業等の成長を後押ししてまいります。
具体的には、厳しい経営環境にある中小企業や病院に対し、経営課題解決に向けた支援を行うとともに、事業者等が行う消費喚起や輸出拡大に向けた取組を支援してまいります。
加えて、収益構造を転換し、持続的な賃上げや生産性の向上につなげるため、中小企業の高付加価値化に向けた設備投資や商品・サービス開発、DX等の取組を支援するとともに、地場産業や酒蔵の販路開拓やブランド力強化に向けた新たな取組を支援してまいります。
以下、本県の主要課題について、順次述べさせていただきます。
第一点目は、若者・女性に選ばれ、子育てに優しい新潟の実現についてです。
民間シンクタンクが厚生労働省の統計データをもとに推計した昨年1年間の日本人の出生数は、全国で66万5千人と、前年より約2万人減少して過去最少を更新する見通しとなり、少子化に歯止めがかからない状況が続いています。
県といたしましては、子育てに優しい社会の実現に向け、「妊娠・出産から子育てまでの節目における経済的負担の軽減」「結婚を希望する方への支援」「こどもを生み育てやすい環境の整備」を三つの柱として、市町村や民間団体とも連携しながら、取組を強化してまいります。
まず、経済的負担の軽減につきましては、「新潟県こむすび定期」事業に引き続き取り組むとともに、小学校における学校給食費の負担軽減に向け、市町村を支援するほか、県立特別支援学校小学部の給食費を無償化します。
また、「にいがた安心こむすび住宅推進事業」について、より子育てに適した住宅の整備が促進されるよう基準を追加し、補助上限額を引き上げるほか、購入者のニーズを反映した設計・工事が可能となるよう、新たにリノベーションプラン付き販売を実施するなど、子育て世帯の住宅支援を強化してまいります。
結婚を希望する方への支援につきましては、「ハートマッチにいがた」の若年層の会費を無料化するなど、若者の出会いの機会の拡大に取り組んでまいります。
こどもを生み育てやすい環境の整備については、今年度創設した放課後児童クラブ等支援交付金を拡充し、学校施設等を活用して小学生が誰でも利用できる放課後の遊びや学びの場の充実に向け、市町村の先進的な取組への支援を強化してまいります。
また、安心して妊娠・出産ができるよう、陣痛時に妊婦を搬送する「こむすび出産応援タクシー」の普及促進を図るとともに、緊急時の円滑な救急搬送に向けた「妊婦情報事前登録制度」の導入市町村の拡大を図るほか、出産における通院・入院や妊産婦健診等に係る交通費・宿泊費に対する支援を拡充してまいります。
さらに、新潟大学医歯学総合病院が整備を進める小児専門医療施設における小児がんと小児集中治療の体制強化を支援するとともに、新たに遠方の医療機関等への通院・入院が必要な小児難病患者等の世帯に対し交通費を支援してまいります。
加えて、病児・病後児保育施設の利便性向上に向け、広域連携の推進やオンラインで予約や空き状況の確認ができるシステムの導入促進を図るなど、医療面においても、子育てしやすい環境の整備を進めてまいります。
本県では、20代前半の若者、特に女性の県外流出が続く中、若者や女性から選ばれる環境づくりが重要です。
県として初めて実施した、本県出身の若年層を対象とした意識調査では、首都圏等への転出の背景として、職場や地域などにおける固定的な性別役割分担意識や、就職先としての職場環境などが影響していることが明らかとなりました。
そのため、性別に関わらず誰もが活躍できるよう、県民全体の気運醸成に取り組むとともに、新たに、地域住民や地元企業等におけるジェンダーギャップ解消に取り組む市町村を支援する交付金を創設し、地域の実情に応じた自主的な取組を促進してまいります。
また、県内企業が若者や女性から働く場として選ばれるよう、新たに、「えるぼし認定」に必要な「一般事業主行動計画」の策定支援や、「くるみん認定」の取得支援に向けたアドバイザー派遣を行うとともに、従業員の奨学金返還を支援する中小企業等に対し補助するなど、県内企業の魅力ある職場づくりを一層促進してまいります。
第二点目は、持続可能で暮らしやすい地域社会の構築についてです。
まず、県民の安全・安心の確保についてでありますが、近年の気候変動の影響などにより、本県をはじめ全国的に自然災害が激甚化・頻発化しており、また、インフラ施設の老朽化が著しく、今後一斉に更新時期を迎えることから、これまで以上に効率的・効果的な事業の進捗を図る必要があります。
県といたしましては、県民の命と暮らしを守るため、国の「第1次国土強靱化実施中期計画」などによる有利な財源を最大限活用し、事前の防災・減災対策を推進するとともに、インフラ施設の老朽化対策にもしっかりと取り組んでまいります。
昨年、県内でのツキノワグマの出没件数が過去最多を記録し、人身被害も多く発生しました。こうした深刻な状況を受け、新たに、冬眠明けのクマを捕獲する春期の捕獲事業を広域的に実施し、被害の未然防止を図ってまいります。
また、出没防止を目的とした河川敷の藪の刈り払いを拡充するとともに、ガバメントハンター等の雇用に取り組む市町村の支援も併せて実施し、人とクマのすみ分けに向けた総合的なクマ被害対策を進めてまいります。
県ではこれまで、新潟水俣病患者の方々が安心して暮らすことができるよう、保健福祉施策の充実や、地域社会の再生と融和を図るための取組などを行ってまいりました。
しかしながら、依然として阿賀野川の魚介類を多食したことに伴う健康不安を抱える方々がいらっしゃることを踏まえ、そうした方々の健康への不安軽減を後押しするための新たな手当を創設することといたしました。
引き続き、新潟水俣病の被害者を社会全体で支えるという新潟水俣病地域福祉推進条例の理念に則り、被害者の福祉の更なる増進を図り、被害者に寄り添った対応を行ってまいります。
次に、地域医療の確保についてです。
持続的な医療提供を支えるためには、その基盤となる医療人材の確保が不可欠です。
このため、臨床研修医の確保に一層取り組むとともに、新たに、専門研修施設の情報発信等に対する支援や、県内の専門研修プログラムを選択した研修医への支援金の支給を実施し、専攻医の県内定着を促進してまいります。
また、人口減少に伴う医療ニーズの変化に合わせた医療再編をさらに進めていくことが必要です。
上越地域においては、持続可能な医療提供体制の構築に向けて、医療だけでなく、介護も含めた再編の検討を進めているところです。
新たな中核病院の目指す姿を含め、昨年来進めてきた関係者間での調整を急ぎ、今年度末までに再編の全体像を示してまいりたいと考えております。
広い県土で離島や中山間地が多く、医師などの医療資源も限られる本県において、今後、高齢者の増加による脳・心臓疾患の増加が見込まれる中、早期の医療介入による重症患者の手厚い管理体制を確保していくことが必要です。
このため、新潟大学医歯学総合病院と地域の基幹病院をICTシステムでつなぎ、重症患者管理の支援を遠隔で受けられる仕組みづくりを進めることとしており、新たに、佐渡総合病院でモデル事業を実施してまいります。
県立病院については、厳しい経営状況が続く中、昨年度から集中的に取り組んできた経営改革の効果や国の補正予算による補助、職員給与の引上げ時期の先送りなどにより、現時点で、昨年度と比べ30億円程度の収支改善が見込まれており、今年度末の内部留保資金の枯渇は回避できる見通しとなっております。
しかしながら、令和8年度においては、6月に実施される診療報酬改定のプラスの効果を踏まえても、年度末の内部留保資金の枯渇は避けられない見通しであり、新年度予算案では不足する財源を資金手当債で対応する措置を講じたところです。
引き続き、地域の医療需要などにもしっかりと対応しながら、県立病院の経営を持続可能なものとするため、各病院の機能・規模の適正化や収支改善など、経営改革をより一層推進してまいります。
次に、持続可能な地域の移動手段の確保についてです。
本県の地域公共交通は、人口減少や運転手不足などを背景に、路線バスの減便・廃止やタクシー事業者数の減少が進む中、地域における移動手段の確保が喫緊の課題となっています。
こうした地域の実情に応じた移動手段を安定的に維持・確保できるよう、市町村や関係事業者等と連携し、ライドシェアやデマンド交通導入の支援をはじめ、地域の交通資源を最大限活用した取組を進めてまいります。
また、自動運転の早期の実装を目指し、自動運転レベル4の運行に向けた実証等に取り組む市町村を支援してまいります。
米坂線の復旧につきましては、山形県、関係市町村及びJR東日本とともに、利便性の向上やJRの関わりなどの観点を踏まえ、地域においてどのような公共交通が望ましいのか、地域の意向をしっかりと受け止めながら検討しているところであり、できるだけ速やかに復旧への道筋が得られるよう、さらにスピード感を持って取組を進めてまいります。
次に、将来の夢や希望を育みかなえる教育の推進についてです。
県教育委員会では、「県立高校の将来構想」に基づき、特色ある学校づくりに取り組んでいるところです。その一環として、全国の公立高校では初となる、ケンブリッジ国際教育プログラムを導入した高校を令和9年度に新設予定であり、その開校準備を進めてまいります。
併せて、高校に隣接する県立寮を、生徒と近隣の国際大学の留学生や地域住民等が交流できる、多文化共生・地域交流の拠点としても整備するなど、特色あるプログラムをさらに生かすことができる教育環境の充実を図り、県外の生徒にも選ばれる魅力ある学校づくりを進めてまいります。
本県における不登校の子どもは、全国と同様に、増加傾向にあり、喫緊の課題と認識しております。引き続き、不登校未然防止対策に取り組むとともに、対策の拠点となる校内教育支援センターの設置拡充など、不登校の子ども個々の状況に応じた多様な支援の充実に努めてまいります。
また、部活動の地域展開について、本県はこれまでも先駆的に取り組んでまいりましたが、国が「改革実行期間」初年度と位置付ける来年度においては、地域・学校・企業・大学など多様な主体との連携を強化しながら、持続可能で安定的な地域クラブ活動体制の整備に、引き続き取り組んでまいります。
次に、地域を支える人材の育成・確保についてです。
県内企業の人手不足が深刻化する中、地域経済の維持・発展に向け、人材の育成・確保は喫緊の課題です。
こうした中、県内で働く外国人材は年々増加しており、今後もその流れは続くものと見込まれます。県では、外国人材を必要とする企業に対し、受入れ検討から定着まで、各段階に応じた支援に取り組んできたところですが、新年度においては新たに、業界団体と連携し、活用が進んでいない業界におけるモデル事例の創出を支援するとともに、地域の国際関係団体等が行う、外国人の受入環境づくりへの支援を強化してまいります。
本県への観光客の満足度を高め、何度も訪れてもらうためには、旅行者のニーズを的確にとらえ、地域の魅力を伝えられる人材が欠かせません。
このため、市町村や民間団体と連携し、地域で活躍するガイドの質の向上と担い手の育成に取り組むとともに、アウトドアガイドの育成に向けた検討を進めてまいります。
建設産業においては、就業者の高齢化や労働力不足が進む中、人材の確保・育成と生産性の向上を図っていくことが重要です。
このため、第五次・新潟県建設産業活性化プランを策定し、多様な人材の確保・育成に向けた取組を促進するとともに、ICT建機等の導入や操作技術の習得、複数の事業者が共同して行う生産性向上に資する取組を支援してまいります。
次に、デジタル改革の実行についてです。
県と市町村におけるリアルタイムでの情報共有など、避難所運営の効率化や避難者への支援の向上に向け、準備を進めてきた避難者支援システムについて、本年4月以降、準備が整った市町村から順次運用を開始いたします。
システムの円滑な運用に向け、防災訓練での活用や市町村職員向けの研修を実施するとともに、「避難所アプリ」の普及・利用促進に取り組んでまいります。
教育分野では、「県立高校の将来構想」に基づき、本年4月に「遠隔教育配信センター」を開設し、これまでの学校間連携型の遠隔教育に加え、県全体の教育環境を支える拠点型の遠隔教育体制を構築してまいります。
また、デジタル人材の不足により、DX推進において課題を抱えている市町村に対し、新たに県で確保するデジタル専門人材を派遣し、伴走支援を行うなど、市町村におけるDX推進を図るための取組を強化してまいります。
第三点目は、人や企業、投資を呼び込む成長戦略の展開についてです。
まず、高い付加価値を創出する産業構造への転換についてですが、現在、本県においては、妙高地域における大規模リゾート開発や、村上市・胎内市沖洋上風力発電事業など、民間事業者による大型プロジェクトが着実に進んでおり、本県経済を成長・発展させ、地域を活性化していくためには、こうした投資や人材を県内に呼び込んでいくことが必要です。
まず、妙高エリアリゾート開発においては、事業計画の実現を官民協働で後押しし、圏域の経済活性化や地域の持続的な発展につなげていくことが重要です。
このため、県といたしましては、エリア内のホテル等を訪れる国内外からの多くの宿泊者等を県内観光地等へ誘致するため、MaaSチケットやデジタルマップの作成を支援するなど、周遊観光型コンテンツの造成や二次交通の利便性向上などに向け取り組んでまいります。
また、世界水準のラグジュアリーホテルで供される食事や備品等への県産品活用を積極的に提案し、世界的な情報発信力を活かした新潟産品のブランド力向上・高付加価値化にもつなげてまいります。
本県は、豊富な水資源を活用した水力発電が立地しているほか、民間企業において、村上市・胎内市沖洋上風力発電やバイオマス発電など、再生可能エネルギーの導入に向けた取組が進められております。
また、水素等を製造から利用まで一貫して行う、国内初となる実証プラントの開所をはじめ、火力発電所での水素混焼試験や発電所等での脱炭素化に資するCCSなどの取組も拡大しているところです。
こうした中、国は、地域に偏在する脱炭素電源を核に、新たな産業クラスターの創出を目指す「GX戦略地域制度」を創設し、県では、先般、関係市とともに地域選定の公募申請を行いました。
県といたしましては、豊富な脱炭素電源を有し、先進的GXの取組が進む本県への関連企業の誘致に向けて、体制を強化し、首都圏経済団体とも連携を図りながら、GX関連産業クラスターの形成を促進してまいります。
次に、付加価値の高い持続可能な農林水産業の実現についてです。
気候変動による異常気象が常態化し、担い手の減少・高齢化が進む中で、食料安全保障の確保を図っていくためには、持続可能な水田農業を実現できる水田政策の構築が必要です。
このため、国が令和9年度から根本的に見直すとしている水田政策について、先月、「担い手が主食用米と非主食用米等を合わせた水田農業経営全体で所得を確保できる仕組みの構築」や「万全なセーフティネットの構築」を、国へ要望したところです。
また、県においても担い手への農地の集約化と、非主食用米、酒米やもち米(まい)といった多用途利用米の団地形成に向けた支援を集中的かつ強力に進め、効率的かつ安定的な農業経営を行う経営体が農業生産の大宗を占める力強い農業構造の確立を図ってまいります。
園芸については、新たな新潟県園芸振興基本戦略の実現に向け、本県の園芸を牽引する販売額1億円を超える経営体の育成を図るとともに、効率的に園芸生産に取り組める環境整備など産地の構造改革を進め、高温等の気候変動対応や担い手の確保・育成など、構造対策と生産対策の取組を一体的に推進する施策を講じることで、競争力と魅力のある産地の創出を図ってまいります。
加えて、気候変動リスクの高まりや市場動向等の環境変化に対応し、本県の農林水産業及び食品産業等の更なる強みの創出に向け試験研究の強化を図るため、先般、「新潟県農林水産業試験研究強化プラン」を新たに策定したところです。
現在取り組んでいる水稲の高温耐性品種のラインナップ化などの研究に加え、本プランに基づき、フードテックの技術開発をはじめ、成長性や強度に優れる無花粉スギの育成、錦鯉の新品種開発など、本県農林水産業の飛躍につながる試験研究を戦略的に進めてまいります。
次に、国際拠点化と戦略的な海外展開・交流促進についてです。
令和7年の本県外国人延べ宿泊者数は、直近の11月末時点で約72.6万人泊となり、過去最高となった昨年の52.8万人泊を大幅に上回っております。
しかしながら、本県における外国人宿泊客は冬季に偏重しており、1年を通じた来県を促進するためには今後の伸びが期待されるグリーン期における誘客強化を図ることが課題です。
このため、新たに、棚田での収穫体験をはじめとした、本県の強みである農業等の魅力をコンテンツとして充実させ、商品化や海外販路の開拓に取り組むとともに、農業者等と連携し、インバウンド受入への機運醸成と受入体制の強化に向けた取組を進めてまいります。
昨年7月、アニメで「選ばれる新潟」の実現に向け、産学官金による新潟アニメ推進協議会を設置したところであり、目指す未来像と取組の方向性を示す「ビジョン」を今年度中に策定することとしております。
また、現在開催中の新潟国際アニメーション映画祭と連携したシンポジウムを開催し、機運醸成を図っているほか、大規模イベントを活用し、本県アニメ文化の魅力の情報発信を強化してまいります。
加えて、本県の誇る文化財の魅力をさらに向上させるため、新たに、文化財を核とした地域づくりの取組を支援するとともに、プロ野球公式戦の県内での観戦機会を確保することなどにより、文化やスポーツを通じた地域の活力の向上や交流人口の拡大を図ってまいります。
若者や女性の関心が高いエンターテイメントを活用しながら、賑わいや交流の場を創出し、本県の魅力を広く県内外にアピールし、本県のイメージアップを図ることも重要です。
このため、音楽フェスをはじめとした、若者にとって魅力的なイベントが県内各地で展開されるよう、官民連携による実施に向けた検討や機運醸成を行いながら、県として必要な支援を行ってまいります。
また、国内有数の大規模ファッションイベントと連携し、着物やニットをはじめとした本県産業や観光・文化・食等の多様な魅力を効果的に発信していくことで、更なる交流人口の拡大を図るとともに、若者・女性の県内定着の促進につなげてまいります。
昨年4月から12月までの新潟空港の利用者については前年同期比で増加しているものの、国際線の一部の路線では運休が生じております。こうした中、新潟・ソウル線については、3月29日から機材が大型化されるとともに、6月1日からは増便され、毎日運航となることが決定しました。
ソウル線は、本県と韓国との往来はもとより、仁川空港をハブに世界とつながる路線として、多くの方からの利用が期待される路線です。
県といたしましても、この増便を契機としたキャンペーンを実施するなど、インバウンド・アウトバウンド双方の更なる利用拡大を図り、路線の安定化につなげてまいります。
併せて、新規路線の誘致を目指したチャーター便の運航支援や、パスポート取得支援の対象者拡大、空港ビル内での本県の魅力である食等の体験を通じた利用促進の実証事業など、新潟空港の拠点性向上に向けた路線ネットワークの充実や、空港利用者の満足度向上につながる取組を進めてまいります。
本県経済の活性化、国際拠点としての競争力強化を図るためには、海外との人的・経済的交流を一層拡大していくことが重要であり、これを担うグローバル人材を育成する必要があります。
このため、県内高校生に対し、多様な価値観を理解する力や、国際的な視野、円滑なコミュニケーション力等を身に付けることができるよう、海外研修への支援を通じて国際交流の機会を提供してまいります。
また、義務教育段階の児童生徒については、現地の生活や、人々との交流を体験できる機会を創出できるよう、海外交流事業を実施する市町村を支援してまいります。
次に、脱炭素社会への転換についてです。
本県のような豪雪地帯では、軽量かつ柔軟で窓や壁にも取り付け可能な次世代型太陽電池の活用が期待されており、現在、開発メーカー等が行う積雪地での実証事業を支援しているところです。
今後、成長が期待される太陽電池関連産業に、県内企業が早期に参入していけるよう、県内企業が行う用途開発、施工提案等の取組を支援し、本県における社会実装モデルを構築することにより、次世代型太陽電池の県内での早期導入を促進してまいります。
また、脱炭素社会の実現に向け、水力発電は重要な役割を担う電源であり、その一層の活用が求められています。
このため、ダムに貯留される降雨や融雪由来の水をより効率的に発電へ活用できるよう、現行の「ダムAI流入量予測システム」を拡充し、ダム水位運用の高度化を図り、水力発電の発電量の増加につなげてまいります。
第四点目は、柏崎刈羽原子力発電所の再稼働への対応についてです。
昨年12月23日、経済産業大臣等と面談し、県が対応を求めた7項目に対して、国として責任を持って着実に対応し、取組状況を定期的に共有していくことを回答いただいたことから、柏崎刈羽原子力発電所再稼働の政府方針への理解要請に了解し、その旨を高市総理大臣にも直接お伝えしました。
また、東京電力には、政府方針に了解したことを伝えるとともに、多くの県民が不安に感じていることを踏まえ、県民への分かりやすく丁寧な説明や、発電所の安全性向上、地域との共生等について、適切に対応するよう求めたところです。
先月21日には、6号機が再稼働しました。国は、監視強化チームにおいて、発電所の運営の監視に万全を期すとしており、県としても、発電所の監視を強化するため、放射線モニタリングの測定箇所を増やすとともに、起動工程の節目において、技術委員会の委員等の専門家も加えた監視チームで現場を確認し、その結果を公表しております。
東京電力は問題が生じた際、一旦立ち止まり、原因を徹底的に調査し、安全第一に取り組んでおりますが、引き続き、安全最優先に慎重に作業を進めるとともに、その状況を丁寧に県民にお知らせしていただきたいと考えております。
6方向への避難路の整備等については、避難計画の一層の実効性向上のため、集中的かつ迅速に進めており、その内容や進捗状況をホームページによりお知らせしております。また、UPZ内の自治体からの整備要望については、国と県の協議の枠組みにおいて精査するため、現在、必要な調査を行っているところです。
併せて、消融雪施設の整備や除雪機械の増強などの除排雪体制の強化や、自宅以外でも屋内退避できるよう、PAZ及びUPZ内の体育館の気密化や空調等の整備を進めてまいります。
加えて、柏崎刈羽原子力発電所の安全対策や防災対策の状況等について、県民の理解が十分に進んでいないことから、分かりやすいリーフレットを作成し、全県を対象に各戸配布するとともに、広く関心を持っていただけるよう、ウェブを活用した広報・周知を行ってまいります。
また、東京電力から概ね10年にわたり1,000億円程度を拠出すると表明のあった資金については、同社の意向を踏まえ「安全・防災対策の実施」、「地域・産業の振興」、「原子力災害対策重点区域の拡大に伴い必要となる取組への支援」を基本として活用してまいりたいと考えております。活用に当たっては、執行の透明性の確保と効果的な運用を図るため、新たに基金を設置するとともに、新年度においては基金に100億円を積み立て、これを活用して、先ほどご説明した除排雪体制の強化や屋内退避施設の環境整備を進めるため、関連する条例案及び予算案を本定例会にお諮りいたしました。
引き続き東京電力と協議を進めるとともに、県議会でのご議論、市町村のご意見等を踏まえ、資金の活用を検討してまいります。
第五点目は、北朝鮮による拉致問題についてです。
拉致被害者やそのご家族の高齢化が進む中、いまだ拉致問題の解決に向けた具体的な進展が見られず、もはや一刻の猶予も許されません。
日本国民を救出することができるのは日本国政府しかありません。政府には、米国をはじめ国際社会と一層緊密に連携し、北朝鮮への働きかけを強めながら、日朝首脳会談を早期に実現し、全ての拉致被害者の一日も早い帰国に結びつけていただきたいと思います。
今月20日には、知事の会として、木原官房長官兼拉致問題担当大臣にお会いし、特定失踪者を含む全ての拉致被害者の救出に向けて、全力で外交交渉を進め、早期に目に見える成果を出していただくよう、改めて強く求めてまいりました。
県といたしましては、今後も、国へ働きかけるとともに、「新潟県拉致問題等の啓発の推進に関する条例」を踏まえ、市町村や教育機関等と連携し啓発を推進することとしており、新年度は若者の意見を取り入れた広報に新たに取り組み、若年層への啓発活動を強化しながら、拉致問題の早期解決に向けた気運の醸成を図ってまいります。
この項の最後に、行財政運営についてご説明申し上げます。
先般お示しした中期財政収支見通しでは、令和8年度当初予算案を基に、国の地方財政対策や経済見通しなどを踏まえ再算定した結果、財政調整基金を230億円確保するとともに、令和13年度の公債費の実負担のピークに対応できる見通しとなっています。
しかしながら、今後の経済情勢や国の動向などによっては収支の大きな変動も想定されることから、引き続き堅実に収支を見通しながら、持続可能な財政運営の実現に向けて取り組んでまいります。
以上、主要課題について順次申し上げましたが、それらも反映した令和8年度一般会計予算案は、1兆1,697億5,000万円と、令和7年度予算に比べ、総額で7.4% の減となったところです。
次に、今議会に令和8年度当初予算案と併せて上程されました令和7年度補正予算案に関する議案等についてご説明申し上げます。
第34号議案は一般会計補正予算案でありまして、総額870億9,089万3千円の追加補正についてお諮りいたしました。
今回の補正は、国の補正予算に対応し、必要性・緊急性の高い事業や、投資事業等について令和8年度当初予算案と一体で計上するものです。
また、この補正予算に係る公共事業等について、繰越明許費を計上したほか、令和8年度に係る起工準備期間の確保等を図るため、いわゆるゼロ国債を9億4,800万円計上しております。
以上、補正予算案についてご説明申し上げましたが、その結果、補正後の令和7年度予算の規模は、1兆3,759億569万9千円となります。
次に、お諮りしております条例案件等のうち主なものについて、ご説明申し上げます。
第25号議案は、警察活動の強化を図るため、警察官定員を増員するため、第26号議案は、特別職報酬等審議会の答申等に基づき、特別職の報酬等の額を改定するため、第28号議案は、県立久比岐高等学校及び県立吉田特別支援学校を閉校し、県立県央特別支援学校を設置するため、それぞれ、所要の改正を行うものであります。
また、第32号議案は、あっせんの申立てについて、第33号議案は、包括外部監査契約の締結について、お諮りするものです。
以上、新年度における所信の一端と施策・議案の概要などについて申し述べました。何とぞ慎重にご審議のうえ、上程された各議案それぞれについて、ご賛同を賜りますよう、お願い申し上げます。
最後にこの場をお借りして、2期目の振り返りと今後の対応について申し上げます。
令和4年に県民の皆様から再任のご信任をいただき、引き続き知事を務めることとなってから、まもなく3年9か月を迎えます。
この間、「住んでよし、訪れてよしの新潟県」の実現を目指し、県政を進めてまいりました。
そうした中で、危機的な財政状況に対応するため、前任期から取り組んできた行財政改革については、聖域なき歳出・歳入の見直しを着実に進め、「行財政改革行動計画」で目標とした財源対策的基金230億円の確保と収支均衡を達成するとともに、令和13年度の公債費の実負担のピークに対応できる見込みとなっています。
長年の県政課題でありました柏崎刈羽原子力発電所の再稼働問題については、時間をかけて検証・確認を行い、できるだけ多くの県民の皆様の声を伺うなど、丁寧かつ慎重にプロセスを踏みながら取り組んでまいりました。今後も県民の安全・安心を最優先に、原子力防災の取組の充実に継続して取り組んでいく必要がありますが、一つの区切りを迎えることができました。
また、令和6年7月には、国や佐渡市と連携して取り組んできた、県民の悲願である「佐渡島(さど)の金山」の世界遺産登録が決定し、「世界の宝」として認められました。
このほか、様々な課題に対し真摯に、そして全力で取り組んでまいりましたが、進捗を確かな成果へと結びつけるためには、もう一段の取組が求められるものもあります。
県の最重要課題である人口減少問題については、県政のあらゆる分野を総動員し取組を進めてまいりましたが、昨年策定した人口ビジョンでお示ししたとおり、本県の総人口は、今後も不可避的に減少が見込まれています。
昨年9月に「人口減少問題対策推進県民会議」を設置いたしましたが、人口定常化を目指し、成長力のある持続可能な社会を構築するためには、オール新潟で取組を進めていかなければなりません。
また、昨年策定した総合計画では、本県の持続的な成長と発展に向けて、中長期的な視点から、分野横断的な対応が必要となる6つの重要課題をお示ししました。
新潟県が、将来にわたり安全に安心して暮らすことができる地となり、さらに、人や企業、投資を呼び込み、成長していくためには、「子育てに優しい社会の実現」など6つの重要課題に対して、スピード感を持って取り組んでいく必要があります。
そして、これらの課題と向き合う中で、暮らしやすく、活力のある新潟をどのように創っていくのか繰り返し考え、私自身の役割についても熟慮してまいりました。
お諮りしている令和8年度当初予算案は、「住んでよし、訪れてよしの新潟県」の実現に向け、成長の基盤を築き、歩みを進める予算として編成したものであります。この予算案に盛り込んだ政策をしっかりと育て、発展させることは、私自身の責務ではないか、そして私自身にその役割を担わせていただきたいとの考えに至り、5月に予定されております知事選挙において、3期目を目指すことといたしました。
就任以来、県民最優先の基本姿勢の下、できるだけ各地域に出向き、対話を通じて課題を拾い出してまいりました。それぞれの課題に対し、先送りせず、正面から向き合い、少しでも前進できるよう努めてまいりました。今後も、こうした姿勢で一つ一つ成果を積み上げ、多くの人々や企業から選ばれる、「住んでよし、訪れてよし」の新潟県の実現に向け、さらに邁進してまいりたいと存じます。
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