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見附市を流れる刈谷田川(かりやたがわ)の支流 稚児清水川(ちごしみずがわ)には「太田堰(おおだせき)」という、見附市と長岡市の農地約450haに用水を供給する「大江用水路(おおえようすいろ)」の取水施設があります。
この施設は川の中に、高さ約1m40cmのコンクリート固定堰(こていぜき)と、その上に取水期に膨らませて水をせき止める高さ約1m70cmのラバー(ゴム製)ゲートをもつ構造となっています。
ラバーゲートを膨らませて川をせき止め、農業用水を取水している太田堰 | |
・取水期はラバーゲートを膨らませて水をせき止め、大江用水路に水を取り込んでいます。 ・取水しない時期はラバーゲートが畳まれますが、コンクリート固定堰の段差は常にあります。 |
さて、稚児清水川近隣にある見附市立上北谷(かみきただに)小学校では、授業の一環として毎年サケの稚魚放流を行っています。ところが、太田堰の段差が障害となり、戻ってきたサケが産卵に適した上流側に遡上できない状況となっていました。この問題に対し、上北谷小学校や地元コミュニティーなどから魚道整備に関する要望書が提出され、事業化に向けた調査が始まりました。
その結果、太田堰に適した魚道工法として、環境配慮の観点や、様々な生物の移動経路となりうる多様な流れが生み出される点で優れている「石組み魚道」を選定しました。そして、この分野で著名な日本大学理工学部土木工学科の安田陽一教授にご指導を仰ぎ、調査・設計を進めてきました。
令和5年12月11日、魚道整備工事に先立ち、工事に関する理解を深めてもらうことを目的として、安田教授とともに出前授業を行いました。授業には、見附市立上北谷小学校の3~6年生17名のほか、同じく刈谷田川支流の本明川(ほんみょうがわ)でサケの稚魚放流を行っている見附第二小学校の児童3・4年生11名が参加しました。
当部職員からは
(1)なぜ太田堰に魚道が必要なのか?……コンクリート固定堰がサケの遡上を妨げているため。
(2)太田堰はなぜあるのか?……大江用水路に農業用水を取り入れるため。
(3)大江用水路とは何か……江戸時代の人々が田んぼの水を求めて苦労の末整備したもの。
について説明し、
安田教授からは「川の中の石組みについて」と題し、
(1)川の中に石を積むとどのような変化が起きるのか。
(2)魚にとって好ましい水の流れの創造方法。
(3)過去の石組みの施工事例等。
について、動画を用いて分かりやすくご説明いただきました。
児童からは、「段差があるとうまく魚が通れないから魚道があるんだとわかりました」など、多くの感想をいただきました。
今回の授業が児童たちの学びにつながれば幸いです。
出前授業の後、12月15日にかけて、安田教授のご指導のもと魚道整備工事を行いました。
稚児清水川を半分に
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安田教授が石の大き |
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工事前 | 工事後 |
工事前後の写真です。 工事前の水の流れは太田堰の約1m40cmの段差を川幅全てで滝のように落ちていましたが、 石組み魚道の完成によりサケの遡上に適したものになりました。 |
魚道を正面から見た写真 |
石組み魚道の中には様々な水生生物の移動経路となりうる 適度な大きさの深みが多数あり、多様な流路が生み出されています。 |