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令和4(2022)年8月4日(木)に、気になる企業とのコラボセミナーVol.1「おてつたびに学ぶ 都会の若者が地方にお手伝いに来る理由」を、行政担当者を対象に開催しました。
人口減少で「人手が足りない」「若者がいない」など、様々な課題を抱える地方において、人手不足解消や交流人口を生み出したらよいか、行政担当者は日々悩みを抱えています。
そんな悩みを解決する救世主となるかもしれない!? 新しいサービスを提供しているスタートアップ企業「(株)おてつたび」の代表取締役CEO永岡里菜さんをお迎えして、都会の若者が地方にお手伝いに来る理由について、お話をお聞きするとともに、行政の皆様との将来のコラボのきっかけとしていただければと考え、今回のセミナーを開催しました。
株式会社おてつたび 代表取締役CEO 永岡 里菜 氏
https://otetsutabi.com/<外部リンク>
(おてつたびについて)
・私たちは、お手伝いしながら日本のいろんな地域に出向いていただき、好きでたまらない地域を作って欲しいという思いで、Web上のプラットフォームを運営しています。
・おてつたびのミッションは、誰かにとって特別な地域を創出すること。私たちが考える特別な地域とは、ついつい誰かに話したくなってしまうような、誰かを連れて何度も足を運んでしまうような、名前を見ただけでついつい買ってしまうような、災害が起きると心配でたまんなくなってしまうような、そんな地域のことを指します。最近でいうと関係人口という言葉が非常に近いと思っています。
・人手不足は大きな社会課題だと思っていますが、一方で人手不足は、人と人とが出会えるチャンスにもできると感じています。
・おてつたびの特徴は2つ。
1つ目は、地域でお手伝いしたアルバイト代で旅費をリーズナブルにできること。
2つ目は、お手伝いという共同作業を通じて、地域の方から地域の魅力を教えてもらえるということ。
・観光名所がない地域であるほど、行く目的を見出しにくい。知り合いがいないと、魅力も見えにくく、旅行目的として選択しにくいという事があります。私たちは、お手伝いという新しい目的を作ることによって、観光名所がない地域にも人が訪れる目的を作って、人が流れる仕組みづくりを目指しています。
(マッチングの仕組み)
・マッチングの仕組みはとてもシンプル。
おてつたびのホームページを検索すると、プラットフォーム(https://otetsutabi.com/<外部リンク>)が出てきます。地域の方はお願いしたいお手伝い内容を登録する。行く方は気になるお手伝いを選んで応募すると、マッチングフォームが地域の方から届き、マッチングします。マッチングが成立したら、後日迎えて、お手伝いをします。終わったら、相互レビューを行うことで、お互いが第三者からの信頼が担保されるようになっています。
・お手伝い先のレビューだけでなく、おてつたび先も参加者に対してレビューができるようになっています。お互いレビューが貯まれば貯まるほど、よりマッチングしやすくなる仕組みとなっています。
・地域の人は、なかなか地域外の人に頼むことに心理的な不安が大きいという話を創業時によくいただきました。そこで、知人や親戚でなくても、安心して受け入れられるような形を、相互レビューによって、Win-Winの形で安心して使えるような形を目指しています。
(地域人材のDX)
・もう1つ、地域を中心とした人材のDXを実現しています。
地域の事業者が募集を出していただくと、自動で労働条件通知書が生成されます。マッチングすると自動で電子で雇用契約の締結ができるようになっています。また、お手伝いの時間管理もサイト内でできるので労務管理も簡単です。
(おてつたび先と内容について)
・おてつたび先は、どこが多いかというと、やはり季節変動性が高いところとの相性が良くなっています。4割が一次産業、4割が観光業、あと2割がその他。その他は、お祭りや雪かきなど結構ユニークなものが多くなっています。新潟県だと、大地の芸術祭と連携しています。受付のお手伝いだったりします。
・一次産業は、草刈り、収穫、定植、選果といったスポットで人が欲しいという内容が多くなっています。
・旅館は、裏方の作業が多くなります。掃除、布団敷き、食器洗いなどが中心です。
お客さんと接する仲居さんは、従業員がより集中できる形をとって、参加者の皆さんは裏方を支えるという形で連携することが多いです。
・現在、おてつたび先は47都道府県に約700ヶ所に広がっています。ホームページでおてつたび先一覧(https://otetsutabi.com/businesses<外部リンク>)を開くと、受け入れ事業者が一覧で見られるので見てみてください。
・新潟県は、現在30件ぐらい登録があります。十日町市や津南町の方々が多いですが、糸魚川市や新潟市、妙高ホテル太閤さんが創業当初から使っています。
・地域の方からは、人材派遣に出しても人が集まらないけれども、おてつたびに出すと1日以内に申し込みがくる。申し込みの倍率もすごく高くなっているということをよく聞きます。おてつたびだと、素敵な方とマッチングするので助かっているという嬉しい声を聞くこともあります。
(地方自治体や教育機関との連携)
・地方自治体は向いている方向が同じなので、一緒に連携することが増えています。
千葉市では農業をもっと伝えるため、日帰りのお手伝いで農業の関係人口を増やす取組、佐賀県ではモデル地域をつくり、地域の事業者のサポートに入っています。
・教育機関との連携もあります。おてつたびに参加したら、単位が出る専門学校も出てきています。おてつたびは、私自身が大学生の時に欲しかったサービスを作っているので、大学等での講演を積極的に受けています。先々月は金沢大学、先月は青山学院大学と新潟大学でお話しさせて頂きました。
・地域への関心を持っている大学生が非常に増えているという印象があります。ただ、学生の話を聞くと、興味はあるけれども、一歩踏み出す勇気がないという話をよく聞きますので、そこはカジュアルに一歩目を踏み出して頂けるもらえる形を作って行くことが大事だと思っています。
・友達同士でおてつたびに参加する学生たちもいます。誰かと一緒に一歩踏み出す形もいいと思います。地域の方の顔が見えると、安心して参加できたり、レビューを見える化して、より参加しやすい環境を整えていきたいと思っています。
(参加者の動機)
・参加者は、20代の大学生が半分ぐらいで、30代、40代、50代の方の登録もあります。50代の方の参加が非常に増えてきています。大学生になったばかりの娘さんと一緒に参加された50代の方がいたり、お子さんが大きくなって自由に時間が使えるようになったので、ご夫婦で参加されたりされる方もいらっしゃいました。素敵だなと思います。
・おてつたびを申し込む時に、申込み理由を200文字以上必ず書かないと申込めない仕組みになっています。参加理由は、地域のことを知りたい、日本のことをもっと知りたいというコメントが多くなってきています。思いを持つ方が参加されることが多くなっています。
・現在22,000人が登録しています。コロナ禍で登録者数が3倍ぐらい伸びています。
コロナ禍で海外に行けなくなり、もっと日本のことが知りたい、日本で何か経験できないか、と国内に目を向けている方が非常に増えていると感じています。
・人生の次の選択肢を選ぶ際にお試しという形で使われている方も多いです。
最近よく聞くことが、移住先を探している人。いきなり移住するのは怖いので、おてつたびで自分に合う地域を探したいという申込み理由を書いている方が多くなっています。
また、農業に興味はあるが、就農には自信がなかったが、いろんな農家に行って、自分でもできそうだと自信が持てたので就農を決意した、という方もいます。
(おてつたびの事例紹介)
・北海道の稲取町でブロッコリーを収穫する作業。青森県の鰺ヶ沢町の旅館。鹿児島県の大崎町でふるさと納税の返礼品の加工場、などを紹介。
・地域の人にとってみると当たり前だけど、参加者が写真を撮って発信しているのを見て、逆に地域の人が魅力に気づくようになったという話をよく聞く。
(おてつたびが目指すこと)
・私たちは、誰かにとって特別な地域をつくることによって、人と思いとお金がめぐる世界をただただ作ってきたい。そこに関係することを基本的な軸としてあるサービスということを引き続き開発していきたい。
・私自身もいろんな地域に出張で行きますが、本当に日本ってすごい。素敵な地域がたくさんある。私自身は地域に惚れてしまって、自分の人生を地域に使いたいと思って、5年前に覚悟を決めてやっています。そういった地域をいろんな人に伝えていきたいと思っていますので、ぜひ皆さんと何か連携できたら嬉しいです。以上です。ありがとうございました。
十日町ふれあいの宿 交流館 大橋世史子 氏
https://otetsutabi.com/businesses/207<外部リンク>
・宿でおてつたびの若者を受け入れた事例について、説明していただきました。
今回の「気になる企業とのコラボセミナー」は、お手伝いをしたい人とお手伝いに来てほしい人をマッチングするサービスを展開する(株)おてつたびをテーマに行いました。
講演後の意見交換では、活発に熱心なやり取りが行われ、地域の人口減少を背景に、行政担当者の人手不足解消に対する関心の高さがうかがえました。
今後も行政の皆さんの関心が高く、企業と行政がコラボレーションすると地域課題の解決に結びつくようなテーマや講師を選んでセミナーを開催していきたいと考えていますので、ご期待ください。
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