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(新発田市農林水産課提供)
日本一小さいと言われる山脈、櫛形(くしがた)山脈の一峰をなす大峰山は、越後平野の北部に位置する新潟県新発田市(しばたし)にあります。この大峰山のふもとに広がる畑では、6月下旬に愛らしい枝豆の発芽を見ることができます。晩生(おくて)の枝豆、「大峰かおり」です。極上のかおりとうまさを誇りますが、一方で幻の枝豆とも言われている「大峰かおり」、その姿を探ってきました。
世の中に幻の○○と呼ばれるものは多々ありますが、大峰かおりは地元の新発田市民でさえ気をつけていないと見逃してしまう希少な枝豆です。その訳は、出回るお店は新発田市内で数店舗に限られ量も非常に少ないこと、また、収穫時期が9月下旬から10月半ばまでの約2週間と限られた短い間だからです。
来歴は不明ですが、昔、誰かが加治川地域に持ち込み地域の風土に順応し進化してきたものと言われています。かおりは極上でおいしいのですが、収穫時期が遅い、背が高く倒伏しやすい、虫害がひどいなどの理由で多くを栽培する農家はなく、自家用として細々として作られてきた枝豆です。
(新発田市農林水産課提供)
1 かおり抜群
2 甘みがある
3 大粒で莢(さや)が大きい
特に、大峰かおりをゆでている家は玄関に入ればわかると言われるくらい、さわやかなかおりが漂ってくるのだそうです。
また、粒が大きいことから食べ応えがあり、満足感も十分味わうことができます。
(そうえん農場提供)
6月のとある日、新発田市加治川支所3階の会議室に集まる面々、大峰かおり栽培勉強会の参加者です。栽培を広げようと新発田市が主催しました。講師を務めるのは地元で大峰かおりを栽培する下條荘市さんです。
栽培のポイントは旦那様づくり。聞きなれない言葉ですが、大峰かおりは樹勢が旺盛で大きくなるため、畝の幅も株間も大きくとる必要があるそうです。収量を確保するには通常の枝豆より広い面積を必要とする、贅沢な枝豆です。
大峰かおりは人の腰から胸のあたりくらいまで背が高くなるので、倒伏防止策は必須です。茎に土寄せをしたり、支柱を立ててひもを張って倒れないようにします。また、裏技として初生葉(しょせいよう:豆類で双葉の次に出てくる最初の葉)を摘んで2本仕立てにして背が高くなるのを防ぐとともに、収量アップを狙うやり方も披露されました。
今年の十五夜は9月29日、中秋の名月を愛でながら大峰かおりを味わうことができたらいいですね。
初生葉を摘むと主茎が2本になる(写真は大峰かおりとは異なる中晩生品種)