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持ち込まれた魚(令和7年4月6日)両面有色のソウハチ

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0738854 更新日:2025年4月9日更新

両面有色のソウハチ(カレイ目カレイ科)

両面有色のソウハチ(有眼側)
両面有色のソウハチ(無眼側)

両面有色のソウハチ(上:有眼側、下:無眼側)

水産海洋研究所撮影・測定
全長:27.5cm 標準体長22.3cm 体重:162.8g

特徴

学名:Cleisthenes pinetorum

  • 上眼は頭の背面にある。眼の表面は鱗でおおわれない。
  • 口は大きく、有眼側の上顎長は頭長の1/3以上。上顎歯は1列。
  • 側線は胸鰭の上方で強く湾曲しない。
  • 背鰭は上眼の後半部の上から始まる。
  • 胸鰭の中央部軟条は分枝する。
  • 尾鰭の後縁は截形(湾入しない)。

採捕の状況

漁獲日時:令和7(2025)年4月6日
漁獲場所:長岡市寺泊沖 水深75m
漁業種類:刺網(寺泊漁業協同組合所属)

分布

水深100~200mの砂泥底.北海道全沿岸、青森県~対馬海峡の日本海沿岸、青森県~福島県の太平洋沿岸;渤海、黄海、朝鮮半島南東岸、サハリン(日本産魚類検索第三版).

その他

  • 本標本は、日本産カレイ科魚類のうち上記のソウハチの特徴(尼岡2016『日本産ヒラメ・カレイ類』)を持つことが確認されたことから、ソウハチと同定しました。
  • 本種の無眼側は、正常魚では白色ですが、本標本では有眼側と同様に一様に褐色で、「両面有色」と呼ばれる体色異常魚です。
  • このような体色異常は、ヒラメ・カレイ類では稀に見られ(今岡・西村1964, 持ち込まれた魚(平成22年6月7日)無眼側も黒いヤナギムシガレイ)、ソウハチについても記録はある(Nishimura & Ogawa 1963)ものの、写真に基づく記録は見つけられませんでした。
  • 仔魚期のカレイ類はふつうの魚と同様に両側に眼がありますが、左眼が体の右側へ移動するなどの変態を経て、稚魚期の海底生活へ移行します。両面有色魚は両側とも有眼側に変態している現象で、変態異常が起こる正確なメカニズムは十分にわかっていませんが、無眼側の形質をつくる甲状腺ホルモンの作用する時期と仔魚の有眼側/無眼側におけるホルモンに対する感受性とのタイミングがうまくいかない場合に変態の失敗(両面有色や有眼側の白化)が起こると考えられています(山下洋2013『ヒラメ・カレイのおもてとうら』)。
  • なお、尼岡(2016)は、胸鰭の基部下端に白色斑がある個体とない個体がいるとし、本標本は両側とも白色斑が確認されたことから、白斑型と考えられます。

 

正常魚のソウハチ(無眼側)

正常魚のソウハチ(無眼側)

(池田 怜)

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