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ダイオキシン類対策特別措置法による規制について
1 ダイオキシン類対策特別措置法による規制対象
ダイオキシン類対策特別措置法(以下「法」という。)では、ダイオキシン類を大気中や排出水等として環境中に排出する施設を法第2条第2項で「特定施設」として定義しています。
この「特定施設」を工場又は事業場に設置し使用するには、設置届出(法第12条)、排出の制限(法第20条)や自主測定(法第28条)などの規制を受けることになります。
2 特定施設
ダイオキシン類対策特別措置法施行令別表第一において、ダイオキシン類を大気中に排出する施設を、別表第二で汚水又は廃液を排出する施設を定めています。
別表第一:ダイオキシン類を発生し、大気中に排出する施設で政令で定めるもの
- 焼結鉱(銑鉄の製造の用に供するものに限る。)の製造の用に供する焼結炉であって、原料の処理能力が一時間当たり1トン以上のもの
- 製鋼の用に供する電気炉(鋳鋼又は鍛鋼の製造の用に供するものを除く。)であって、変圧器の定格容量が1,000キロボルトアンペア以上のもの
- 亜鉛の回収(製鋼の用に供する電気炉から発生するばいじんであって、集じん機により集められたものからの亜鉛の回収に限る。)の用に供する焙焼炉、焼結炉、溶鉱炉、溶解炉及び乾燥炉であって、原料の処理能力が一時間当たり0.5トン以上のもの
- アルミニウム合金の製造(原料としてアルミニウムくず(当該アルミニウム合金の製造を行う工場内のアルミニウムの圧延工程において生じたものを除く。)を使用するものに限る。)の用に供する焙焼炉、溶解炉及び乾燥炉であって、焙焼炉及び乾燥炉にあっては原料の処理能力が一時間当たり0.5トン以上のもの、溶解炉にあっては容量が1トン以上のもの
- 廃棄物焼却炉であって、火床面積(廃棄物の焼却施設に2以上の廃棄物焼却炉が設置されている場合にあっては、それらの火床面積の合計)が0.5平方メートル以上又は焼却能力(廃棄物の焼却施設に2以上の廃棄物焼却炉が設置されている場合にあっては、それらの焼却能力の合計)が一時間当たり50キログラム以上のもの
別表第二:ダイオキシン類を含む汚水又は廃液を排出する施設で政令で定めるもの
- 硫酸塩パルプ(クラフトパルプ)又は亜硫酸パルプ(サルファイトパルプ)の製造の用に供する塩素又は塩素化合物による漂白施設
- カーバイド法アセチレンの製造の用に供するアセチレン洗浄施設
- 硫酸カリウムの製造の用に供する施設のうち、廃ガス洗浄施設
- アルミナ繊維の製造の用に供する施設のうち、廃ガス洗浄施設
- 担体付き触媒の製造(塩素又は塩素化合物を使用するものに限る。)の用に供する焼成炉から発生するガスを処理する施設のうち、廃ガス洗浄施設
- 塩化ビニルモノマーの製造の用に供する二塩化エチレン洗浄施設
- カプロラクタムの製造(塩化ニトロシルを使用するものに限る。)の用に供する施設のうち、次に掲げるもの
- イ 硫酸濃縮施設
- ロ シクロヘキサン分離施設
- ハ 廃ガス洗浄施設
- クロロベンゼン又はジクロロベンゼンの製造の用に供する施設のうち、次に掲げるもの
- イ 水洗施設
- ロ 廃ガス洗浄施設
- 四―クロロフタル酸水素ナトリウムの製造の用に供する施設のうち、次に掲げるもの
- イ ろ過施設
- ロ 乾燥施設
- ハ 廃ガス洗浄施設
- 二・三―ジクロロ―一・四―ナフトキノンの製造の用に供する施設のうち、次に掲げるもの
- イ ろ過施設
- ロ 廃ガス洗浄施設
- 八・十八―ジクロロ―五・十五―ジエチル―五・十五―ジヒドロジインドロ[三・二―b‥三′・二′―m]トリフェノジオキサジン(別名ジオキサジンバイオレット。ハにおいて単に「ジオキサジンバイオレット」という。)の製造の用に供する施設のうち、次に掲げるもの
- イ ニトロ化誘導体分離施設及び還元誘導体分離施設
- ロ ニトロ化誘導体洗浄施設及び還元誘導体洗浄施設
- ハ ジオキサジンバイオレット洗浄施設
- ニ 熱風乾燥施設
- アルミニウム又はその合金の製造の用に供する焙焼炉、溶解炉又は乾燥炉から発生するガスを処理する施設のうち、次に掲げるもの
- イ 廃ガス洗浄施設
- ロ 湿式集じん施設
- 亜鉛の回収(製鋼の用に供する電気炉から発生するばいじんであって、集じん機により集められたものからの亜鉛の回収に限る。)の用に供する施設のうち、次に掲げるもの
- イ 精製施設
- ロ 廃ガス洗浄施設
- ハ 湿式集じん施設
- 担体付き触媒(使用済みのものに限る。)からの金属の回収(ソーダ灰を添加して焙焼炉で処理する方法及びアルカリにより抽出する方法(焙焼炉で処理しないものに限る。)によるものを除く。)の用に供する施設のうち、次に掲げるもの
- イ ろ過施設
- ロ 精製施設
- ハ 廃ガス洗浄施設
- 別表第一第五号に掲げる廃棄物焼却炉から発生するガスを処理する施設のうち次に掲げるもの及び当該廃棄物焼却炉において生ずる灰の貯留施設であって汚水又は廃液を排出するもの
- イ 廃ガス洗浄施設
- ロ 湿式集じん施設
- 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(昭和四十六年政令第三百号)第七条第十二号の二及び第十三号に掲げる施設
- フロン類(特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律施行令(平成六年政令第三百八号)別表一の項、三の項及び六の項に掲げる特定物質をいう。)の破壊(プラズマを用いて破壊する方法その他環境省令で定める方法によるものに限る。)の用に供する施設のうち、次に掲げるもの
- イ プラズマ反応施設
- ロ 廃ガス洗浄施設
- ハ 湿式集じん施設
- 下水道終末処理施設(第一号から前号まで及び次号に掲げる施設に係る汚水又は廃液を含む下水を処理するものに限る。)
- 第一号から第十七号までに掲げる施設を設置する工場又は事業場から排出される水(第一号から第十七号までに掲げる施設に係る汚水若しくは廃液又は当該汚水若しくは廃液を処理したものを含むものに限り、公共用水域に排出されるものを除く。)の処理施設(前号に掲げるものを除く。)
3 法に基づく届出・報告書
特定施設を設置しようとする場合、特定施設の構造等を変更する場合及び特定施設を廃止する場合などの際、下表の届出が必要となります。
届出種類 | 内容 | 届出様式 |
---|---|---|
特定施設設置(使用、変更)届出書 |
法に規定する特定施設を設置する場合、施設が特定施設となった際にその施設を設置している場合、又は、設置届出又は使用届出をした者が「特定施設の構造」、「特定施設の使用の方法」又は「発生ガス又は汚水若しくは廃液の処理の方法」を変更しようとする場合に届出するもの |
様式第一 |
氏名等変更届出書 | 設置届出又は使用届出をした者が届出者の氏名等若しくは事業場の名称等に変更があったときに届出するもの | 様式第三 |
特定施設使用廃止届出書 | 設置届出又は使用届出をした者が特定施設の使用を廃止したときに届出するもの | 様式第四 |
承継届出書 | 設置届出又は使用届出をした者の地位を承継した者が届出するもの | 様式第五 |
ダイオキシン類測定結果報告書 |
大気基準適用特定施設又は水質基準適用事業場の設置者が、排出ガス、排出水、ばいじん及び焼却灰その他燃えがらについてダイオキシン類による汚染状況を測定した時に用いる報告書 |
様式第六 |
4 排出基準
排出基準は、施設及び規模ごとに排出基準が定められています。
また、大気排出基準は、法施行(平成12年1月15日)の際、すでに設置されていた施設と法施行後に設置された施設と排出基準が異なっています。
大気排出基準(法施行(平成12年1月15日)以降に設置された施設)
特定施設 |
規模 |
排出基準 |
---|---|---|
令別表第一第一号に掲げる焼結炉 | - | 一立方メートルにつき0.1ナノグラム |
令別表第一第二号に掲げる電気炉 | - | 一立方メートルにつき0.5ナノグラム |
令別表第一第三号に掲げる焙焼炉、焼結炉、溶鉱炉、溶解炉及び乾燥炉 | - | 一立方メートルにつき1ナノグラム |
令別表第一第四号に掲げる焙焼炉、溶解炉及び乾燥炉 | - | 一立方メートルにつき1ナノグラム |
令別表第一第五号に掲げる廃棄物の焼却炉 | 焼却能力が一時間当たり、4,000キログラム以上 | 一立方メートルにつき0.1ナノグラム |
焼却能力が一時間当たり、2,000キログラム以上4,000キログラム未満 | 一立方メートルにつき1ナノグラム | |
焼却能力が一時間当たり、2,000キログラム未満 | 一立方メートルにつき5ナノグラム | |
備考 許容限度は温度が零度であって、圧力一気圧の状態に換算した排出ガスによるものとする。 |
大気排出基準(法施行(平成12年1月15日)前に設置された施設)
特定施設 |
規模 |
排出基準 |
---|---|---|
令別表第一第一号に掲げる焼結炉 | - | 一立方メートルにつき1ナノグラム |
令別表第一第二号に掲げる電気炉 | - | 一立方メートルにつき5ナノグラム |
令別表第一第三号に掲げる焙焼炉、焼結炉、溶鉱炉、溶解炉及び乾燥炉 | - | 一立方メートルにつき10ナノグラム |
令別表第一第四号に掲げる焙焼炉、溶解炉及び乾燥炉 | - | 一立方メートルにつき5ナノグラム |
令別表第一第五号に掲げる廃棄物の焼却炉 | 焼却能力が一時間当たり、4,000キログラム以上 | 一立方メートルにつき1ナノグラム |
焼却能力が一時間当たり、2,000キログラム以上4,000キログラム未満 | 一立方メートルにつき5ナノグラム | |
焼却能力が一時間当たり、2,000キログラム未満 | 一立方メートルにつき10ナノグラム | |
備考 許容限度は温度が零度であって、圧力一気圧の状態に換算した排出ガスによるものとする。 |
水質排出基準
別表第二に該当する特定施設の水質排出基準は、次のとおりです。
特定施設 | 排出基準 |
---|---|
令別表第二第一号から第十九号までに掲げる施設 | 一リットルにつき10ピコグラム |
5 自主測定
- 毎年1回以上、排ガス又は排出水に含まれるダイオキシン類の量について測定を行う必要があります。なお、廃棄物焼却炉である特定施設について測定を行う場合、ばいじん及び焼却灰その他燃え殻についても測定を行う必要があります。
- 測定を行ったときは、県への結果報告をお願いします。
6 対策地域
新潟県内にダイオキシン類対策特別措置法第29条第1項の規定に基づき指定された土壌汚染対策地域はありません。