本文
【不法投棄対策】土地所有者(管理者)の皆様へ
私有地に産業廃棄物を不法投棄された場合、行政では撤去することができません。残された廃棄物の処理は、投棄した者が不明の場合、最終的には土地所有者が撤去しなければならなくなることがあります。
そのため、次の点に注意してください。
土地所有者が巻き込まれる不法投棄
土地所有者が、意図せず、気づかないうちに不法投棄の被害を被ることがあります。
不法投棄されやすい土地があります
次のような場所は、不法投棄されやすい傾向がありますので注意しましょう。
- 車でゴミを運びこみやすい道路に面した場所
- 人目に付きにくい場所、柵や囲いのない場所
- 雑草が生い茂る等管理されていない場所
- 既にゴミが捨ててある場所 など
予防策の例
不法投棄者に「捨てにくい場所」と印象を与えることが重要です。
- 関係者以外の侵入を防止する措置(バリケード、チェーンや扉、鍵の設置、施錠など)をとる。
- 「管理されている場所」であることをアピールする措置(定期的な確認や草刈り、清掃などの実施、センサーライトなどの設置等。定期的な確認は、万一不法投棄された場合でも早期発見につながります。)をとる。
土地を貸した相手が廃棄物を置き逃げするケースも
作業場や資材置場として土地を貸したが、現地に行ってみるとゴミ置場になっており、そのうち貸した相手と連絡が取れなくなる、というようなケースも発生しています。
また、土地を借りた当初、借り主に不法投棄する意思はなかったが、資金繰りの悪化などから、借りた土地に廃棄物を少しずつため込んでしまい、最後には倒産したり、逃げてしまう場合もあります。
土地を貸すときの留意点(不法投棄の被害回避という観点から)
- 廃棄物を保管するのか、しないのか事前に確認
- 土地を貸す相手方が信用できるのかどうか、事業内容、実績などを事前に確認
- 賃貸借契約にあたって、「廃棄物を保管しないこと」「廃棄物の保管条件」などの契約条件を付ける
- 土地を貸した後の定期的な土地状況の確認
おかしいなと思ったら
急にごみが増えてくるなど「おかしい」と感じたら、まず土地を貸した相手に事情を聞き、廃棄物を撤去するよう求めましょう。
相手が応じない場合は、これ以上の廃棄物の搬入を阻止するため、賃貸借契約の解除、土地への侵入防止措置などの対応が考えられます。
土地の造成を依頼したら地中に不法投棄されたケースも
土地造成を依頼し、その後、できあがった土地を掘り返してみたら廃棄物が埋まっていたということがあります。水はけの悪い土地の埋立てなどでも、砕石の代わりにコンクリートがら等の廃棄物を投入される例もあります。
不法投棄による損失
土地の価値が低下します
大量に廃棄物が置かれている土地は、使用用途が制限され、撤去するまで利用できないだけでなく、貸し手が付かない、評価額が低下する等の状況が発生することが見込まれます。
場合によっては撤去費用を負担しなければなりません
不法投棄が行われた場合、行為者が判明しても、その行為者に資力が残っていないことがあります。借金などに追いつめられて不法投棄を行う行為者も多いためです。
この場合、最終的には土地所有者が撤去しなければならなくなることがあります。
行政機関への通報
土地所有者等には、自らの土地に不法投棄を発見したときの県又は市町村へ通報する努力義務が課されています。(廃棄物処理法第5条第2項)
次のページをご確認いただき、県又は市町村への通報をお願いします。
土地所有者に対する行政処分(措置命令)
産業廃棄物の不法投棄等をさせるために土地を提供するなど、土地所有者が不法投棄に関与した場合等で、不法投棄等による廃棄物により生活環境の保全上支障が生じている、又はそのおそれがあるときは、その支障の除去等の措置(廃棄物の撤去等)を、不法投棄等の行為者だけでなく、土地所有者にも命ずる場合があります(廃棄物処理法第19条の5第1項第5号)。
これを措置命令といいますが、措置命令に従わないと、5年以下の懲役若しくは1,000万円以下(法人は3億円以下)の罰金に処され、又はこれらを併科されます(廃棄物処理法第25条第1項第5号)。